団体交渉回答書

労働組合から突然届いた団体交渉申入書に対しても、誠実な対応を行わなければ会社が不利になりうることは、既に他の記事で解説した通りです。

団体交渉申入書に対する回答は、どのように行えばよいのでしょうか。

電話で回答をするという方法もありますが、通常は書面にて回答することとなります。

労働問題に強い弁護士に依頼をすれば、弁護士名義の「回答書」という書面を作成し、回答を送付することとなります。

なぜ回答書を送付するのか

労働組合の中には、荒っぽい交渉をする団体も存在し、電話での対応は、水掛け論となってしまう可能性があります。

ただでさえ、労働者側も経営者も、感情的になりやすいのが労働問題ですから、一旦冷静になって、書面での回答を行った方が、話し合いが円滑に進むでしょう。

また、今後、団体交渉だけでは解決せず、不当労働行為救済申立などの法的手続に移行した場合には、会社の主張を立証するためには、客観的な証拠が必要となります。

例えば、次のケースをお考えください。

団体交渉拒否の不当労働行為と主張されたケース

団体交渉申入書が労働組合から送付されました。

団体交渉には応じなければ違法になる可能性があると弁護士から聞いていたのですが、回答書の期限も迫っていたので、とりあえず電話で、指定された期日に団体交渉を行うことはできないという内容だけ回答しておきました。

その後、団体交渉の日程調整を行わなければ、とは思っていたのですが、参加者の一人として考えていた社長が非常に忙しくて日程が合わず、労働組合からもその後の催促は無かったので、しばらく放置していました。

ある日、突然、団体交渉拒否の不当労働行為であるとして、労働委員会に、不当労働行為救済申し立てがなされたとして呼び出されることとなりました。

このケースでは、書面で、「指定された期日には団体交渉を行うことができない」という内容と共に、代替の期日の提案を行うか、代替の期日の提案を行う期限を直近で定めておけば、円満かつ誠実な交渉が可能であった可能性があります。会社の不手際といえるでしょう。

回答書に記載すべき内容

回答書に記載すべき内容はどのようなことでしょうか。

弁護士が依頼を受けた場合に作成する回答書を参考に、解説していきます。

団体交渉に応諾するかどうか

団体交渉に応諾すべきかどうかは、団体交渉申入書に記載されている議題が具体的で適切なものであるかどうか、大衆団交など不適切な交渉方法のおそれがないかどうかといった観点から十分な検討が必要です。

ひとたび団体交渉に応諾するという方針を決めたのであれば、そのことをきちんと書面で示すことが、「不誠実団交」、「団体交渉拒否」と言われない対策の第一歩です。

文例

当社は、貴組合が要求する団体交渉の議題について、団体交渉に応じます。

団体交渉の場所、時間について

団体交渉の場所、時間について、労働組合側の提案で全く問題がない場合には、そのことについても記載することで、団体交渉拒否との主張を避けることができます。

文例

団体交渉の場所、時間について、貴組合の提案の通りで差支えありません。

しかしながら、団体交渉の場所、時間は、団体交渉のルールの一部として、会社と労働組合との話し合いで決めることです。

したがって、労働組合からの提案をそのまま受け入れることは必須ではありません。ただ、その場合であっても、代替案を示さずに単に拒否することは、団交拒否として争われるリスクがありますので注意が必要です。

文例

団体交渉の場所、時間については、貴組合の提案はお受けしかねます。当社としては、次の場所、時間で団体交渉を開催することを提案しますので、ご検討頂けますでしょうか。

開催時間については、一期日のみでなく、日時の候補を複数上げるとよいでしょう。

交渉窓口の設定

労働組合による団体交渉といえども、一定のルールに従うべきものです。

闇雲に会社のいろいろな部署に連絡し、会社の業務を妨害されるような事態は避けるべきでしょう。

一方で、誠実な交渉をする限りは、交渉窓口を一つにして情報を集約した方が、実効的な団体交渉が可能となります。

したがって、窓口を定め、労働組合に伝えるべきです。

文例

本件に関するご連絡は、人事部○○○○宛に頂けますよう、宜しくお願い申し上げます。

弁護士が代理人としてサポートする場合には、会社ではなく弁護士に対して連絡をするように要求することも可能です。

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労働審判、団体交渉、就業規則、問題社員への対応など、使用者側の労働問題は、経験とノウハウが重要な、非常に難しい法律分野です。

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