誠実交渉義務違反団体交渉

労働組合の申し入れる団体交渉は、憲法上の権利に裏打ちされたものであり、会社としても誠実に交渉する義務があります。

そのため、会社が団体交渉を拒否し、また、団体交渉に応じるけれども交渉が不誠実であるという場合には、団交拒否、不誠実団交という不当労働行為に該当します。

そのため、会社の適切な対応としては、まずは労働組合との間で協議を実施し、話し合うこととなるのですが、どれだけ話し合いを重ねても全く折り合いが付かず、議論が平行線となる場合があります。

会社が一方的に交渉を打ち切ることが可能となるタイミングについて、解説します。

団体交渉応諾義務とは

組合員の労働条件その他の待遇に関する事項については、義務的団交事項とされ、この義務的団交事項について労働組合から団体交渉の申入れがあった場合には、会社は労働組合との間で団体交渉を行うことを義務付けられることとなります。

誠実交渉義務とは

団体交渉とは「交渉」という用語が示す通り、話し合いを行う必要があります。

これは、一方において、会社が労働組合の言い分に対して合意をする義務まではなく、話し合いに誠実に応じればよいという反面、他方において、ただ言い分を聞くだけでなく、誠実に協議を行わなければならない義務であるとされています。

そこで、会社は、労働組合からの要求事項について、具体的に検討を行い、説明を行う必要があります。また、説明を行うにあたって必要な資料があれば、会社側の説明を明確にし、基礎づけるために必要な限度で資料を開示する必要があります。

したがって、誠実交渉義務とは、労働組合も会社も共に、合意に向けて誠実に話し合いをするよう努力する義務があるということです。

誠実交渉義務の違反は不当労働行為に

会社の側から、団体交渉の当初から、全く話し合いを行う意思がないことを明確にした交渉態度を示したり、労働組合の主張を聞置くのみで、実質的な検討を一切行わないこと、拒否の回答を前提とした一方的な態度、十分な説明を行わないまま当初の回答に固執する態度は、誠実交渉義務違反とされます。

誠実交渉義務違反の場合、団交拒否、不誠実団交として、不当労働行為となるおそれがあります。

誠実交渉を行えば、会社側から打ち切ることもできる

労使双方が団体交渉における話合いを十分に尽くし、お互いに要求、提案、譲歩を続けたけれども、全くこれ以上の話し合いの進展の見込が無い段階に至った場合には、会社側から交渉の継続を拒否することも許されます。

このような場合、実務では「平行線」という用語がよく用いられます。

ただ、不当労働行為として労働委員会で争う場合には、更に長期間の紛争化が予想されること、団体交渉における話合いで決着する方が時間的、金銭的コストが少なくて済むことなどを考えると、「平行線」を多用して会社側から団体交渉をあまりに安易に打ち切ることはお勧めできません。

むしろ、労働組合側から打切りをされそうになったとしても、会社側から一定程度の譲歩をしてでも、早期解決に進む方が合理的な解決となりやすい傾向にあります。

会社側から打切りを検討すべき事案

とはいえ、整理解雇、事業所閉鎖の事案など、一定の説明を行った上で、会社としての決断を早期に行わなければならない事案の場合には、使える時間は限られており、ある時点では「平行線」として団体交渉打ち切りの決断をせざるを得ないこともよくあります。

また、従業員の評価方法のように、一定の説明を尽くした後に、それ以上の譲歩が予定されていないケースもあります。

このような場合に「平行線」であると主張して団体交渉を打ち切らざるを得ない場合であっても、不当労働行為とされない対策を十分に準備すべきでしょう。

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