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労働審判で残業代請求と「付加金」を請求された!会社側の対応は?

更新日:

労働審判を、会社側(企業側)で戦うときには、労働者から、金銭を請求されるケースが多くあります。

労働者が会社に対して労働審判残業代を請求する、というケースが典型例です。

労働者から、残業代を請求されると、相当高額であるため、非常にびっくりされる会社経営者が多いのではないでしょうか。

その上、「遅延損害金」、「付加金」などと、見慣れない用語が申立書に記載されています。

こんな相談があります!

残業代を支払うだけでは許されないのか・・・。

未払残業代を放置しておいたことによって、どれほど高額の金銭を要求されてしまうのか想像もつかない。

付加金で、残業代が2倍になる。」と聞いたが、本当か。

といった疑問、不安を、法律相談ではよく聞きます。

残念ながら労働者から残業代を請求されてしまった場合、労働者側の弁護士は、残業代と合わせて「遅延損害金」、「付加金」を請求するのが一般的です。

これらの残業代の「おまけ」は、訴訟で請求されるものですが、労働審判という訴訟に比較して簡易な方法であっても、付加金を請求されてしまうのではないかと不安に思われ、相談されるケースが多くあります。

そこで今回は、残業代請求とともに、労働審判において請求される「付加金」について、企業側(会社側)で労働審判を解決してきた弁護士が、わかりやすく解説します。

もっと詳しく!

「付加金」は、残業代の未払について会社に対する制裁という意味を持っています。

「付加金」は、労働基準法に定められている一定の金銭の支払に対して、裁判所の命令によって決められるものです。

いざ「付加金」が認められてしまうと、「付加金」が残業代と同額を上限とすることから、最大で残業代が倍になってしまう、非常にリスクの高い制度です。

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企業の労働問題解決ナビを運営している「弁護士法人浅野総合法律事務所」では、「付加金」と残業代の請求を含め、労働審判を会社側(企業側)の立場で解決する弁護士です。

弁護士
浅野英之
弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区)、代表弁護士の浅野です。

残業代請求をされた上、付加金の請求までされてしまうと、非常に焦ってしまう会社も多くあります。

しかし、残業代請求をする労働審判の申立書は、あくまでも労働者側の主張を記載しているものですから、速やかに、的確な反論をすることによって、労働審判を戦っていくことができます。

特に、今回解説しますとおり、付加金の請求については、労働者が提起してきたのが労働審判であれば、今のところすぐに心配しなければならない状況ではありません。

付加金とは?

付加金とは、一定の金銭を会社が労働者に対して払っていなかった場合に、この未払い額と同額を支払うよう命じる制度です。

「付加」とは、「付け加えること」を意味していますが、要は、未払いとなっている金額に、「更に付け加えて支払わなければならない金額」というのが、「付加金」の意味です。

付加金の法律

付加金の支払の根拠は、「労働基準法」という法律に定められています。

具体的には、労働基準法114条に、次のように定められています。

労働基準法114条

裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第39条第6項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。

つまり、付加金の支払には、次の2つの要件を満たす必要があるというわけです。そして、付加金の上限が、未払いとなっている金額と「同一額」であることも読み取れます。

付加金の2つの要件

  1. 裁判所の命令があること
  2. 労基法の一定の条文に規定された賃金の未払いがあること

したがって、労働審判で付加金を請求されてしまった会社としては、この2つの要件を満たしているのかを確認する必要があります。

付加金の対象となる賃金など

さきほど労働基準法(労基法)の条文を解説しましたとおり、付加金を支払うよう裁判所が命令できる賃金などは、一定のものに限られています。

付加金の支払を命じることのできる一定の未払金とは、次のものがあります。

  • 解雇予告手当(労働基準法20条)
  • 休業手当(労働基準法26条)
  • 割増賃金(時間外、深夜、休日)(労働基準法37条
  • 有給休暇期間の賃金(労働基準法39条6項)

付加金を命じる裁判所の命令

次に、付加金の対象となる賃金の未払いがあったとしても、付加金は、裁判所の命令があってはじめて発生します。

つまり、付加金は、裁判所の命令があって初めて支払が義務付けられるものであって、裁判所による一定の決定がなければ会社が付加金を支払う義務はありません。

付加金支払の命令をするかどうかは、裁判所の裁量に任されています。

更には、この「裁判所」というときに、労働審判を行う「労働審判委員会」が、付加金を命じる権限があるのかどうかが問題となります。

裁判所が付加金の支払を命じることができる場合とは?

ここまでお読みいただければ、「労働審判付加金を請求された。」といってあわてることもありません。

裁判所の命令がなければ、たとえ労働審判で付加金を請求されたとしても、付加金まで払わなければならない責任はないからです。

そして、この付加金の支払義務を会社側(企業側)に負わせるための命令をすることができる場合は、限定されています。

したがって、会社が、以上の労働問題の知識をしっかりと理解して戦えば、付加金を支払わなければならないようなケースは、非常に限定的であるといってよいでしょう。

訴訟では、付加金が命じられる?

まず、裁判所は、訴訟においては、会社に対して、付加金を支払うように命じることができます。

ただし、付加金の支払が命じられたとしても、実際に付加金を支払わなければならないのは、その判決が確定した後です。

そのため、第一審の判決で付加金の支払を命じられたとしても、その後、控訴して、請求された残業代自体を争ったり、和解をしたりすれば、結果的に付加金を支払わなくてもよくなるケースもあります。

労働審判では、付加金が命じられる?

これに対して、裁判所は、労働審判においては、会社にたいして、付加金を支払うよう命令することはできないとされています。

そのため、次に解説するように、労働者側が、労働審判でも付加金を請求するのは、あくまでも「付加金の時効中断」が目的で、実際に労働審判で「付加金まで支払わなければならない。」という事態にはなりません。

したがって、労働審判の段階であれば、少なくとも、まだ「付加金」については安心してよい段階であるといってよいでしょう。

もちろん、残業代に未払がある場合には、付加金まで払わなければならないかはともかくとしても、会社を守るために、きちんと反論すべきです。

より詳しく!

労働基準法114条は、付加金の支払い命令をすることができる対象を「裁判所」としています。

しかし、労働審判の判断主体は、「裁判所」ではありません。

確かに、労働審判は、裁判官も加わって判断してもらえる制度ではありますが、労働審判の判断主体は「労働審判委員会」です。

この「労働審判委員会」を構成する裁判官は、「審判官」と呼ばれ、労働基準法にいう「裁判所」にはあたらない、別物と考えられています。

労働審判で、付加金を請求してくる意味は?

労働審判では、「労働審判委員会が判断をするので、付加金の支払を命令されることはない。」ということは理解しました。

でも、付加金の支払を命令することができず、会社は付加金を支払う必要がないのであれば、なぜ、労働者側は、申立書に付加金まで記載しておくのでしょうか。

申立書に書く金額が大きくなればなるほど、労働審判を申し立てられた会社にとってはプレッシャーを感じてしまいます。

労働審判の段階から、労働者側(やその代理人弁護士)が、付加金を請求してくるのは、付加金に「除斥期間」があるからです。

「除斥期間」とは、付加金が請求できなくなる時期のことをいいますが、要は、労働審判の段階から請求をしておかなければ、訴訟になったときに付加金を請求できなくなってしまうケースがあるということです。

なぜ労働審判申立書に付加金請求の記載がされていることが多いかというと、それは、「付加金が請求できなくなる期間」に関係しています。。

付加金は、2年間が経過すると、もはや訴訟によっても請求できないこととなっています。

労働基準法114条但書に規定がありますので、ご覧ください。

労働基準法114条但書

ただし、この請求は、違反のあつた時から二年以内にしなければならない。

この2年間は期間は、「除斥期間」といわれています。

ポイント

「時効」という言葉は有名ですが、「除斥期間」は、「時効」よりも強力です。

消滅時効であれば、訴訟提起をしなくても内容証明郵便などによる催告によって6か月間消滅時効の進行を猶予させることができますが、除斥期間はそうではありません。

除斥期間には「時効の中断」のような制度がないため、訴訟提起をしなければ2年で消滅するのです。

労働審判に対していずれかの当事者が異議申立をすると訴訟に移行し、その場合には、労働審判申立のときに訴訟提起があったものとみなされます。

すると、労働審判申立の時点で付加金除斥期間が停止することとなります。

この除斥期間の停止こそ、命令がなされることのない労働審判においても付加金が請求される理由です。

労働審判で付加金請求されたときの、会社側(企業側)の対応は?

労働審判で付加金を請求されてもあわてることはない、というのはわかりましたが、では、実際にはどのように対応すればよいのでしょうか。
残業代だけでもかなり高額の請求になりますし、やはり心配です。

では、実際に、労働審判で、付加金を含めた残業代を請求されてしまったときに、会社側(企業側)の立場でどのように対応したらよいのか、弁護士が解説していきます。

労働審判は、第1回期日までに、すべての準備を完了する必要があります。

特に会社側(企業側)の場合には、労働審判を申し立てるタイミングを自分で決めることができないため、「受け身」になりがちですが、スピーディな準備が必要です。

未払残業代の存在を争う

まず、残業代請求労働審判を申し立てられてしまったとき、会社側(企業側)が付加金の支払が命じられるのは、未払残業代が存在する場合です。

そのため、未払残業代が存在しなければ、そもそも付加金を支払う必要はありません。

そこで、残業代支払義務が存在しないと主張し、労働者の申立てに反論していくのが、第一の対応策です。

和解をする

未払残業代の支払義務が「全くない」とはいえないものの、労働者の請求金額は多すぎる、というケースもあります。

このような場合、会社側(企業側)でも、しっかりとした反論がある場合には、和解によって、一定程度減額してもらい、労働審判の手続の中で話し合いをして解決することもできます。

話し合いをする場合には、労働審判の手続の中で終了するのですから、付加金は支払わないことを前提とした和解となることが一般的です。

労働審判に従う

労働審判の手続の中で、話し合いがまとまらない場合、「労働審判」という決定を、労働審判委員会に出してもらうことになります。

さきほど解説したとおり、労働審判委員会は、付加金の支払を命令する権利がありませんから、労働審判の段階では、残業代と遅延損害金を支払うという内容になっています。

労働審判に従って、未払残業代を支払えば、それでこの事件は終了となり、付加金を支払う必要はありません。

労働審判に異議申し立てする

しかし、労働審判の内容に不服があり、もっと詳しく争いたいというケースもあるでしょう。

労働審判の内容に納得がいかない場合には、労働審判に対して「異議申し立て」をすることで、自動的に訴訟に移行させることができます。

訴訟に移行した場合であっても、事実審の口頭弁論が終結するまでは、付加金を支払う命令は確定しません。

会社側(企業側)にも、残業代を支払わないための言い分があるのであれば、労働審判だけで終わるのではなく、訴訟で詳しく審理をしてもらっても、当面の間は、付加金の心配はありません。

違法・不誠実でないことを主張する

付加金を支払うことを命じるかどうかは、裁判所の裁量とされています。

つまり、残業代の未払いがあっても、付加金を支払うことを命じないことも、裁判所にはできるのです。

裁判所が、付加金の支払命令をするかどうかは、会社側(企業側)の交渉態度が著しく不誠実であったり、残業代未払の違法性の程度が著しく大きかったりするかどうかで決まります。

付加金の支払は、これらの違法・不誠実な会社にたいする「制裁」という意味を持っているからです。

会社側(企業側)としては、残業代について争うとしても、「誠実な話し合いに応じていること」、「違法性は軽微であること」を主張しましょう。

労働審判の解決は、弁護士にお任せください

いかがでしたでしょうか。

今回の解説をご覧いただき、労働審判で、残業代請求をされたときに、付加金を請求されたら、どのように対応したらよいのか?」という疑問について、理解が深まったのではないかと思います。

会社側(企業側)で、残念ながら労働者から労働審判を申し立てられてしまったときの対応は、弁護士にお任せください。

この解説を書いている、弁護士法人浅野総合法律事務所では、会社側(企業側)での、労働審判の解決に注力しています。

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まとめ

企業の労働問題解決ナビをご覧いただき、ありがとうございます。

今回の解説では、「労働審判で、残業代請求をされ、付加金まで請求されてしまった。」という会社経営者の質問に回答しました。

この記事では、次のことを理解していただけます。

「付加金」についての基本的な知識
労働審判では、「付加金」の支払を命令することができない。
それでも、除斥期間が経過しないよう、労働者側は、労働審判でも「付加金」を請求してくる。
結果的に付加金までの制裁は負わないように、労働審判による残業代請求には、的確に対応する必要がある。

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