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労働審判で「残業代請求」された会社が主張すべき4つの減額ポイント

更新日:

労働審判で、未払残業代を請求する労働者は、近年ますます増加しています。会社の社長の頭を悩ませている大きな課題が「残業代」ではないでしょうか。

残念ながら、日ごろから「残業代」についての対策を全くしていない会社では、労働審判未払残業代を請求されると、一定の金銭を支払わなければならなくなることがほとんどです。

よくある法律相談

当社では、残業代を支払わないことを、入社時に明確に説明している。
残業代を全て込みという約束で給与を支払っている。
残業といいながら、遊んでばかりいるが、残業代を支払わなければならないのか。
労働審判で、就業規則・タイムカードを開示するようにと言われたが、従わなければならないのか。

残業代請求労働審判についての、これらの法律相談は非常に多くあります。

経営者の立場では、「残業代請求」には怒りを感じることも多いでしょうが、不誠実な対応を続けると、労働審判においても、不利な心証を抱かれてしまうこともあります。

そこで今回は、残業代請求労働審判を申し立てられた会社が、会社側(企業側)の有利な流れで労働審判を進めるために、検討すべき4つの主張(減額ポイント)を、解説します。

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企業の労働問題解決ナビを運営している「弁護士法人浅野総合法律事務所」では、「残業代請求」を争う労働審判を解決してきた実績が、豊富にございます。

弁護士
浅野英之
弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区)、代表弁護士の浅野です。

労働審判で残業代請求を受けてしまったとき、どうしてよいか、対応にお困りの会社が多いのではないでしょうか。

日ごろから、顧問弁護士のアドバイスを受けながら、残業代が発生しないように対策をしていなければ、残業代請求は、労働者側に有利と言わざるを得ません。

労働審判における残業代の計算方法に誤りがある

労働審判を申し立てられた残業代の種類に合わせて、「計算方法に誤りがある。」という主張が、会社側(企業側)の検討すべき、1つ目の反論となります。

労働審判によって残業代請求をされてしまったときは、まず、請求された賃金が、どのような種類の残業代であるかを検討してください。

労働審判における労働者側の主張は、「労働審判申立書」を読めばわかります。

「残業代」は、法的には「割増賃金」といいます。この「割増賃金」には、いくつかの種類があり、その種類ごとに、残業代の計算方法が異なります。

また、「いつの時間に行った残業のことをいっているのか。」を知ることによって、会社側(企業側)から、労働時間についての反論がしやすくなります。

時間外割増賃金

労働基準法においては、「1日8時間、1週40時間」「法定労働時間」といい、この「法定労働時間」を越えて労働させる場合には、36協定を締結し、「時間外割増賃金(残業代)」を払わなければなりません。

「時間外割増賃金(残業代)」の計算方法は、次の通りです。

ポイント

基礎賃金(月額) ÷ 月平均所定労働時間 × 時間外労働時間 × 1.25

中小企業の特例に該当しない限り、「1週60時間」を越える残業があるときは、その部分は「1.5倍」の割増賃金が必要です。

休日割増賃金

労働基準法では「1週に1日、若しくは、4週に4日」法定休日を定め、この法定休日に労働させる場合には、「休日割増賃金(残業代)」を支払わなければなりません。

「休日割増賃金(残業代)」の計算方法は、次の通りです。

ポイント

基礎賃金(月額) ÷ 月平均所定労働時間 × 休日労働時間 × 1.35

法定休日のみの「週休1日制」とすると、1週の労働時間が40時間を超え、「時間外割増賃金」が発生するため、「週休2日制」とする会社が多いです。

深夜割増賃金

労働基準法では、労働者の健康、安全の保護のため、「午後10時~午前5時」を「深夜」とし、「深夜労働」をさせる場合には、「深夜割増賃金(残業代)」を支払わなければなりません。

「深夜割増賃金(残業代)」の計算方法は、次の通りです。

ポイント

基礎賃金(月額) ÷ 月平均所定労働時間 × 深夜労働時間 × 1.25

「深夜のみ労働をさせる」という会社でない限り、通常は、「深夜労働」は、「時間外労働」にもなることが多いです。

この場合、「時間外労働」と「深夜労働」が重複することとなる結果、「1.5倍」の割増賃金を支払う必要があります。

労働審判における基礎賃金の算出に誤りがある

さきほど解説した計算方法のうち、割増賃金の「基礎賃金」の算出方法には、一定のルールがあります。

労働審判における「基礎賃金」の算出に誤りがあるかどうかが、「残業代」の労働審判で、会社側(企業側)が検討すべき2つ目の主張です。

割増賃金(残業代)の「基礎賃金」の算出方法のルールは、労働基準法施行規則に定められています。

労働基準法の規定によれば、「基礎賃金」に算出する必要のない手当があります。

労働者が、申し立てた「残業代」の労働審判において、「基礎賃金」には本来含まれるべきではない手当を含めて算出していると、残業代は、本来の適正額よりも高額となってしまいます。

具体的には、労働基準法施行規則21条で、次の手当てが、残業代の「基礎賃金」に含まれないこととなっています。

ポイント

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

「手当」のうちの一定のものについて、残業代の「基礎賃金」に含めないのは、労働者個人ごとの事情によって、残業代の単価が異なるのは妥当ではないという配慮からです。

「手当」を控除するかどうかは、その「名目」ではなく、「実質」まで見て判断しなければなりません。

労働時間に争いがある

労働審判で「残業代請求」された会社が、考えておくべき3つ目の反論が、「労働時間が異なる。」というものです。

労働者が、労働審判において提出してきた証拠を検討して、実際の残業時間(実労働時間)が正しく算出されているかどうか、検討します。

会社側(企業側)で再計算する

労働者と会社側(企業側)との間では、労働時間についての証拠は会社側(企業側)が多く持っている場合が多くあります。

そのため、労働審判前の交渉が不十分であると、労働者の残業代計算は、あくまでも「概算(推定計算)」に過ぎないこともあります。

したがって、会社側(企業側)が保管している証拠(タイムカードなど)をもとに、より詳細な実労働時間の計算ができる場合には、会社側(企業側)に有利となる反論のため、必ず再計算をします。

再計算の結果、労働者側の請求している残業代が過大である場合には、労働審判において反論するとともに、会社側(企業側)の保管している証拠を提出します。

労働者側がタイムカードを越える主張をするケースの対応

タイムカードが存在する場合には、労働審判では、労働者側は、原則としてタイムカードにしたがった残業代計算をしてきます。

しかし、労働者側が、タイムカードよりも多い残業時間を主張する場合として、労働者側で次のような主張をしてくるケースがあります。

ポイント

  • タイムカードを労働者自身が押したことがない。
  • タイムカードは上司が勝手に押している。
  • タイムカードは事後的に偽造された。
  • タイムカードを定時に打刻してから残業をするよう言われている。

労働者側からこのような主張がされた場合には、労働者側の主張を裏付ける証拠が提出されているはずです。

タイムカードがある場合、原則としてはタイムカードどおりの労働時間となるため、労働者側から出された証拠を否定するために反論をしてください。

会社側がタイムカードを下回る主張をするケースの対応

反対に、会社側が、タイムカードよりも少ない残業時間を主張する場合としては、会社側では、次のような主張をします。

タイムカードを会社が管理、保管している場合、会社も、タイムカード通りの残業時間を認めていたとされるケースが多いため、以下の反論は、しっかり証拠を準備しなければ、認められづらいでしょう。

ポイント

  • タイムカードは労働者が勝手に押していた。
  • タイムカードを押してから仕事をせずに遊んでいた。
  • 仕事をせずに社内に残り、帰るときにタイムカードを押していた。
  • そもそも残業を命じたことがない。

このような反論を会社側(企業側)で検討している場合には、労働審判で残業代を請求される前に、タイムカードの態様、勤務態度などについて、厳しく注意した事実があるべきです。

労働者に、問題のある勤務態度があったとしても、タイムカード上の残業を容認していた場合には、労働審判では「黙示の残業命令」があったと評価される高いでしょう。

注意ポイント

会社側(企業側)で、タイムカードを使用しているにもかかわらず、「実労働時間がタイムカードと異なる」という主張は、明らかな証拠がない限り難しいでしょう。

逆に、労働審判で残業代請求をされてはじめてこのような主張をすることが、「会社側の労務管理がずさんであった」との印象を抱かせるおそれがあります。

タイムカードがないケースの対応

ここまでは、タイムカードがあることを前提として、労使間で、そのタイムカードによって残業代を計算するかどうかに争いがある場合の対応を解説しました。

しかし、労働審判で残業代請求され、労働時間が争いとなっているケースの中には、タイムカードが存在しない事案もあります。

タイムカードがないケースでは、労働審判において残業時間の証明をしなければならない責任が労働者にあることから、労働者側が、残業時間を示す一定の証拠を、タイムカード以外で提出することになります。

しかし、残業時間・労働時間を把握・管理する義務が会社にあることから、会社側(企業側)としても、労働審判における主張・反論を積極的に行う必要があります。

労働者側から提出された証拠が、手帳、写真、メールなど、信用性の低い証拠であっても、会社側(企業側)が労働時間の管理を怠っていたと評価されれば、労働者主張のとおりの残業代が認められるおそれがあるからです。

残業代を支払わなくてもよい場合にあたる

労働基準法には、残業代を支払わないことができる場合に関する規定があります。一定のケースでは、会社は残業代を支払わなくてもよいということです。

「時間」によって管理すべき労働者ばかりではないからです。

例えば、次の要件にあてはまる場合には、残業代についての労働基準法の条文が「適用除外」となるか、もしくは、残業代の一部を支払わなくてもよい可能性があります。

会社側(企業側)が、労働審判で申し立てられた残業代請求に対して考えられる反論の1つとなります。

ポイント

  • 申立人が管理監督者である。
  • 申立人が裁量労働制の適用対象者である。
  • 申立人が事業場外みなし制度の適用対象者である。
  • 申立人が変形労働時間制の適用対象者である。
  • 申立人がフレックスタイム制の適用対象者である。

ただし、いずれの残業代請求の例外についても、「残業代を支払わなくてもよい。」という労働者側にとって非常に厳しい効果を生むことから、要件は厳格です。

これらの要件について、事前に検討をしていなくて、労働審判を受けてはじめて反論しようと気づいた、というのであれば、労働審判では認めてもらえない可能性が高いでしょう。

「残業代請求」を争う労働審判は、弁護士にお任せください

いかがでしたでしょうか。

「残業代請求」労働審判で、会社側(企業側)が検討しておくべき反論を、まとめました。

「残業代請求」労働審判を、会社側(企業側)の有利に進めていくためには、ここでまとめた反論について、事案に応じて使い分けていただく必要があります。

常日頃から顧問弁護士と顧問契約するなど、残業代請求をされないよう準備していたのでない限り、残業代についての詳しい知識に基づく労働者側弁護士の請求に対応することは難しいと言わざるを得ません。

労働者側から残業代請求を受けてしまったときは、減額交渉を数多く経験した弁護士に、労働者側との対応をお任せください。

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弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区)では、労働問題と企業法務しています。 会社で、常日頃から問題となる労働問題と企業法務に特化することで、会社を経営する社長、人事労務の担当者の目線に立って、親 ...

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まとめ

企業の労働問題解決ナビをご覧いただき、ありがとうございます。

この解説をご覧いただければ、労働審判で、未払い残業代(割増賃金)を請求されたとき、次のことを検討していただく必要があることをご理解いただけたでしょう。

解説まとめ

  • 労働者側が労働審判で請求した残業代が、適切な算出方法にしたがって計算されているか。
  • 労働者側が労働審判で請求した残業代を裏付ける「タイムカード」などの証拠が存在するか。
  • 残業代を支払わなくてもよいケースにあたらないか。

そして、このような多くの検討は、労働審判による残業代請求の場合には、会社側(企業側)としては、労働審判の第1回期日までに行わなければなりません。

適切な未払い賃金の額についての考え方、残業代請求労働審判の解決の落としどころなどについてお悩みの会社は、お早めに法律相談ください。

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