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他社員を巻込み労働組合の支部を結成したケース│団体交渉の解決事例

更新日:

労働組合には、憲法・労働組合法で認められた「団結権」という権利があります。労使の交渉力の格差があることから、弱者である労働者は、集団で集まって戦うことができる、というわけです。

労働組合(合同労組・ユニオン)から団体交渉の申し入れがきたとき、会社側(企業側)にとって、気を付けなければならないの社内で労働組合が大きくならないかどうか、という点です。

労働組合が、社内で支部を結成したり、集団が大きくなってしまったりといった動きの際に、弁護士がどのように解決していくか、解決事例を見てイメージしてみてください。

当事務所の弁護士は、法律上の「守秘義務」を負っています。紹介する解決事例は、会社名などが特定できないよう、具体的な事実を適宜修正しています。

ご相談内容

労働組合から、突然団体交渉の申し入れを受けて、書面を見てみたら、既に退職した従業員でした。

「退職した従業員からのクレームに応じることもない。」と考えて放置・無視していたら、現在在職中の社員まで、労働組合活動を始めるようになりました。

会社の秩序が保てず、このままでは会社が労働組合のものになってしまいそうです。

事案の概要

今回は、退職した従業員が、団体交渉を申し入れるとともに、在職している従業員とも結託して労働組合活動をはじめてしまったというケースについてのご相談です。

ご相談いただいた会社Y社は、東京都新宿区に本社を置く、建設業・不動産業をいとなむ会社です。社員数30名の、堅実な仕事をされている会社でした。

労働組合を結成して団体交渉を申し入れてきている元社員Xは、1年も前に会社を辞めた社員です。

ただ、残業代請求の時効は2年であることから、Xもまだ、在職中の残業代を請求できる立場にありました。

Xは、Y社が景気がよかったころにたくさん働かされたこと、不本意な退職をしたことを恨んでいるようです。

しかし、現在はY社の経営は非常に苦しい状況で、Xの請求する残業代は到底支払えそうもありません。

残業代対策はあまり積極的には行っていなかったため、現在勤務している社員も、「残業代がもらえる」とXから聞いて、Xの仲間になる社員も多いようです。

団体交渉における労働組合の要求事項

会社の経営があまりうまくいっていないことが、労働組合を結成した元従業員からの連絡によって、会社の従業員に知られてしまったようでした。

そのため、生活の安定を危ぶんが現社員を巻き込んだ形で労働組合が結成された結果、労働組合からの要求事項は、非常に厳しいものとなりました。

ポイント

  • 繁忙期の、工期を間に合わせるためにおこなった深夜残業の連続について社長の謝罪
  • 未払となっている時間外・深夜・休日労働の残業代を、全社員分、2年分をすべて支払う

団体交渉による労働問題の解決

今回のケースでは、過去の残業代について、全社的に問題となってしまいました。残業代は「制度」に内在する問題であり、他の社員に波及しがちです。

特に、会社がうまくいっているときは、労働時間も長時間になりますが、このとき、しっかり稼いだお金から残業代を支払っておかないと、経営が傾きかけたときでも権利請求されてしまいます。

弁護士依頼前の団体交渉

非常に大きな問題であることは認識していたものの、弁護士費用など、経済的な面への心配から、第1回、第2回の団体交渉は、会社だけで対応したようです。

団体交渉では、つもりにつもった社員の不満が爆発し、4時間もの長時間にわたって、深夜まで議論が紛糾したそうです。

全員が元従業員、もしくは社員だったため、会社内の事務室で行った上、終了時刻も決めていませんでした。

どうにかこうにか、次の団体交渉の日程を約束することによって、仕事に戻ってもらったような状態でした。

弁護士依頼後の団体交渉

第3回以降の団体交渉から、弁護士同席をご依頼いただいたときには、既に社長は会社をあきらめてしまったような状態で、憔悴しきっていました。

弁護士が依頼を受けたときには、既に労働組合に、全社員分のタイムカードの写しが渡されていたため、会社側(企業側)でも、残業代を検算しました。

第3回以降の団体交渉からは、弁護士が入ったことなどを理由に、会社外の場所で、業務時間外に行うことを通知しました。終了時刻を決め、2時間以内には終わることを通知しました。

労働組合からは、これまでの経緯もあり、「不誠実団交だ」との発言もありましたが、十分な時間を取っていると判断しました。

労働委員会への救済命令申立

しかし、弁護士に依頼しない間に団体交渉のルールに慣行が形成されてしまっていたことから、突然の厳しいルールに、労働組合が激しく抵抗しました。

結果、「大衆団交」の様相を呈し、労働組合に入った社員が会場で騒ぎ立てる事態となったため、団体交渉は中止せざるを得ませんでした。

会社側(企業側)が団体交渉の終了を伝えるとすぐに、東京都労働委員会に、「団交拒否」の不当労働行為救済申立手続が申し立てられました。

もっと詳しく!

「大衆団交」とは、不特定多数の労働組合員が押し掛けるなど、多数の参加者がいりみだれることによって、「団体交渉」といえる統制がとれない状態をいいます。

労働組合には、団体交渉をする権利が保障されていますが、それは「誠実な交渉」が行われている限りにおいてです。

「大衆団交」となった場合、交渉は無意味ですし、会社担当者に危険が及びかねません。少なくとも交渉体制が整うまでは、団体交渉を打ち切るべきです。

労働問題の解決の内容

どれほど労働組合が強く要求したとしても、また、労働委員会での手続きに移行したとしても、現在の経営状況では、全社員分の残業代を一括で支払うことは困難でした。

労働委員会に移行しても、争点は、「不誠実団交ではない」という点であり、残業代についても「今後是正するつもりはあるが、一括での支払いは困難」と伝え続けました。

労働委員会の指示のもと、タイムカードにしたがって、残業代を検算した結果、現実的な分割案によって、和解を行うことに成功しました。

なお、和解が成立した結果、「不誠実団交」の主張を含め、その他の申立は取り下げられました。

担当した弁護士の解説

団体交渉は、労使間の話し合いです。話し合いで解決できるならそれに越したことはありません。団体交渉に応じることは、会社側(企業側)にも早期解決のメリットがあります。

しかし、労働組合(合同労組・ユニオンなど)の要求が過剰であったり、感情的になって交渉の統制がとれないケースでは、やむを得ず、団体交渉を打ち切らざるを得ないことがあります。

労働委員会での手続きに移行したほうが、会社側(企業側)にとって良い解決となるかどうかは、経験も踏まえた難しい判断となります。

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