労働審判・組合対応・団体交渉に強い弁護士

企業の労働問題解決ナビ

団体交渉・労働組合対応

不当労働行為とは?違法行為にならないための会社側の注意点は?

投稿日:

憲法は、労働者の権利について、労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)を保障し、弱い立場の労働者が結集して労働組合を結成し、会社側(企業側)と交渉することを保護しています。

憲法上の「労働三権」を実効的なものにするために、労働組合法に定められたのが「不当労働行為」です。

よくある法律相談


団体交渉で普通に話をしていたはずが、労働組合から突然「それは不当労働行為だ」といわれた。
労働組合から、「不当労働行為なので、労働組合員を解雇してはならない」といわれた。
不当労働行為について、労働委員会に救済命令を申し立てられた。

「不当労働行為」は具体的には、不利益取り扱い、不誠実団交(団交拒否)、支配介入という3つの行為を違法行為とし、会社側(企業側)が違法行為を行うことを禁止するものです。

そこで今回は、実際に会社側(企業側)が「不当労働行為」となってしまわないための適切な労働組合対応・団体交渉対応と、「不当労働行為」を争われたときの対応方法について、弁護士が解説します。

「団体交渉」のイチオシ解説はコチラ!

団体交渉・労働組合対応

2018/8/11

労働組合から、掲示板・事務所を貸す「便宜供与」を求められたら?

労働組合法で定められている「労働組合」であるためには、会社から自主・独立している団体でなければなりません。 これは、「労働組合」の目的が、労働者側の立場での労働問題の解決にあるため、会社に従属していては、その目的が果たせないためです。 そのため、労働組合法に保護される「労働組合」と認められるためには、会社側(企業側)からの経費援助を受けではいけないこととなっています。 しかし、一定の「便宜供与」は例外であるため、労働組合から、団体交渉で、次のような「便宜供与」を求められることがあります。 例えば・・・ 会 ...

ReadMore

団体交渉・労働組合対応

2018/7/26

労働組合対応に強い弁護士が、会社側(企業側)でサポートできる7つのこと

団体交渉を、労働組合から申し入れられたとき、特に合同労組(ユニオン)であれば、多くの同様の労働問題についての団体交渉を経験しているはずです。 そして、過去に何度も団体交渉を経験していることから、労働基準法、労働組合法、労働契約法など、重要な労働法の使い方を熟知しています。 会社側(企業側)としては、労働組合が団体交渉において並べ立てる労働法の条文、労働者の権利について、無知であることがほとんどではないでしょうか。 実は、会社側(企業側)に有利な法律の条文や解釈、裁判例もあるのでしょうが、労働組合から団体交 ...

ReadMore

団体交渉・労働組合対応

2018/8/7

労働組合の団交申入に対して、会社が回答書に書くべき8つのこと

労働問題に強い弁護士に依頼をすれば、弁護士名義の「回答書」という書面を作成し、回答を送付することとなります。回答書を慎重に記載しなければ、団体交渉拒否などの不当労働行為とされる場合もあります。

ReadMore

団体交渉・労働組合対応

2018/8/8

「経営三権」とは?団体交渉によらず会社が決める権利あり!

労働組合との団体交渉に、会社側(企業側)の立場で対応すると、「労働組合(労働者側)が保護されすぎているのではないか。」と不満を口にする社長(経営者)の方がいます。 しかし、労働組合に、憲法、労働組合法などで権利が保障されているように、会社側(企業側)にも「経営三権」が存在するといわれています。 つまり、会社側(企業側)でも、一定の権利については、会社が決めてよいことだとされているという意味なのです。 「経営三権」を理解し、団体交渉における話し合いが「経営三権」を侵害することのないように進めることによって、 ...

ReadMore

団体交渉・労働組合対応

2018/8/7

労働組合加入通知書・労働組合結成通知書で会社が注意するポイント

労働問題がこじれて合同労組・ユニオンに加入されてしまった時点で、会社側としては不利な状態からのスタートとなります。今後団体交渉を行うこととなる、という前提のもと今後の対策をしましょう。

ReadMore

団体交渉・労働組合対応

2018/7/27

弁護士は団体交渉に参加・同席すべき?それとも後方サポートのみ?

労働組合からの団体交渉申入れを受けた場合には、早めに企業の労働問題に強い弁護士へご相談ください。できる限り、即時かつ適切なアドバイスをするためにも、団体交渉に弁護士を同席させることをお勧めしていますが、その際弁護士任せにならないよう注意が必要です。

ReadMore

団体交渉・労働組合対応

2018/7/26

団体交渉申入書が届いたら…会社側が最初にチェックする7つのこと

団体交渉申入書は、「団体交渉」という労働問題の交渉手段に応じることを求めて、労働組合が、会社に対して差し入れる書面のことをいいます。 突然、書面が送付されて、「失礼だ。」と憤慨されている会社の社長の法律相談をよく聞きます。 合同労組(ユニオン)が、会社に対して、団体交渉を申し入れる流れは、次のように進みます。 団体交渉申入書までの流れ 個別の労働者が合同労組(ユニオン)に相談する 労働者が合同労組(ユニオン)に加入する 合同労組が会社に対し、その会社の労働者が加入したことを通知する(労働組合加入通知書・労 ...

ReadMore

団体交渉・労働組合対応

2018/8/9

団体交渉の申し入れが来たらやるべき基本と、相談タイミング

労働組合(ユニオン・合同労組など)から、団体交渉の申し入れがきたときの、会社側(企業側)の適切な対応方法について、弁護士が、順番に解説していきます。 労働組合対応についての解説は、会社側(企業側)の代理人として交渉をすることができる、弁護士による正しい解説を参考にしてください。 今回は、まずはじめに、申し入れがきたときすぐにやるべき基本的なことを解説します。 会社側(企業側)の方がお悩みの、「いつ弁護士に相談したらよいのでしょうか?」という、相談タイミングについての質問についても、わかりやすく解説します。 ...

ReadMore

団体交渉・労働組合対応

2018/7/26

派遣労働者と団体交渉する義務アリ?派遣先の組合対応の4ポイント

派遣労働者の加入した労働組合から、労働組合結成通知書、団体交渉申込書への、派遣先会社の対応の解説。派遣先も、申込みなし制度の適用となる場合、労働条件を支配している場合等一定の場合、派遣社員からの団体交渉に応諾する義務があります。

ReadMore

団体交渉・労働組合対応

2018/8/14

労働組合であるための条件(要件)と、組合員の範囲は?

団体交渉で相手となる「労働組合(合同労組・ユニオンなど)」とは、どのような団体でしょうか。 「労働組合」のことを詳しく知っておくことによって、労働組合対応、団体交渉対応を、うまく進めていく助けとなります。 「労働組合」がどのような団体であるかは、労働組合法に定められています。 労働組合法にいう「労働組合」でない団体は、労働組合法による保護、救済を受けることができません。 団体交渉の申し入れを受けたら、まずは、労働組合法にいう「労働組合」であるかどうかと、組合員の範囲について、今回の解説を参考にして検討して ...

ReadMore

弁護士
浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、弁護士の浅野です。

当事務所では、団体交渉・労働組合対応をご依頼いただくにあたり、「不当労働行為」の考え方を理解し、違法行為とならないような弁護活動を心掛けています。

また、「不当労働行為」の責任追及を、救済命令申立手続において行われた場合の、手続の代理についてもご依頼いただけます。

不当労働行為の種類は?3つの不当労働行為とは?

団体交渉・労働組合対応で、「不当労働行為」についての法律相談がよくあります。「不当労働行為」とは、どのような行為でしょう。

労働組合対応・団体交渉対応において問題となる「不当労働行為」には、次の3つがあります。

  • 不利益取り扱い
  • 団体交渉拒否(不誠実団交)
  • 支配介入

いずれの「不当労働行為」も、次の通り、労働組合法7条に定められています。

労働組合法7条

使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。

  1. 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。
  2. 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。
  3. 労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。ただし、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、かつ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。

【不当労働行為①】不利益取り扱いとは?

会社側(企業側)にとって「不当労働行為」となる「不利益取り扱い」とは、労働組合員であることなどを理由として、労働者にとって不利になる取扱いをすることをいいます。

不利益取り扱いの理由

不利益取り扱いの理由となる事情には、労働組合法において、次の3つが定められています。

ポイント

  • 労働組合員であること
  • 労働組合に加入したり、労働組合を結成しようとしたりしたこと
  • 労働組合の正当な行為をしたこと

もっと詳しく!

会社側(企業側)が違法な「不当労働行為」を行ったことを理由として、労働組合が労働委員会に対して、救済申し立てをして争うことができます。

労働組合が、労働委員会に対する不当労働行為救済申立ての手続を行ったことを理由に、解雇などの不利益な取り扱いをすることもまた、更に「不当労働行為」となります。

不利益取り扱いとなる行為

以上の理由によって、会社側(企業側)が労働者に対して行ってはならない不利益な取り扱いの内容について解説します。

不利益な取り扱いの種類、内容は多種多様ですが、労働組合員となった労働者にとって不利益がある行為であれば、「不当労働行為」となります。

例えば、不利益な取り扱いとなりうる行為には、次のようなものがあります。

例えば・・・

懲戒解雇、普通解雇、懲戒処分(諭旨解雇、出勤停止、降格、降職、減給、譴責、戒告など)、転籍、配転(配置転換)、出向、異動、降格、減給、昇給しない、仕事を与えない、残業をさせない、残業代を支払わない、パワハラ

労働組合員である労働者に対して、労働組合を脱退するよう強要する行為も、「不利益取り扱い」として「不当労働行為」にあたります。

組合員を管理職に昇進させる行為

労働組合員となるための条件として、会社側の「利益代表者」ではないことが必要となります。上級の管理職は、会社側の「利益代表者」として、労働組合に加入できません。

ある労働者が労働組合員であることを嫌って、労働組合を脱退させるために、昇進させて会社側の「利益代表者」とすることは、「不当労働行為」にあたると考えられています。

参 考
労働組合であるための条件と、組合員の範囲については、こちらをご覧ください。

団体交渉で相手となる「労働組合(合同労組・ユニオンなど)」とは、どのような団体でしょうか。 「労働組合」のことを詳しく知っておくことによって、労働組合対応、団体交渉対応を、うまく進めていく助けとなりま ...

続きを見る

黄犬契約

労働組合に加入しないことを採用の条件とする契約を、「黄犬契約」といいます。

「黄犬契約」もまた、「不当労働行為」となり違法行為ですから、労働組合法によって禁止されています。

社内に労働組合が存在する会社は、労働組合に加入しないようプレッシャーをかけていないかどうか、特に気を付けなければなりません。

「黄犬契約」禁止の例外として、いずれの労働組合にも加入しない労働者を解雇するよう定めた労働協約が、「ユニオンショップ協定」です。

参 考
ユニオンショップ制と、会社側(企業側)の適切な対応は、こちらをご覧ください。

「ユニオンショップ制」とは、どのような制度であるかについて、弁護士が解説していきます。 「ユニオンショップ制」は、ユニオンショップ、ユニオン・ショップともいいます。 「ユニオンショップ制」は、労働組合 ...

続きを見る

【不当労働行為②】団体交渉拒否とは?

違法な「不当労働行為」となる「団体交渉拒否」とは、労働組合の権利として認められた団体交渉(団交・話し合い)を、会社側(企業側)が正当な理由なく拒否することです。

団体交渉自体は開催するものの、誠実な対応をせず、適切な回答を行わないような不誠実な交渉態度の場合には、「不誠実団交」といって、同様に「不当労働行為」となります。

ただし、「正当な理由」がある場合には、会社側(企業側)は、団体交渉に応じなくても、「不当労働行為」とはなりません。正当な理由がある場合とは、例えば次のケースです。

ポイント

  • 労働組合が団体交渉の議題としている対象事項が、「経営三権」など、「義務的団交事項」ではないケース
  • 労働組合が団体交渉を求めた日時が、団体交渉の交渉担当者の予定が合わない日であり、再調整を依頼したケース
  • 労働組合との間で、開催日時、開催場所など、団体交渉の手続的事項の予備折衝が終結しないケース
  • 労働組合側の出席者が多数であり、統制・秩序が取れてないケース(大衆団交)
参 考
「不誠実団交」にならない団体交渉の打ち切り方は、こちらをご覧ください。

団体交渉では誠実に交渉する義務があり、違反すれば団交拒否、不誠実団交などの不当労働行為となりますから、会社の適切な対応は、まずは労働組合との間で協議を実施し、話し合うことです。

続きを見る

【不当労働行為③】支配介入とは?

「支配介入」とは、会社側(使用者側)が、労働者の労働組合に対する結成・加入などの行為に介入したり、労働組合に対して経費援助を行う行為のことをいいます。

「支配介入」「不当労働行為」は、会社側(企業側)が、その事実と意図を明確に認識していなくても違法行為となってしまうおそれがあるため、次の点に注意が必要となります。

注意ポイント

  • 会社側(企業側)に、「支配介入」を行う意思がなくても、不当労働行為と評価される可能性があります。
  • 上級管理職、依頼した弁護士などの言動が、明確かつ具体的な指示・命令がなくても、会社の不当労働行為と同視されることがあります。

会社側(企業側)としては、上級管理職、依頼した士業などの言動をよく監視し、万が一にも「支配介入」の「不当労働行為」となりうる言動を発見したときは、直ちに是正する必要があります。

労働組合員の結成・加入への支配介入

使用者に雇用される労働者であれば、労働組合法上、労働組合に加入したり、労働組合を結成したりすることができます。

労働組合法において、使用者の「利益代表者」にあたる者は、労働組合に加入できませんが、使用者の利益代表者にあたる者は、会社側(企業側)で「管理職」と考えている範囲よりも、限定的であると考えられています。

また、労働組合が、上部団体となる労働組合に加入することも自由です。これらの結成・加入行為を会社側(企業側)が妨害する言動は「支配介入」「不当労働行為」となります。

経費援助による支配介入

労働組合が会社側(企業側)の資金に依存してしまうと、労働組合としての目的を達成することができません。そのため、労働組合は、会社から資金援助を受けてはならず、むしろ資金援助は「支配介入」として禁止されます。

「支配介入」「不当労働行為」として違法となるような経費援助とは、例えば、組合専従者の給与、組合大会、組合集会の開催費用などがこれにあたります。

ただし、労働組合法で次のものは経費援助の「支配介入」の対象外とされています。具体的な内容、金額は、団体交渉における話し合いで決定すべきです。

ポイント

  • 労働時間中の団体交渉にあてた時間に相当する賃金の支給
  • 労働組合の福利厚生・基金に対する寄付
  • 最小限の広さの組合事務所の供与

労働組合が複数あるときの会社の中立義務

会社の労働者の所属している労働組合が複数あるときに、会社側(企業側)としては、そのすべての労働組合との間で、団体交渉による話し合いを行わなければならない可能性があります。

このように、会社側(企業側)が対応すべき労働組合が複数併存するときには、「不当労働行為」とならないよう、特に労働組合対応・団体交渉対応に注意が必要となります。

労働条件の差別的取り扱い

複数の労働組合が併存しているときには、会社側(企業側)としては中立を保持するのが正しい対応です。したがって、少数組合だからといって賃上げなどの労働条件を一方的に差別してはなりません。

合理的な理由なく、一方の労働組合に対しては提示した条件を他方に提示しなかったり、複数の労働組合間で交渉態度を変えることは「不当労働行為」となります。

ただし、結果的に、複数の労働組合に対する会社側(企業側)の組合員の労働条件が異なったとしても、次のようなケースでは適法と判断される可能性が高いといえます。

ポイント

  • 複数の労働組合と団体交渉を尽くしたが、結果的に、妥結した労働協約の内容が異なったケース
  • 複数の労働組合の組合員の労働条件が異なることに合理的な理由が存在するケース

査定の差別的取り扱い

労働者に対する評価(査定)について、会社側(企業側)には一定程度の裁量が認められています。

そのため、査定による差別が「支配介入」「不当労働行為」となるかどうかは、「大量観察方式」で判断することとするのが一般的です。

つまり「不当労働行為」となるか否かを、1人の組合員の労働条件だけを見るのではなく、労働組合全体の査定を他の組合と比べ、労働組合を嫌悪する意思がないかどうかなどを総合考慮して決定します。

便宜供与の差別的取り扱い

会社側(企業側)が、団体交渉などの結果、労働組合に対してビラ貼りのための掲示板供与、事務所の供与などを与えるのが、「便宜供与」です。

複数の労働組合が併存するときには、この「便宜供与」についても、複数の労働組合間で差別的な取り扱いをすることは許されません。

多数組合を優先する対応は違法?

以上の通り、会社側(企業側)は、複数の労働組合に対して、差別的取り扱いをしてはならず、中立保持義務があります。

ただし、会社の労働者が多数加入している労働組合と、少数組合とが併存しているときに、交渉の過程において、多数組合に重点を置くことが許されないわけではありません。

少数組合を弱体化させる意図がある場合でない限り、会社側(企業側)が、多数組合との間で妥結した労働協約を、少数組合に対しても提示することは、違法な「不当労働行為」ではありません。

不当労働行為救済申立てをされたときの対応は?

ここまでお読みいただければ、「不当労働行為」とはどのような行為か、ご理解いただけたのではないでしょうか。

労働組合が、会社側(企業側)の言動について「不当労働行為」として責任追及をするときには、各都道府県に設置された労働委員会に対して、不当労働行為救済申立てを行います。

そこで、労働組合が、不当労働行為救済申立てを行ってきたときの、会社側(企業側)の適切な対応について、弁護士が解説します。不当労働行為救済申立て手続の流れは、次のとおりです。

ポイント

    (不当労働行為救済申立て)→

  1. 各都道府県の地方労働委員会(地労委)
  2. →(再審査申立て)→

  3. 中央労働委員会(中労委)
  4. →(取消訴訟の提起)→

  5. 各都道府県の地方裁判所
  6. →(控訴)→

  7. 高等裁判所
  8. →(上告)→

  9. 最高裁

救済申立て

会社側(企業側)の言動が「不当労働行為」であると考える労働組合、もしくは、組合員は、都道府県労働委員会に対して、救済申立てを行うことができます。

救済申立ては、「不当労働行為」のあった日から1年以内に行わなければなりません。ただし、「不当労働行為」以前の出来事が、組合嫌悪の意思を示す事情として争いになることがあります。

調査

労働委員会における審査は、「調査」と「審問」の段階に分かれています。

「調査」の段階では、労使双方の当事者が出席し、主張書面(申立書、答弁書、準備書面など)、証拠を提出することによって、主張と証拠の整理を行います。

当事者となる会社は、労働委員会の許可を得て、代理人、補佐人を選任することができ、労働組合対応を得意とする弁護士の力を借りることができます。

審問

「調査」による主張と証拠の整理が終了すると、労使双方の主張が異なる部分についての事実を明らかにするため、「審問」が行われます。

「審問」の段階では、事実関係を実際に経験した承認を呼び、証人尋問によって、事実関係を明らかにします。

「審問」は、公平、公正の観点から、公開で行うものとされています。

和解

事案の性質上、和解による解決が望ましい場合や、労使双方の主張を比較し、和解による解決が可能であると労働委員会が考えたときは、和解に向けた勧奨が行われることがあります。

救済申立て手続の中で、どのタイミングであっても和解を行うことができ、和解によって合意に達したときは、和解協定が締結されて救済申立て手続は終了します。

公益委員の合議(公益委員会議)

「調査」、「審問」による審理が終了し、和解にも至らなかったときは、公益委員が合議によって、会社側(企業側)の行為が「不当労働行為」にあたるかどうかを決定します。

公益委員の合議の際には、労働者側、使用者側の各参与委員の意見も聞くこととされていますが、労使の委員は、決定を行うわけではありません。

命令の交付

公益委員の合議の結果、「不当労働行為」であるか否か、の判定に応じて、次のいずれかの命令が出されます。

ポイント

  • 救済命令
    :労働者側が申し立てた救済事項の全部または一部を、「不当労働行為」であると認める命令
  • 却下命令
    :労働者側が申し立てた内容が「不当労働行為」ではないと棄却する命令

ポスト・ノーティス

救済命令が出された場合には、あわせて「ポスト・ノーティス」という付随的な命令がなされることがあります。

「ポスト・ノーティス」とは、「不当労働行為」であることを認める救済命令が出たことや、それに対する謝罪などを、会社側(企業側)が、指定の場所に貼り出すことを命令するものです。

特に、全社的に周知が必要となるような、「不利益取り扱い」、「支配介入」などの「不当労働行為」があったと認められたときに、労働組合の権利を保障するために利用されます。

命令に不服があるときの会社側の適切な対応は?

会社側が、都道府県労働委員会(地労委)が発した救済命令に対して不服がある場合には、異議申し立てを行うことができます。

具体的には、救済命令の命令書が交付された日から15日以内に、中央労働委員会(中労委)に対して、再審査申立てを行うことができます。

中央労働委員会(中労委)でも、都道府県労働委員会(地労委)と同様、「調査」、「審問」が行われれ、再審査申立棄却、もしくは、初審命令変更の決定がなされます。

再審査申立てが棄却されたときは、更に30日以内に、地方裁判所に対して、命令の取消訴訟を起こすことができます。この取消訴訟は、「三審制」に従い、高等裁判所への控訴、最高裁への上告が可能です。

労働組合対応は、弁護士にお任せください

今回は、労働組合対応のうち、労働組合が、「不当労働行為」について会社側(企業側)の責任追及をしてきたときに知っておきたい知識について、弁護士が解説しました。

「不当労働行為」について、都道府県労働委員会(地労委)で争う手続きは、裁判手続きと類似しており、会社側(企業側)の有利に進めるには、専門的な知識・ノウハウが必須です。

特に、団体交渉だけでは解決できず、労働委員会の判断を求めるべき事案では、「不当労働行為」に関する労働組合法の知識が必要となります。

労働組合に対して会社が行った言動について、「不当労働行為といえるかどうか。」という専門的な判断は、弁護士のアドバイスをお聞きください。

FLOW
kaigi
ご相談の流れは、こちらをご覧ください。

弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区)では、労働問題と企業法務しています。 会社で、常日頃から問題となる労働問題と企業法務に特化することで、会社を経営する社長、人事労務の担当者の目線に立って、親 ...

続きを見る

弁護士への法律相談予約はこちら

会社側の労働問題は、
弁護士にご相談ください。
経営者の気持ちがわかる弁護士が、
「二人三脚」で親身にお話をききます。
お問い合わせはこちら

-団体交渉・労働組合対応
-

Copyright© 企業の労働問題解決ナビ , 2018 All Rights Reserved.