一般背景用(書類)

管理職者を登用したいという場合、社内で一から育て上げる方法もありますが、長期間の時間を要し、また、研修・教育等のコストが多くかかります。

この点、社外から、経験者を中途採用して管理職とする場合には、既に一定の経験と能力を備えており、即戦力としての活躍が期待できることから、こちらの方法の方が、管理職の登用が手軽に済みますから、中途採用に頼る会社も多いです。

しかしながら、中途採用者を管理職として採用する場合であっても、解雇権濫用法理の制限を受け、解雇は制限されることから、採用の段階で、雇用契約書に十分な配慮をしなければ、中途採用者が期待する成果を十分に上げなかった場合にも、解雇が困難となります。

解雇問題となった際に、解雇をするに足る合理的な理由があり、社会通念上相当かどうかを主張するためには、雇用契約書の段階で、会社に有利な事実を証拠化しておくべきです。もちろん、雇用契約書だけでなく、募集要項、履歴書、職務経歴書等、採用時にやり取りされた書面も重要な証拠となります。

地位・役職を特定する

中途採用者を管理職として採用する場合には、その役職、地位を、あらかじめ雇用契約書の段階で特定しておくことが必要です。

例えば「営業部長」「取締役人事部長」などといった具合です。

中途採用者を管理職として採用する場合には、社内の人物を管理職として登用する場合とは異なり、会社が期待する役割を果たさず、また、会社が期待した成果を発揮しなかった場合には、役職を解任して平社員に戻すということは想定されません。

雇用契約の段階で約束した債務の履行ができないということは、すなわち、債務不履行、解雇、という結論となります。

そのためには、雇用契約の段階で、中途採用者を採用した地位、役職を特定しておく必要があります。

担当させる職責を特定する

役職、地位だけでなく、その役職、地位の者がどのような職責を果たすか、また、どのような業務内容を行うかについても特定しておきましょう。

この点は、できる限り、具体的に記載すべきです。できる限り具体的に記載することによって、いざ労働問題が紛争化した場合に、採用した管理職が、行うべき業務を行っていなかったと主張しやすくなります。

会社には、役職ごとに果たすべき役割、目標が決められており、その画一的な取り扱いと労働者の予測可能性を担保するため、役割定義表などが定められている場合があります。

どの役職・地位の人が、どの程度の能力と経験を有しているか、客観的に明らかな形で定めているのであれば、これも併せて中途採用の管理職に対して交付し、役職ごとに求められる能力、経験を明らかにしておくべきでしょう。

中途採用された管理職となると、自分の業務だけを行っていればよいわけではなく、部門のリーダーとなって全体の方針を決定したり、部内の若手の教育を行ったりといったことも、業務の一環に含まれる場合が多いでしょう。

期待する成果を特定する

会社が期待すべき成果を、できる限り具体的に、できれば数値目標として記載しましょう。

達成すべき結果が具体的に明らかでない場合には、そこまでの努力といった行動を尽くすことによって、解雇権濫用法理にいう解雇の合理的な理由、社会通念上の相当性といった要件を欠くと主張されるおそれがあります。

もちろん、記載した数値目標に少しでも届かない場合には解雇が有効である、と考えるべきではないですが、あまりにかけ離れている場合には、仮に努力を十分に行ったとしても、中途採用の管理職としては、解雇事由になると考えざるを得ません。

管理職にふさわしい待遇を与える

以上の通り、中途採用の管理職には、労働者側にも大きなリスクがあります。

一定の能力と経験をすでに有していることを前提として雇用されているわけですから、これが不足していることが明らかとなったり、会社内で発揮できないということが明らかとなったりすれば、解雇となるのもやむを得ないでしょう。

これに対して、中途採用者は、それにふさわし一定以上の好待遇をされるべきでしょう。例えば、賃金の設定にあたっても、会社内の同期よりも厚遇すべきであるといえます。

この点を怠れば、期待した役割、地位、成果といったものに達成しなかったとしても、責任追及が困難となるのはもちろん、労働基準法上の管理監督者に該当して残業代を支払う必要がない、という主張が否定されるおそれもあります。

好待遇であればある程、より大きな責任、より高い能力と経験、より大きな成果を期待していたと主張しやすくなります。

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