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派遣労働者に限らず、契約終了時というのは最も労働問題がトラブルとなりやすいタイミングですので、契約終了の際には慎重な検討が必要となります。労働者にとって、会社との契約を終了するということは、これまで生活の基礎となっていた収入を失うことを意味しますから、労働者が納得しない場合には労働審判、団体交渉などの紛争リスクが非常に高いといえます。

契約終了時が最も労働問題の多いタイミングであることは、労働者派遣の場合も同様です。労働者派遣の場合、派遣先、派遣元、派遣労働者の三者が絡む問題となり、それぞれに契約関係がありますから、その契約終了時の労働問題もより複雑となります。

特に、派遣法が改正されたことにより、派遣労働者の地位は更に労働者派遣法によって手厚い保護を受けることになり、派遣先、派遣元として派遣労働者の利用を行う場合には、派遣労働者との契約を終了する際の注意をより慎重に行わなければなりません。

今回は、派遣労働者を解雇したり、労働者派遣契約を終了したりする際に、派遣先、派遣元がそれぞれ気を付けなければならないポイントを解説します。

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派遣契約終了のみを理由とした解雇は無効

まず、派遣元が派遣労働者との間の契約を解消する際に注意しなければならない最重要のポイントは、「解雇が制限される。」ということです。雇用していた派遣労働者を解雇する場合に、解雇権濫用法理の制限から、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当な場合でなければ解雇は許されないわけですが、派遣労働者の場合には、これに加えて派遣法による解雇の制限が加わります。

すなわち、派遣先と派遣元との間の派遣契約が終了した場合に、このことのみを理由として派遣元が派遣労働者を解雇することは許されないという点です。

このことは、派遣事業の許可基準や、派遣元指針における次の規定から明らかです。

派遣契約の終了のみを理由とした解雇が許されない理由
  1. 派遣事業の許可基準に、①就業規則や労働契約等で、派遣労働者について派遣契約終了のみを理由として解雇できる規定を置いていないこと、②労働契約期間内に労働者派遣契約が終了した派遣労働者について、次の派遣先を見つけられない等、使用者の責めに帰すべき事由により休業させた場合には休業手当を支払う旨の規定があることが要件とされていること
  2. 派遣元は、派遣契約が終了したことのみを理由として、無期雇用派遣労働者または派遣契約が継続している有期雇用派遣労働者を解雇してはならないことが、派遣元指針に定められていること

すなわちこれは、派遣法改正による、派遣労働者の地位を安定させるための施策の一環として、派遣契約終了のみを理由として派遣元が派遣労働者を解雇することを禁止し、同じ派遣元のもとで更に次の派遣先を手配するよう求めることを内容とするものです。

ちなみに、派遣契約が終了したことのみを理由とした解雇が許されないだけであって、他に派遣労働者を解雇する理由がある場合には、その理由が客観的に合理的なものであり、社会通念上相当であれば解雇は許されることとなります。

派遣元による雇用安定措置の義務

派遣法改正により、有期雇用派遣労働者が、同一の派遣元に継続して3年間派遣される見込みがある場合には、派遣元は、その派遣労働者に対して、雇用安定措置をとらなければならないこととされました。ただし、派遣元の雇用安定措置は、派遣労働者自身が就業の継続を希望しない場合には不要とされます。

具体的に求められる雇用安定措置は、次のものです。

派遣法30条で派遣元に求められる雇用安定措置
  • 派遣先への直接雇用の依頼
  • 新たな派遣先の提供
  • 派遣元による直接雇用
  • その他雇用の安定を図るために必要な措置

したがって、派遣元としては、派遣労働者を一定の期間、有期雇用派遣労働者として雇用する場合には、雇用安定措置を行う準備をしておかなければならないということです。

なお、派遣労働者が、派遣期間終了後に派遣先と直接雇用契約を締結することは、まさに派遣労働者の地位の安定に資するものです。派遣という流動性のある地位から、正規の社員へ転換するためです。そのため、派遣元は、派遣先や派遣労働者との間で、直接雇用を禁止する契約を結んでこれを妨げてはならないものとされています。

派遣先都合の派遣契約解除は慎重に

派遣契約を、派遣先が行う場合には、トラブルに発展するケースが非常に多いことから、慎重な対応が必要です。すなわち、派遣先が派遣元に対して、派遣契約の期間中に、派遣契約を解除することを通告するケースです。

この場合、派遣先は、派遣労働契約の期間満了前に派遣契約を解除する場合には、その理由が派遣労働者の責に帰すべき事由によるものである場合以外は、自社の関連会社での終業をあっせんするなど、新たな就業期間の確保を派遣労働者に対して行う必要があるものとされています。

これに加え、派遣先の責めに帰すべき事由によって、派遣労働契約の期間満了前に派遣労働契約を解除する場合には、派遣元に対して、事前に相当の期間を猶予して解除の申入れをする必要があります。

新たな就業期間の確保を図ったとしてもこれができなかった場合、派遣先は、派遣元に対して更なる責任を負うこととなります。すなわち、派遣元が派遣労働者を休業させることを余儀なくされた場合には、その休業手当相当分や、派遣元が派遣労働者を解雇することを余儀なくされた場合には解雇予告手当相当額の損害賠償を行わなければならないものとされています。

まとめ

今後、派遣先、派遣元はいずれも、派遣労働者の地位安定、派遣労働者の保護のために改正派遣法で定められた手続きにしたがって、派遣労働者の利用を終了するときには、決して軽くない責任を負うこととなります。

そのため、特に派遣労働者の解雇、期間満了前の労働者派遣契約の解除といった契約終了時の労働問題トラブルには注意する必要があります。

派遣労働者の利用、改正派遣法への対応に疑問、不安のある会社様は、企業の労働問題に強い弁護士へご相談ください。

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