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労働審判の答弁書の、会社側(企業側)の5つの基本ポイント

更新日:

労働審判を、労働者側から申立をされてしまったとき、会社側(企業側)では、「答弁書」を作成することで、主張立証を伝える必要があります。

裁判所から会社に送られてきた「期日呼出状及び答弁書催告状」に、「答弁書をいつまでに作成すべきか。」ということと、答弁書の例が同封されています。

「答弁書」を記載するにあたって、会社側(企業側)では、次のような法律相談がよくあります。

ポイント

労働審判の答弁書の書き方がわからない・・・
労働審判申立書に書いてあることが理解できず、どのように反論したら会社側(企業側)に有利になるのか・・・
裁判所から送られてきた答弁書のサンプルが簡単すぎて、会社側(企業側)の意見が伝えづらい・・・

このような不安、疑問をよくお聞きします。

裁判所から指定された、第1回期日のおおむね1週間程度前までに、充実した「答弁書」を作成し、送付します。

今回は、労働審判を数多く経験し、労働審判対応を得意とする弁護士が、会社側(企業側)でサポートするときにどのような答弁書を用意するかの、基本的なポイントを解説します。

労働審判における「答弁書」には、裁判所の示した一応のサンプルはあるものの、弁護士が書く場合には、同封されたサンプルに手書きで記載することはありません。

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弁護士
浅野英之
弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区)、代表弁護士の浅野です。

労働審判の答弁書を、会社だけで作成しようとすると、言いたいことはたくさんあるものの、なかなか書式にしたがって綺麗にまとめられないことにお気づきではないでしょうか。

当事務所では、裁判所(労働審判委員会)がどのような点に着目するかも踏まえ、伝わりやすい労働審判の答弁書の作成を心掛けています。

答弁書の期限

労働審判において作成すべき答弁書の「期限」は、裁判所から送られてくる「期日呼出状及び答弁書催告状」に書かれています。

この書面は、答弁書の作成期限以外にも、次の情報がわかる重要な書面ですので、弁護士に相談するときにご持参ください。

ポイント

  • 労働審判の第1回期日の開催日
  • 労働審判の開催される裁判所の場所
  • 労働審判を担当する裁判所の部
  • 労働審判の担当書記官と連絡先

このときに同封された書面の中に、「答弁書の記載例」が入っています。

しかし、こちらはあくまでも、会社側(企業側)が、自分ひとりで対応する場合に参考にすべき、簡易な答弁書に過ぎません。

弁護士が、労働審判対応のご依頼を受ける場合には、訴訟の答弁書と同様の形式で、労働審判でも充実した答弁書を作成することとなります。

答弁書に記載すべき事項

労働審判の答弁書に記載すべき事項は、「労働審判規則」という、労働審判についてのルールを定めた規則に書いてあります。

弁護士が労働審判の答弁書を作成するときであっても、この「労働審判規則」のルールにしたがって、記載事項を考えていくことになります。

「労働審判規則」には、労働審判の答弁書に、次のことがらを記載するよう定められています。

申し立ての趣旨に対する答弁
答弁を理由づける具体的な事実
予想される争点および当該争点に関連する重要な事実
予想される争点ごとの証拠
当事者間においてなされた交渉その他の申し立てに至る経緯の概要

必ずしも、この順序で記載していくことが求められるわけではありませんが、裁判所(労働審判委員会)に、会社側(企業側)の主張が伝わりやすい記載方法であることを重視します。

以下、「労働審判規則」にしたがって、答弁書の記載事項について、わかりやすく解説していきます。

申し立ての趣旨に対する答弁

労働者からの申立の内容(全体的な主張のことをいいます。)を、「申し立ての趣旨」といいます。

会社側(企業側)が答弁書に書いておくべき項目の1つ目「申し立ての趣旨に対する答弁」とは、労働者からの「申し立ての趣旨」に対する、会社側(企業側)の意見のことです。

例えば・・・

「申し立ての趣旨」として、労働者から「未払残業代を支払え。」と請求されたときに、会社側で「支払う義務がない」という回答をしたり、

「申し立ての趣旨として、労働者から「不当解雇なので労働者としての地位を確認してほしい。」と請求されたときに、会社側で「解雇は有効である」という回答をしたり、

といった機能が、「申し立ての趣旨に対する答弁」にはあります。

「申し立ての趣旨に対する答弁」については、定型的な書き方がありますので、答弁書の記載例にしたがって記載するとよいでしょう。

答弁を理由づける具体的な事実

「答弁を理由づける具体的な事実」とは、先ほど書いた「申し立ての趣旨に対する答弁」のような回答となる理由を記載します。

この部分が、会社側(企業側)が労働審判で伝えるべき、一番重要な部分となります。

労働法の法律、判例・裁判例に照らして適切な主張を構成し、その主張ごとにその要件に該当する事実を記載しなければ、労働審判で会社側(企業側)有利な解決を認めてもらうことはできません。

もっと詳しく!

労働審判の答弁書に記載する「答弁を理由づける具体的な事実」では、会社の概要、労働者の概要からはじまり、事実を、わかりやすく整理して記載します。

事案によっては、時系列表を作成して添付することが、裁判所(労働審判委員会)へ、よりわかりやすく事実関係を伝える助けになり、より良い答弁書となります。

予想される争点および当該争点に関連する重要な事実

この部分ではまず、会社が「争点」と考えることについて、記載します。

例えば、労働審判において、よく問題となる争点としては、次のようなものがあります。

  • 普通解雇の不当性・違法性
  • 懲戒解雇の不当性・違法性
  • 未払い残業代が発生するかどうか
  • みなし残業代の固定払いの有効性
  • パワハラの違法性と損害額

労働者の申立に対して会社の意見が異なる部分を記載し、その争点について、会社の主張が正しいと説得するために要件となる事実を記載します。

答弁書に書くべき「争点」には、法的な争点(「法律の解釈が異なる」「法律の適用が異なる」等)と、事実的な争点(「事実関係が真実と反する」等)があります。

予想される争点ごとの証拠

さきほど答弁書に記載した「争点」について、労働審判委員会に対して、会社側(企業側)有利の心証を抱かせるためには、適切な証拠を準備しなければなりません。

裁判所は、「証拠」を重視して事実の判断をします。このことは、労働審判でも訴訟でも同様です。

ただし、労働審判では迅速性が重視されるため、山ほどの証拠を提出しても、有利にはたらかない可能性があります。

労働審判で、答弁書と一緒に提出する証拠は、「争点」を判断するのに十分な、的確なポイントをしぼった立証が功を奏します。

事案によっては、多くの証拠を出しすぎると、労働審判によっては判断しきれないとして「24条終了」として訴訟をするよう誘導されるおそれがあり、労働問題が長期化します。

当事者間においてなされた交渉その他の申し立てに至る経緯の概要

労働審判における最終判断への影響はそれほど大きくはないですが、交渉経緯もまた、答弁書の記載事項の1つとされています。

すなわち、交渉経緯と労働審判に至った経緯を、答弁書に書いておきましょう。

注意ポイント

労働者が、労働法にしたがった正当な権利を申し立てているにもかかわらず、会社の対応が不誠実であったと思われれば、労働審判委員会の心証は悪いといわざるをえません。

会社側(企業側)としては、労働者の申出に対しては誠実な対応をしていたことを、答弁書に記載しておくべきです。

答弁書に記載する順番は?

労働審判の答弁書に記載しておいたほうがよいことについては、理解しました。

送られてきた答弁書のサンプルだと、記載順序は固定されていますが、実際に答弁書をつくるときには、書く順序は関係あるのでしょうか。

会社側(企業側)で答弁書を作成するとき、弁護士として心掛けているのは、会社側(企業側)の主張が、裁判所(労働審判委員会)に伝わりやすいかどうかです。

弁護士、裁判官などが身に着けている「法的思考」の方法には、考え方の順番がありますので、それに沿って書けば、わかりやすい答弁書になるでしょう。

答弁書には、事実経緯法的主張の双方を記載しなければなりません。

労働審判の答弁書に書かなければならない事項は多くありますが、わかりやすく伝えるためにも、どのような順序で記載すべきかが、弁護士の腕の見せどころともいえるでしょう。

基本的には、労働審判委員会に理解してもらいやすい答弁書の記載の仕方が一番で、この考え方に基づいて考えます。

法律の専門家が考える思考方法は、次の通りです。

ポイント

  1. 証拠によって、事実を証明する
  2. 証明された事実を、法律にあてはめる

そのため、答弁書に書くときには、この法的な思考方法に逆らわないよう、原則としては、次のような記載順序がわかりやすいと考えます。

ポイント

  1. 事実(これを証明する証拠)
  2. 法律
  3. 事実を法律にあてはめたときの結論

答弁書における事実の認否について

答弁書に書く内容のうち、まず最初に書かなければならないのが「事実」についてのことであると理解いただけたでしょうか。

労働審判においては、まずは労働者側が、申立書で「事実」の主張をしてきます。

そのため、会社側(企業側)で「事実」について行うべきことは「認否」、すなわち、「認めるか、否定するか」を明らかにすることです。

答弁書に書いておくべき事実についての「認否」とは、労働審判申立書に労働者が書いた事実について、会社の認識を示す作業です。

労働審判ですべき法的な主張については、このサイトでも折に触れて解説していますので、ここでは、「事実の認否」についての注意点をまとめておきます。

事実の認否を答弁書に書く理由

労働審判で、会社側(企業側)が答弁書を作成するとき、なぜ、事実の認否をはじめに書くのでしょうか。

労働審判では、短期解決のため、迅速に労働審判委員会の判断をしてもらうためにも、「争点」を限定する必要があります。

労働者側の主張する「事実」について、会社側(企業側)が「事実の認否」を行えば、会社側が「争う部分」と「争わない部分」が明確になります。

労使双方の間で、「争いのない事実」については、詳しい審理をする必要がなくなるため、労働審判における事情聴取が、短くて済むというわけです。

事実の認否で気を付けること

労働審判の答弁書における「事実の認否」には、「争点」を限定する機能があるとご理解ください。

そのため、会社側(企業側)としては、労働者側が申立書で主張している事実について「認める」という認否をするときには、慎重な判断が必要となります。

答弁書において認めた事実について、後から争うことが困難となるからです。答弁書における認否の意味が非常に大きいことをご理解ください。

事実の認否の具体的方法

労働審判の答弁書に書く「事実の認否」部分では、申立書に書かれた事実の順番にしたがって、次のことを記載します。

  • 「認める」
  • 「否認する」
  • 「不知(知らない」

労働審判の申立書は、労働者側に有利な内容です。したがって、会社側(企業側)にとっては、不利なことばかりが書かれています。

そのため、「事実の認否」を求めると、「全て否認する。」、「こんな内容は認めない。」という社長は多くいます。労働審判委員会から「問題ある会社なのでは?」というあらぬ誤解を招きかねません。

「争点」を限定するためにも、答弁書における事実の認否は厳密に、できるだけこまやかに行うようにしてください。

労働審判の答弁書作成は、弁護士にお任せください

いかがでしたでしょうか。

今回は、労働審判の申立てをうけてしまい、どのように対応してよいかわからない会社に向けて、答弁書の作成のしかたについて、ポイントを5つにまとめました。

労働審判を受けた際に、最低限準備しておかなければならないのが答弁書ですが、労働審判を会社側(企業側)に有利なものとするためには、答弁書を出すだけでは全く足りません。

労働審判の知識・経験が豊富な弁護士にご依頼いただく場合には、答弁書作成はもちろん、弁護士にお任せいただけます。

また、答弁書作成だけでなく、労働審判を進めるにあたって、不安・疑問がありましたら、なんでもご相談ください。

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弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区)では、労働問題と企業法務しています。 会社で、常日頃から問題となる労働問題と企業法務に特化することで、会社を経営する社長、人事労務の担当者の目線に立って、親 ...

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まとめ

企業の労働問題解決ナビをご覧いただき、ありがとうございます。

今回の解説では、労働審判の答弁書を作成するにあたって、まずは基本的なポイントを解説しました。

この解説をお読みいただければ、次のことをご理解いただけます。

解説のまとめ

  • 労働審判における答弁書の役割と、重要性
  • 会社側(企業側)に有利な答弁書を作成するポイント
  • 会社側(企業側)に有利な答弁書の、具体的な記載事項

当事務所では、会社側(企業側)の立場で、労働審判を数多く担当し、たくさんの答弁書を書いてきました。

答弁書の記載内容は、ケースによってさまざまです。まずは、初回の法律相談にて、御社の労働審判のポイントをお聞かせください。

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