旧来の正社員像

用語集

日本の伝統的な正社員像とは、長期雇用の下に、一つの会社に新卒から入社し、教育を受けながら、終身にわたって働き続ける、というものです。

この終身雇用制の下では、雇用が保障され続ける代わりに、労務管理については、労働者はある程度柔軟に会社の指示に従う必要があります。

例えば、次のようなものです。

  • 繁忙期の残業命令、休日労働命令
  • 会社の都合による配置転換、異動、転勤
  • 始業・終業時刻の変更
  • 人員配置のため事務職から営業職へ

長期的な雇用を前提としていることから、採用時には、職種や勤務地を限定されず、会社の指示に従うこととなります。

これに対して、限定的な働き方をしたい従業員は、一般職として雇用されたり、限られた専門職として雇用されたりします。

限定正社員の登場

近年、職種、勤務地、勤務時間などの一定の労働条件を、正社員であるにもかかわらず限定されて働くことのできる「限定正社員」が注目されています。

これは、次の理由によります。

  • 労働力人口が減少し、限られた労働力を有効活用する必要が出てきた。
  • 具体的には、子育てをする女性、高齢者など、労働条件を限定する需要のある労働力を活用できる。
  • ワークライフバランスを推進できる。
  • 優秀な労働力を確保できる。
  • 介護離職などを防止して定着を高める。
  • 有期雇用労働者の無期転換した場合の受け皿とする。

したがって、「限定正社員」とは、職種、勤務地、勤務時間を限定するなど、一定の労働条件に制限を設けて働く正社員のことをいいます。

以下では、職種、勤務地、勤務時間の順に限定要素を説明しますが、その組み合わせで複数の要素を限定されている限定正社員もあり得ます。

勤務地限定正社員

限定正社員のうち、勤務地を限定されている正社員をいいます。

一つの事業所で働くことのみを想定されて雇用された従業員から、一定のエリア内でのみ転勤が可能な従業員まで、その定め方はさまざまで、雇用契約書において具体的に勤務地を特定し、限定することとなります。

勤務地限定正社員が活用されるのは、次のケースです。

  • 全国チェーン店の地元採用の従業員の場合
  • グローバル企業の海外出張を望まない従業員の場合

ただし、勤務地を限定していた場合には、事業所閉鎖の場合に解雇をすることが可能かどうかという問題が生じてきます。この場合であっても、事業所閉鎖がただちに有効な解雇につながるわけではありません。

職種限定正社員

限定正社員のうち、職務や職種が限定されている正社員をいいます。

職種限定正社員が活用されるのは、次のケースです。

  • 高度な専門的知識、資格が前提となる職種の場合
  • 有期契約で事務のみに従事していた従業員が無期転換した場合

ただし、あまりに職種を狭く限定しすぎた結果、それに付随する周辺業務を行わないこととなると、事業の円滑な運営に支障が生じるおそれがあります。

労使間で、どの程度の業務内容に特定されているかについて、祖語が生じないよう、職種限定の範囲は明確に定めておくようにしましょう。場合によっては、周辺業務はすべて含むことを明らかとするために、「○○業務及びそれに関連する業務」等と一般条項化することも考えられます。

勤務時間限定正社員

限定正社員のうち、勤務時間を限定された正社員をいいます。

所定労働時間は一般の正社員と同じであるけれども時間外労働を行わないという従業員から、そもそも所定労働時間自体が通常の正社員よりも短時間となっている従業員まで、その定め方はさまざまで、雇用契約書において具体的な勤務時間を特定し、限定することとなります。

勤務時間限定正社員が活用されるのは、次のケースです。

  • 介護、育児などの理由で短時間勤務を望む従業員の場合
  • 家庭の事情のある優秀な女性人材の確保、定着化を望む場合

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