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団体交渉・労働組合対応

労働組合から、掲示板・事務所を貸す「便宜供与」を求められたら?

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労働組合法で定められている「労働組合」であるためには、会社から自主・独立している団体でなければなりません。

これは、「労働組合」の目的が、労働者側の立場での労働問題の解決にあるため、会社に従属していては、その目的が果たせないためです。

そのため、労働組合法に保護される「労働組合」と認められるためには、会社側(企業側)からの経費援助を受けではいけないこととなっています。

しかし、一定の「便宜供与」は例外であるため、労働組合から、団体交渉で、次のような「便宜供与」を求められることがあります。

例えば・・・

  • 会社に設置してある掲示板に、労働組合への加入を勧誘するビラを掲示してほしい。
  • 会社内の会議室で、労働組合の会合を行いたい。
  • 団体交渉、組合活動を、業務時間中に行いたい。

そこで、会社側(企業側)が、労働組合から、このような「便宜供与」の要求を受けたとき、使用者として適切な対応を知っておきましょう。

当事務所では、労働組合対応・団体交渉対応を得意として、多数取り扱っています。「便宜供与」の強い要求を受けても、会社側(企業側)として応じてしまう前に、慎重な検討が必要です。

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弁護士
浅野英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、弁護士の浅野です。

労働組合は、労働組合法で強い権利保障を受けていることから、労働組合から団体交渉の場で強く要求されると、つい従ってしまいがちな会社も少なくありません。

しかし、原則として、会社から経費援助を受ける労働組合は、労働組合法の保護を受けることができません。労働組合に対する「便宜供与」は、慎重にご判断ください。

経費援助を受けたら「労働組合」ではない

keisan

労働組合法にいう「労働組合」として認められることで、その団体は、労働組合法に定めのある「不当労働行為」の会社側(企業側)の責任を追及できるようになります。

しかし、会社側(企業側)から、組織運営のための経費を受け取っている団体は、労働組合法上の「労働組合」にはなりません。

そこで、この「労働組合」とは認められない条件となる、経費援助にあたるもの、あたらないものを区別し、理解する必要があります。

経費援助にあたるケース

労働組合となる団体の、組織運営のためのあらゆる費用は、会社側(企業側)がその団体に対して支払っていれば、「経費援助」となり、労働組合法にいう「労働組合」とはならないことになります。

例えば、労働組合の運営のための経費には、次のようなものが含まれます。

ポイント

  • 専従組合員の給与
  • 労働組合の大会実行のための費用
  • 労働組合の懇親旅行のための旅費
  • 労働組合加入を呼びかける勧誘ビラの作成費

「組合専従者」とは、会社の業務は行わず、労働組合の業務だけを行う組合員のことをいいます。「組合専従者」に対して給与を支払うと、「経費援助」となる可能性が高いとされています。

経費援助にあたらないケース

ここまでの説明により、会社側(企業側)が労働組合に対して、組合活動にかかわるお金を支払った場合には、そのほとんどが「経費援助」となり、「労働組合」とは認められない要件になるとご理解いただけたでしょう。

ただし、次のような費目については、経費援助にならないとされています。そのため、労働組合からも、会社側(企業側)に対し、強く要求のある項目ともなります。

ポイント

  • 業務時間中の組合活動について、給与を保証すること(有給での組合活動)
  • 厚生資金・福利基金についての寄付
  • 最小限の広さの事務所を、労働組合に利用させること(事務所の供与)

労働組合の自主性を損なう?

労働組合法における「労働組合」が、会社側(企業側)からの「経費援助」を受け取ってはいけないのは、労働組合の自主性が損なわれるためです。

さきほど解説した、「有給での組合活動」や「最小限の事務所の供与」は、このような「便宜供与」を受けても、労働組合の自主性は損なわれないと考えられることが、これらの便宜が許される理由です。

そのため、許される「便宜供与」のケースなのか、それとも、労組法にいう「労働組合」でなくなってしまうのかは、支払費目などの「形式」ではなく、「実質」によって判断されます。

例えば・・・

例えば、次のような事項によっては、労働組合の自主性は損なわれないため、「便宜供与」として許容されると考えられます。

  • 最低限の供与をした組合事務所の光熱費負担
  • 労働組合員に与える「組合休暇」

「便宜供与」しなければならない義務はない!

会社側(企業側)が労働組合に対して支払う費目や便宜のうち、一定のものは、「便宜供与」として許され、これを受けても労働組合の自主性は損なわれません。

そのため、労働組合側としては、会社側(企業側)に対して、「事務所使用の許可」、「組合休暇」、「掲示板使用」などの「便宜供与」を、団体交渉で積極的に求めてきます。

しかし、会社側(企業側)としては、これらの「便宜供与」に必ず応じなければならない義務はありません。むしろ、「便宜供与」は労使の合意がなければ成り立ちません。

具体的には、会社が「便宜供与」をするときは、労働協約で約束することが一般的です。この労働協約も、締結しなければならない義務はありません。

「便宜供与」の要求を受けたときの適切な対応は?

「便宜供与」の要求を受けたとしても、会社側(企業側)として、応じなければならないわけではなく、労働協約を結ばなければならない義務はないことをご理解ください。

一方で、団体交渉の進み方によっては、労働組合側の求める「便宜供与」に応じてもよいケースもあります。そこで、「便宜供与」の要求を受けたときの会社側(企業側)の適切な対応を、順にまとめました。

便宜供与を断っても「不当労働行為」ではない

労働組合と団体交渉をしていると、「違法な不当労働行為だ」、「労働委員会に申立てをする」という発言を労働組合の担当者がすることがあります。

確かに、労働組合法には、「不当労働行為」という一定の違法行為について、労働組合に対して行ってはならないことが書いてあります。

しかし、「便宜供与」をするかどうかは会社の自由ですから、「便宜供与」を断ったとしても「不当労働行為」ではありません。

労働組合側の条件・譲歩を吟味する

団体交渉の場で、労働組合が会社にたいして「便宜供与」を求めてくるとき、その条件や、交換となる労働者側の譲歩の内容を吟味してください。

憲法・労働組合法で、「団結して、会社と交渉をする権利」を保証されている労働組合ですが、「便宜供与」を権利までは保障されていません。

特に、「事務所の供与」、「掲示板の使用」は、会社側(企業側)の専権である「経営三権」のうち「施設管理権」に関することです。

参 考
「経営三権」について、詳しくはこちらをご覧ください。

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「慣行」として定着していないか注意!

組合に対する「便宜供与」を与えるかどうかは会社の自由ですが、既にあたえられている便宜を取り上げることは、必ずしも会社の自由にできない場合があります。

一定の「便宜供与」が、既に慣行として定着している場合、つまり、以前から相当期間にわたってその便宜を与え続けていた場合には、「廃止してはいけない」わけではないですが、次のような配慮が必要となります。

  • 事前に労働組合に伝え、許可を得る。
  • 相当期間の猶予を置き、徐々に廃止する。

このことは、裁判例で次のとおり示されています。

太陽自動車・北海道交通(便宜供与廃止等)事件(東京地裁平成17年8月29日

便宜供与が慣行として定着している場合においては、会社に便宜供与の廃止を必要とする合理的な理由が存在し、かつ、廃止に当たっては、労働組合の了解を得るとか、了解が無理な場合には労働組合側に不測の混乱を生じさせないよう準備のための適当な猶予期間を与えるなど相当な配慮をする必要があり、このような配慮をすることなく、組合活動に対する報復目的、対抗手段としてされた便宜供与廃止措置は違法と解するのが相当である

便宜供与を認めるときのポイント

最後に、労働組合との団体交渉の流れによっては、会社側(企業側)としても、「便宜供与」を認めても差し支えないと思われる場合があります。

会社側(企業側)で団体交渉に対応している弁護士の立場から、団体交渉において「便宜供与」を認めてもよいケースは、次のようなものが想定されます。

ポイント

  • 「便宜供与」を認めても、会社の経営・業務に大きな支障がないことが明らかなケース
  • 「便宜供与」を認めることで、労働組合側が、団体交渉において大きな譲歩をすることを提案してきたケース
  • 「便宜供与」を認めることで、労働組合側の組合活動を制限できるケース

「事務所の使用」のポイント

労働組合が、会社の経営に協力的である場合には、労働組合の活動を認め、「最小限の事務所の供与」という「便宜供与」を認めることにメリットがあります。

会社側(企業側)が、労働組合に対して事務所の使用を認めたときは、その事務所の「占有権」が労働組合のものとなり、緊急時などの例外を除き、会社側(企業側)が無許可で立ち入ることは禁止されます。

この意味で、「事務所の使用」を認めることは、「経営三権」のうち「施設管理権」を一部放棄するに等しいものです。

「掲示板の貸与」のポイント

労働組合に対して、「掲示板を使用することができる」という「便宜供与」を与えるときは、まず、「使用条件」について、細かく定めておきましょう。

掲示板の貸与のとき、会社側(企業側)が定めておきたい、掲示板の利用条件は、例えば次のようなものです。

ポイント

  • 利用できる掲示板の場所と範囲
  • 掲示板に貼付することができるビラの面積、枚数
  • 掲示板に貼付することができる期間
  • 掲示板に貼付することができるビラの内容
  • 掲示板にビラを貼付する前に会社の事前確認が必要かどうか
  • 利用条件に違反した場合の手続(ビラの破棄など)

注意して頂きたいのは、あくまでも、現在存在する掲示板の一部について、労働組合に利用を認める、という程度の「便宜供与」に留めることです。

労働組合に「便宜供与」するために、新たに掲示板を設置する必要まではありません。

労働組合が同一性を失ったら?

会社側(企業側)が、ある労働組合に対して「便宜供与」を認めた場合であったも、その労働組合が同一性を失えば、あたえた「便宜供与」を行う権利もなくなる場合があります。

例えば、次のようなケースです。

例えば・・・

  • 労働組合の分裂により、どちらの労働組合を正当と認めて「便宜供与」してよいか不明な場合
  • 労働組合員の多数の脱退により、労働組合としての実態がない状態となったケース

労働組合対応は、弁護士にお任せください

いかがでしたでしょうか。

合同労組・ユニオンから団体交渉を受けたり、これを放置していた結果、社内に「支部組合」がでてしまったりすることがあります。

会社内に労働組合ができると、次は、労働組合は、団体交渉を要求し、団体交渉において「便宜供与」をするように求めてきます。

会社側(企業側)としては、労働組合の権利保障の中に「便宜供与を受けることができる権利」は含まれていないことを意識し、適切な対応をしなければなりません。

労働組合対応に苦慮している会社は、ぜひ、企業の労働問題を得意とする弁護士に、法律相談ください。

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弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区)では、労働問題と企業法務しています。 会社で、常日頃から問題となる労働問題と企業法務に特化することで、会社を経営する社長、人事労務の担当者の目線に立って、親 ...

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