労働審判の申立を受けてしまった会社が、労働審判への対応を依頼する弁護士を選ぶときのポイントは、「労働審判にかかわる法律を十分にしっているかどうか。」が重要です。
労働審判にかかわる法律は、その名のとおり「労働審判法」という法律がありますが、これだけではありません。
労働審判を中心とする、いわゆる「労働法」を、よく理解していることが、会社側(企業側)有利に労働審判を解決するために必要となります。
そこで、今回は、労働審判を会社側(企業側)の有利に解決するにあたって、弁護士が知っているであろう法律、規則の種類について解説します。初回の法律相談の参考にしてください。
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会社側(企業側)の労働審判に強い弁護士の選び方は、こちらをご覧ください。
労働審判に立ち向かわねばならないという場合に、パートナーとなる弁護士の選び方について解説します。労働審判への対応に苦慮されている会社様は、企業の労働問題に強い弁護士へ法律相談ください。
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目次
企業の労働問題解決ナビを運営している当事務所では、労働審判を、会社側(企業側)有利に運べるよう、法律知識の研鑽に励んでいます。
浅野英之
弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区銀座)、代表弁護士の浅野です。
労働審判を会社側(企業側)で代理するときは、労働者側にもさらに増して、多くの法律知識が必要となります。
当事務所では、法改正や重要な裁判例について、新しい情報を常に知っておけるよう、知識の補充に努めています。
労働審判の「手続き」に関する法律
まず、「労働審判がどのような手続きであるか」についても、法律で定められています。
労働審判の手続についての法律を知り、適切な知識を理解することで、労働審判の進行を、会社側(企業側)有利にコントロールすることができます。
労働審判の手続き面を規律する法律、規則には、次のものがあります。
労働審判法
まず、労働審判制度の開始とともに作られた「労働審判法」は、労働審判の基本的な手続きを定める最重要の法律です。
労働審判に特有の手続きは、すべて「労働審判法」に定められています。そのため、「労働審判法」が、以下で説明する法律の「特別法」として最優先されます。
したがって、労働審判の手続きに疑問、不安がある場合には、まずは「労働審判法」をチェックします。
労働審判規則
「労働審判規則」は、「労働審判法」を補完し、労働審判手続に関する詳細かつ具体的な手続をさだめた法律です。
「労働審判規則」は、「法律」ではなく、最高裁が規定した規則です。
「労働審判規則」を見れば、労働審判を進めるにあたって、どのような書面に何を記載し、どこに提出すればよいのかなど、具体的な手続きを知ることができます。
民事訴訟法
「民事訴訟法」は、日本における民事事件の訴訟について、基本的な手続きを定める法律です。
労働審判も、民事事件に関する訴訟ですから、基本的な部分では、「民事訴訟法」を準用しています。
例えば、労働審判における、送達、管轄、事件記録の閲覧などの手続きは、「民事訴訟法」の規定によるものとされています。
労働審判に対して、労働者もしくは会社のいずれかが異議申立をした場合には、訴訟に移行します
その意味でも、労働審判の段階から、「民事訴訟法」に定められた手続きをしっておかなければなりません。
非訟事件手続法
「非訟事件」とは、裁判において終局的に権利義務を確定するのではなく、裁判所が後見的な役割を果たし、当事者間の将来の法律関係を形成する手続きをいいます。
労働審判は、労働法にしたがった杓子定規な解決ではなく、柔軟かつ合理的な解決を目指すことのできる手続きである点で、非訟事件に類似しています。
そのため、労働審判では、管轄、除斥・忌避などの点で、「非訟事件手続法」を準用しており、「非訟事件手続法」の理解が必要です。
民事調停法
「民事調停法」は、民事調停という、当事者の話し合いを裁判所が仲介することで、お互いに譲歩しあって解決する手続きを定める法律です。
労働審判は、労働審判を下すという手続きと、調停による話し合いという手続きの2つの側面が合わさったもので、民事調停に類似した側面を有します。
そのため、労働審判においては、「民事調停法」の規定を準用することがあり、「民事調停法」の理解が必要です。
労働審判の内容となる「労働問題」に関する法律
労働審判で争いとなるのは、個々の労働者と会社との間の個別労使紛争です。
そのため、労働審判を、会社側(企業側)に有利に進めるためには、労働審判の内容となる「労働問題」を検討しなければなりません。
労働問題をどのように解決するか、方針を決めるために、次にまとめる多くの「労働法」の知識が必要となります。
労働基準法
労働審判の内容を検討するにあたって、最も重要となるのが「労働基準法」です。
「労働基準法」は、個別労使紛争において労働者を手厚く保護しており、労働者が「労働基準法」に従った権利を請求することが多いからです。
以上のことから、労働審判を会社側(企業側)に有利に解決するためには、「労働基準法」の知識が必要不可欠です。
もっと詳しく!
「労働基準法」は、労働者保護のために「強行法規」の性質を有しています。
これは、会社側(企業側)と労働者側とが、合意をしても、「労働基準法」に違反することはできない、ということです。
「労働基準法」に違反する労使間の合意は、無効となり、「労働基準法」の規定どおりとなります。
労働契約法
「労働契約法」は、労働法に関する判例法理を法律化した、比較的新しい法律です。
「労働契約法」には、次のような、判例で確立された重要な法理が、法律化されています。
ポイント
「解雇権濫用法理」
「雇止めの法理」
「就業規則の不利益変更の禁止」
今後、大きな問題の火種になる可能性のある「有期契約社員の無期転換」も、「労働契約法」に定めがあります。
これらの「法理」は、法律になる前から、判例として、労働者保護の役に立っていました。
判例が、法律化されることにより、より一般化され、さまざまな労働問題を規律します。
民法
労働問題であっても、民事上の法律関係である限り、「民法」が適用されます。
「民法」の特別法となる「労働基準法」などの存在しない部分については、「民法」が適用されることとなります。
したがって、労働問題といえども、労働審判を解決するためには、「民法」に関する一般的知識も不可欠となります。
その他の労働法
「労働法」には、さらに多くの法律が、分野ごと、雇用形態ごとなどで定められています。
労働問題を解決するにあたって、ケースに応じて、様々な労働法を利用しなければなりません。
例えば、次のような労働法があります。
ポイント
- 労働安全衛生法
- 男女雇用機会均等法
- パートタイム労働法
- 派遣法
- 育児介護休業法
- 最低賃金法
もっと詳しく!
労働法の中には、集団的労使紛争を規律する法律(労働組合法、労働関係調整法など)、労働行政を規律する法律(職業安定法、雇用保険法、労災保険法など)もあります。
しかし、労働審判の解決にとって重要なのは、個別労使紛争を規律する法律です。
労働法律の知識にもとづく労働審判の解決は、弁護士にお任せください
いかがでしたでしょうか。
労働問題を、労働審判で解決するためには、労働法をはじめとした多くの法律についての知識と、理解が必要となります。
労働審判対応をするとき、会社側(企業側)の当事者が、これらすべての法律について研究することは困難でしょう。
当事務所では、労働審判を数多く扱い、最新の法改正、裁判例の知識も、研鑽に励んでいます。
労働審判の対応にお困りの会社は、ぜひ当事務所の初回相談をお受けいただき、弁護士のお話をお聞きください。
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弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区)では、労働問題と企業法務しています。 会社で、常日頃から問題となる労働問題と企業法務に特化することで、会社を経営する社長、人事労務の担当者の目線に立って、親 ...
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