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弁護士 浅野英之
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所を経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を開業。
企業の労働問題について、豊富な経験を有する。

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労働組合の「ビラまき」は違法?名誉棄損・業務妨害になる時の対応

ビラまきやビラ配り、ビラ貼付といった行為は、労働組合の活動の一貫として行われます。ビラまき等は違法となるケースがあるため、会社側の適切な対応を解説します。

オフィス内でビラを配ったり、会社の前でビラをまかれたりすると、会社の信用が低下してしまいます。団体交渉等と並行して、組合が会社を中傷するビラをまくことがあります。ビラまきは、ストライキ(争議行為)とセットで、労働組合の交渉のカードとして提示されます。

ビラまきは会社に対する名誉毀損、業務妨害にあたることがあるため、無条件に許されるわけではありません。違法なビラまきに対しては、次のような厳格な対応ができるケースもあります。

なお、団体交渉対応について深く知りたい方は、次のまとめ解説をご覧ください。

まとめ 団体交渉の対応を弁護士に依頼するメリット・依頼の流れと、弁護士費用

目次(クリックで移動)

解説の執筆者

弁護士 浅野英之

弁護士(第一東京弁護士会所属、登録番号44844)。
東京大学法学部卒、東京大学法科大学院修了。

企業側の労働問題を扱う石嵜・山中総合法律事務所を経て、弁護士法人浅野総合法律事務所を開業。
企業の労働問題に豊富な経験を有する。

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ビラまきが違法となるケースとは

ビラまきは、労働組合が組合活動の一貫としてよく行う手段の1つです。単にビラを配るというだけでなく、社内にも社外にもビラをまいたり、オフィスの壁などにビラを貼り付けたりといったケースがあります。

ビラまきが行われるのは、例えば次のような場合です。

  • 団体交渉で組合側の要求が通らず、社会的に正義を問いたいとき
  • 労働組合の結成・加入をうながしたいとき

会社の敷地内でビラをまいたり、会社の施設にビラを貼り付けたりすることは、会社の施設管理権を侵害する違法行為です。しかし、労働組合法では民事上の責任が免責されていますから、組合活動として正当な範囲内で行われる限り、責任追及することはできません。

一方で、ビラまきやビラ貼付は、違法となることもあります。会社に与えるダメージが大きいことから正当性について厳しく判断される傾向があり、正当性が認められないビラまきやビラ貼付は違法と判断されるからです。

ビラまきの違法性の判断基準

ビラまきが違法となるかどうかについて、裁判例では「企業の円滑な運営に支障をきたすかどうか」という基準で判断されています。実際、支障をきたすときには違法と判断した例もあります。

そして、このビラまきの違法性の判断基準は、

という4つの観点から検討することができます。

ビラまきの時間

組合活動は、業務時間外に行うのが原則であり、ビラまきも同様です。業務時間中は、社員には会社の業務に専念する義務(職務専念義務)があり、会社の指揮命令に従って労務を提供しなければなりません。

労働協約や慣行により、例外的に業務時間中の組合活動が許容されていることはありますが、そうでない限り、業務時間中に職務専念義務に違反して行われる組合活動は、正当性を有するとは到底いえません。したがって、業務時間中のビラまきは、正当な組合活動ではなく、違法です。

なお、休憩時間は自由利用が保障されているため、組合活動をすることができます。ただし、休憩時間中でも社内で行えば企業秩序を乱すおそれがあるため、

  • 他の社員の休憩時間の利用を妨げるおそれがあるとき
  • 他の社員の休憩時間後の業務に悪影響を与えるおそれがあるとき

といったケースでは、休憩時間中であってもビラまきが許されないと考えられています。

ビラまきの場所

会社の敷地内で行う組合活動は、正当性が認められない可能性があります。
会社には、業務遂行にともなって会社の施設を管理する権利(施設管理権)があります。そして、社内で行われる組合活動は、この施設管理権を侵害します。

したがって、使用者の許可を得ずに社内で行われるビラまきは、正当な組合活動ではなく、違法です。同様に、会社の許可を得ずに会社の施設内にビラを貼り付ける行為も違法です。

これに対して、会社の敷地内でも、事務所内ではなく会社の正門と歩道の間であれば、企業秩序を乱すおそれが少なく、正当な組合活動となると判断した裁判例があります。

なお、ビラを配布したりビラをまいたりする行為に比べて、ビラを貼り付ける行為は、会社の施設自体を直接利用し、侵害するものであるため、更に厳しく判断される傾向にあります。

ビラまきの行為態様

業務時間外、かつ、会社の敷地外で行われたビラまきでも、そのビラ配布の行為態様によって、正当な組合活動ではないと判断できるケースもあります。

ビラ配布の行為態様によって違法となるのは、例えば次のケースです。

  • ビラまきが業務に重大な支障を与えるケース
  • ビラまきが会社の代表者、役員の私生活に悪影響を与えるケース

裁判例でも、社長の自宅前でビラをまいたり、近隣住民に迷惑をかけるような街宣活動を行ったりしたケースで、正当な組合活動ではなく違法だと認められた例があります。

行為態様が悪質なときには、そのような組合活動を早急にストップする緊急性があるため、会社型としても差止請求、損害賠償請求により厳しく対応する必要があります。

配布されるビラの内容

配布ないし貼付に使用されたビラの内容自体が違法となるケースもあります。ビラの内容が違法なときには、当然ながらそのビラを使用して行ったビラまき、ビラ貼付も違法です。

ビラの内容が違法となるかどうかは、

  • ビラの内容が真実かどうか
  • ビラの記載内容の目的が正当化
  • ビラの表現方法が適切か

といった観点から総合的に判断されます。

そして、次のようなケースでは、ビラの内容自体が違法であり、正当な組合活動とは認められません。

  • 個人の名誉やプライバシーを不当に侵害するビラ
  • 虚偽の内容のビラ
  • 事実を不当に歪曲して、誇張するビラ
  • 会社の営業秘密を不当に暴露するビラ

違法なビラまきへの対応

ビラに関する組合のうち、時間、場所、行為態様やビラの内容といった観点から違法となるものがあることを理解いただけたのではないでしょうか。労働組合の活動は、憲法、労働組合法によって保護されていますが、どのような行為でも免責されるわけではありません。

そこで、違法なビラまき、ビラ貼付に対し、会社側がどのように対応すべきかについて、取りうる手段をまとめて解説します。

損害賠償請求

労働組合法で定められた民事免責は、正当でない組合活動には適用されません。そのため、正当性のない組合活動によって会社が負った損害について、損害賠償請求をすることができます。

ビラまき、ビラ貼付の態様、経緯、目的、業務に与える支障などを考え、正当でない組合活動といえるとき、会社がこれによって負った損害を立証する必要があります。違法なビラまきによって負った損害は、それがなければ低下しなかってであろう信用を価値評価する必要がありますが、売上減少などがある場合にはその分の請求をすることが考えられます。

差止請求

損害賠償請求と同様に、その組合活動(ビラまき、ビラ貼付)が正当でないときは民事免責が及ばず、差止請求をすることができます。特に、ビラまきは、放置しておくと会社の評判に悪影響なため、直ちに差止請求する必要性が高いものです。

差止請求は、損害賠償請求による事後的な救済では、損害の回復が困難な切迫したケースで、その行為をストップするよう裁判所に命じてもらう制度です。

許可制

業務時間中のビラまき、ビラ貼付は、職務専念義務の観点からして、許可制とすることができます。許可制を導入することによって、会社の不利益の大きすぎる組合活動を止めさせることができます。

また、業務時間外に行われるときでも、そのビラまき、ビラ貼付が社内で行われるときには、会社の施設管理権を根拠として許可制にすることができます。

懲戒処分・解雇

許可制としたにもかかわらず、許可を得ずに組合活動をした場合や、許可制でなくても、正当な組合活動とはいえないような場合には、その組合員に対して、懲戒処分などの制裁を下すことを検討してください。

正当ではない組合活動によって、業務に大きな支障を与えた場合には、その程度に応じて懲戒処分にしたり、もしくは、重度の場合には解雇を選択したりすることができます。

ネット上の情報公開にも注意

インターネット社会において、労働組合の多くがホームページを持っています。そのため、現代の組合活動は、ビラまきという古典的な方法だけでなく、インターネット上に情報を掲載するという態様で行われることがあります。

ネット上に情報を記載することによる組合活動は、時間の面でいつでも行うことができ、場所の面で会社の施設管理権を侵害することはありません。荒っぽい方法となることもありません。

しかし、ネット上の情報は拡散が容易であり、炎上してしまえば会社へのダメージはビラまきをはるかに超えることがあります。そのため、ネット上に情報を掲載するという組合活動は、その内容面からの検討が不可欠となりますが、前章で解説したような虚偽、歪曲を含む内容であったときは、違法となる可能性があります。

事実に反する誹謗中傷を記載されたり、「ブラック企業」等と叩かれて炎上したりしたとき、弁護士に依頼することで削除請求したり、発信者情報開示請求をして投稿者を特定し、慰謝料請求したりする方法が有効です。

まとめ

今回は、労働組合対応のうち、ビラまきの違法性について解説しました。

ビラまきは、団体交渉の席上でよくプレッシャーとして提示されますが、違法となるときは労働組合の脅しに屈することなく対応する必要があります。

労働組合は、労働組合法による保護を受けることから、組合活動として行われる限り民事責任、刑事責任を追及できません。しかし、ビラまき、ビラ貼付は会社へのダメージも大きいことからどのような場合でも無条件に許されるわけではなく、時間、場所、行為態様、ビラの内容という4つの観点から、制限を受けます。

当事務所の組合対策サポート

弁護士法人浅野総合法律事務所では、企業の労働問題解決のサポートを強みとしており、過激な組合活動への対応も苦にしません。

組合にビラまきをされ、会社の名誉・信用を毀損されてしまった会社は、ぜひ一度ご相談ください。組合活動に正当な理由がないとき、会社の業務に支障が生じることから、厳しい対応が必要となります。

組合対策のよくある質問

労働組合のビラまきが違法となるのはどのようなケースですか?

労働組合といえど、ビラまきが違法として許されない場合があります。違法性の判断基準は、ビラまきの時間・場所・態様・ビラの内容といった観点から検討します。もっと詳しく知りたい方は「ビラまきが違法となるケースとは」をご覧ください。

労働組合による違法なビラまきへの対応方法は?

労働組合が行うビラまきが違法なとき、会社側の適切な対応には、損害賠償請求・差止請求・懲戒処分・解雇といった手があります。もっと詳しく知りたい方は「違法なビラまきへの対応」をご覧ください。

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