労働組合加入通知書団体交渉申入書

合同労組・ユニオンが個別の労働問題に介入する場合、次の手順を踏みます。

  1. 個別の労働者が合同労組・ユニオンに相談する
  2. 労働者が合同労組・ユニオンに加入する
  3. 合同労組が会社に対し、その会社の労働者が加入したことを通知する
  4. 合同労組が会社に対し、団体交渉の申入れを行う

既に、労働問題がこじれて合同労組・ユニオンに加入されてしまった時点で、会社側としては不利な状態からのスタートとなります。

突然「加入通知書」「団体交渉申入書」などと称した書面が届くわけですから、動揺しますし、気の強い経営者であれば、「無視しても大丈夫だろう」と決めて何もしないかもしれませんが、このような対応はお勧めできません。

まずは、今後団体交渉を行うこととなる、という前提のもと、「労働組合加入通知書」、「団体交渉申入書」の記載から読み取れる情報をしっかりとチェックして、今後の対策をしましょう。

(参考)労働組合結成通知書の例
    団体交渉申入書の例

団体交渉申入書を読む前の心構え

突然合同労組、ユニオンから書面を一方的に送り付けられ、これを無視したら労働組合法違反である、等といわれれば、どんな気持ちで書面を読んでよいのかわからなくなってしまいます。

相談事例の中でも、次のような経営者の失敗例から、まずは冷静になり落ち着いて書面を読み、淡々と情報収集をするようにしましょう。

社長一人では冷静な判断ができない場合が多いといえます。怒り、悲しみ、驚き、動揺など、様々な気持ちが冷静な経営判断を阻害する可能性が大きいと考えるのであれば、労働問題に強い弁護士と一緒に対策を練るべきでしょう。

気の弱い経営者の失敗例

突然の団体交渉申入書に焦り、すぐに、連絡先として記載されていた合同労組・ユニオンの担当者の電話番号に電話をしてしまいました。

その結果、合同労組の書記長と名乗る人物から、「労働者の権利を侵害しているブラック企業だ」とまくしたてられ、その流れに任せて団体交渉の日取りと場所を一方的に決められてしまいました。

団体交渉の日を一方的に決められてしまったことから、社長一人しか都合の合う者がおらず、社長が一人で合同労組の事務所に訪問し、合同労組の担当者との間で話し合いを行いました。

ここでも合同労組は、一方的に労働者の権利を主張し、「残業代を支払うという内容の書面にサインをしないと今日は帰らせない。」と言われてしまったため、怖くなり、出された書面にサインしてしまいました。

今思うと、書面には汚い字で手書きでいろいろと文字が並んでおり、残業代支払いのこと以外にも、会社に不利な内容を約束させられてしまったかもしれません。

気の強い経営者の失敗例

突然、全く知らない団体から、団体交渉申入書という書面を一方的に送り付けられたことで、「社内の問題は労働者が自分で社長と話し合いをするべきではないか。全く知らない団体と社内のことを話し合う気などない。」と考え、放置していました。

その後も、労働問題の解決は早くしなければいけないことから、その労働者に対して直接、「組合は関係ない。文句があるのであれば直接言うように。」と指示を続けていました。

すると、ある日突然、合同労組の書記長と名乗る人物から、「社長の行為は不当労働行為であるから、今後は労働委員会で争う。」と言われ、現在、労働委員会で、不当労働行為の救済申し立てという手続きをされて争っています。

労働組合加入通知書のチェックポイント

労働組合加入通知書に記載されている事項をチェックすることによって、今後団体交渉を行うべき団体がどのような団体であるか、どのように交渉を行っていくべきかを、ある程度判断することができます。

(参考)労働組合結成通知書の例

まず、合同労組・ユニオンの名称を確認

まずは、合同労組・ユニオンの名称が記載してありますから、そちらをチェックしましょう。

合同労組、ユニオン自体についての調査は、こちらの記事を参考に行ってください。

合同労組、ユニオンにはそれぞれ特色があり、団体ごとに交渉態様も様々です。

労働問題に強い弁護士であれば、過去に交渉を行ったことがある団体であり、経験がある場合もあります。

社内に支部が設置されているかを確認

上部団体の名称の下に、会社名のついた労働組合名が記載されている場合、これは社内に上部団体の合同労組の支部が結成されたことを意味します。

支部が設置されると、多くのケースでは労働問題が長期化し、複数の労働者を巻き込んだ集団労使紛争に発展することとなります。

また、社内の他の従業員に対して、支部組合への加入を勧誘する動きをするおそれがあります。

したがって、支部が設置されたか否かを確認し、支部が結成された場合には特に慎重な対応が必要となります。

支部が結成されると、社内の労働者が、支部組合の執行委員長、書記長といった役職を名乗ることとなります。組合の方針は、これらの役職者の決めるところが大きいため、どのような労働問題を抱えた労働者が執行委員長になっているかは非常に重要です。

とはいえ、役職者に個人的に働きかけ、組合活動を中止するよう指示することは、不当労働行為となるおそれの非常に高い行為ですから、行わないでください。

次に、社内の組合の状況について確認

次に、社内の労働者が、どのような状況であるかを確認する必要があります。

まず、どの労働者が加入したか、どの労働者に関する労働問題が議題となっているかを確認します。

団体交渉とはいっても、個別の労働問題が議題となっているときには、個別労働問題の話し合いとあまり変わりありません。したがって、どのような問題であったか、会社側の主張が通る可能性がどの程度あるのか、既に退職してしまった労働者か、在職中の労働者か、といった点を検討していきます。

議題の中心となっている労働者が既に退職済みの場合には、一般的には、金銭的な解決で円満にまとまる場合が多いといえます。

団体交渉申入書のチェックポイント

団体交渉申入書を読む際には「是々非々の対応である」ということを念頭に置きましょう。

全ての要求について、合同労組の要求を飲まなければならないわけではありません。法律上必要なことは、誠実に交渉することであって、要求に全て合意することではありません。

(参考)団体交渉申入書の例

団体交渉のルールは、合同労組と会社との話し合いで決定すべきものですから、次の事項については、団体交渉申入書から組合の意向を確認した上で、これに合意することが可能かどうかを検討します。

  • 団体交渉の開催日時
  • 団体交渉の開催場所

団体交渉の議題については、労働組合法上、一定の労働条件に関するもの等に制限されていますので、どのような議題を合同労組が求めているかをチェックしておきましょう。

最後に、回答期限に注意しましょう。必ずしも回答期限を守らなければならないわけではないですが、誠実な交渉を行うため、回答期限までに回答が困難な場合には、その理由と共に、合同労組に一度お伝えしておくべきでしょう。

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