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自主退職でも労働組合の団体交渉に応じたケース│団体交渉の解決事例

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労働組合から、団体交渉を申し入れられてお悩みの会社の方に向けて、団体交渉・労働組合対応を具体的にイメージしていただくため、解決事例の解説をしております。

今回は、「自主退職(自己都合退職)」の後に、労働者が、団体交渉を申し入れてきたケースの解決です。

「自主退職(自己都合退職)」だと、会社側(企業側)としては「円満退社」と考え、油断していることが多いですが、それでも労働問題が激化し、団体交渉に発展することがあります。

当事務所の弁護士は、法律上の「守秘義務」を負っています。紹介する解決事例は、会社名などが特定できないよう、具体的な事実を適宜修正しています。

ご相談内容

入社してしばらくした従業員が突然、「一身上の都合でやめさせてもらいたい。」と言ってきました。当社が合わないと思うなら仕方ないと思い、即日退職を許可しました。

しかし、実際の退職理由は、当社への大きな不満にあったようです。突然、労働組合から連絡が来て、困っています。

事案の概要

今回ご相談にお越しいただいたY社は、東京都港区に本社のある、デザイン系のベンチャー企業でした。社員数は、社長をあわせて5人の新しい会社です。

労働組合に加入し、団体交渉を申し立ててきている労働者Xは、3か月前に入社し、ちょうど試用期間を終了したばかりでした。

Xは、試用期間を終了して、本採用された直後に、「一身上の都合」という理由で、突然、Y社の社長に退職届を出してきました。

社長としても「試用期間をちょうど終了したばかりで、これから本格的に仕事を覚えてもらおうとしていたのに…」という矢先の突然の退職にびっくりしましたそうです。

ただ、Y社は新しいベンチャー企業であり、仕事も決して楽とはいえないことから、「退職」を引き留めてもめるよりも、「縁がなかった」とあきらめていたところでした。

しかし、会社側(企業側)としては「円満退社」だと思っていたけれど、労働問題は解決しませんでした。その数日後には、Xの加入した労働組合から、「団体交渉申入書」が届きました。

団体交渉における労働組合の要求事項

Y社が、Xの加入した労働組合から受け取った、「団体交渉申入書」と題する書面には、次のような要求が書かれていました。

「残業代請求」が、今回の団体交渉のメインの議題となることがわかります。

ポイント

  • 就業規則・36協定など、規程類を開示すること
  • タイムカードのコピーを開示すること
  • 未払いとなっていた残業代と、遅延損害金をすぐに支払うこと

団体交渉による労働問題の解決

今回のケースで労働組合が要求しているのは、「残業代請求」です。

残業代対策が万全でなかった場合には、労働組合と団体交渉をする前に、できる限り、労働基準法にしたがった適切な労務管理をして、団体交渉にのぞみましょう。

団体交渉前の準備

今回のケースで、残業代請求を団体交渉により受けましたが、Y社では、顧問弁護士・顧問社労士による残業代対策をしっかり行っており、「未払残業代」はない、というのがY社の見解でした。

しかし、労働組合の団体交渉申入書に、「仕事が忙しすぎて、繁忙期に、昼休憩がまったくとれない」と書かれていました。

実際、職場ではたらく従業員にヒアリングを行ったところ、確かに、ランチを食べに行く時間はとれそうもない働きっぷりでした。

新規事業を立ち上げ準備中だったそうですが、「ベンチャーだから残業代を支払わなくてもしかたない」という言い訳は成り立ちません。

参 考
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第1回の団体交渉

第1回の団体交渉では、まず、労働組合から、「残業代を支払え!」、「残業代を払わないブラック企業は最低だ」と、罵声がとびました。

確かに、「休憩がとれなかった」のであれば残業代が追加で発生する可能性があることを、事前に理解していましたので、第1回の団体交渉で、議題が「休憩がとれなかったこと」にしぼられることを確認しました。

労働組合側としても、それ以外の残業代についてそれ以上の請求はなく、その点は認めるようでした。

第2回の団体交渉とその後

第2回の団体交渉では、「休憩がとれなかったこと」という、第1回の団体交渉で限定できた議題について、労働組合側から、追加の主張がありました。

Xの加入した合同労組の書記長から、「どれほど休憩がとれなかったか。」、「昼休憩時間も惜しんで必死にはたらいたか。」という具体的な事実が語られました。

Y社としては、労働組合のいいぶりは大げさではないか、とも感じましたが、忙しすぎる業務には、他の社員からも不平不満が募っていることが確認できました。

幸いにして、残業代対策が万全であったこと、Xが入社から3か月しかたっていなかったことから、休憩時間分だけの残業代であれば、それほど高額にならなそうでした。

参 考
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労働問題の解決の内容

就業規則、タイムカードなどを開示はしたものの、休憩時間分だけの計算はすぐに終わり、労使双方ともに、それほど大きな乖離はありませんでした。

その結果、和解書を締結し、次の内容で、労働問題を金銭解決しました。

ポイント

  • Y社は、Xに対して、残業代として10万円を支払う。
  • Y社もXも、無関係の第三者に、団体交渉や和解内容について漏らさない。
  • 和解書に記載されたもの以外の要求は、今後は行わない。

担当した弁護士の解説

今回は、「残業代請求」の主張が、団体交渉で争われた事案です。「自主退職」をしたあとであっても、「未払残業代」が争いの火種となることがあります。

「残業代請求」は、日ごろからの対策が重要です。

何も対策していない場合、長時間労働させていたにもかかわらず残業代を払っていなければ、団体交渉であれ、労働審判であれ訴訟であれ、いずれにせよ、残業代を支払わなければなりません。

今回のケースでは、日ごろからの残業代対策が功を奏し、「休憩時間」についての指摘があっただけで、少額の解決金で済ませることができたことが、重要なポイントです。

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弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区)では、労働問題と企業法務しています。 会社で、常日頃から問題となる労働問題と企業法務に特化することで、会社を経営する社長、人事労務の担当者の目線に立って、親 ...

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