雇用契約とは?

雇用契約書必要性

雇用契約とは、会社が労働者に対して仕事を指示し、これに対する対価として賃金を支払うことを約束することによって成立する契約をいいます。

民法上では「雇用契約」といわれ、労働基準法、労働契約法などでは「労働契約」といわれますが、同様のものです。

労働契約法第6条

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

雇用契約が締結されると、労働者、使用者が、互いに、権利と義務とを負います。

この権利義務は、労働基準法などの労働法において最低限のルールが決められている他は、労働者と使用者とがお互いの合意によって決めていくこととなります。

雇用契約書はなぜ必要か

雇用契約は、口約束であっても成立します。

したがって、労働者が「採用してほしい。」という発言をし、会社が「雇用する。」といえば、そのときから雇用契約がスタートするのが原則です。

しかしながら、口約束による雇用契約を続けてしまうと、従業員が多くなってくると、それぞれの入社日、労働条件、賃金、労働時間などが、労働者も使用者もどのように約束したのかわからなくなってしまいます。

そこで、労使間の合意があった場合に、その内容を証明するのが、雇用契約書です。その他、就業規則、労使協定、労働協約などによって、労使間のルールが定められることとなります。

なお、雇用契約の開始は、「内定」「試用」といった法律関係にある場合、既にスタートしていることとなります。すなわち、内定中も試用期間中も、既に雇用期間が成立しているということとなります。

なぜ、雇用期間の開始を特定する必要があるのか

雇用契約が開始すると、会社が、一方的な判断で労働者に辞めてもらうことが困難となります。

これは、労働が、その人の生活に重要な賃金を対価とするものであることから、解雇権濫用法理という判例理論、法律によって、会社側からの解雇が制限されているためです。

そのため、いつから雇用契約が開始したと評価されるかが重要となります。

この点、内定中、試用期間中も既に雇用契約が開始していると評価されますので、本採用以降程ではないですが、会社が労働者を解雇することは制限されます。

労働条件通知書と雇用契約書の違い

労働基準法上、労働者を雇用する際には、法律で決められた労働条件を、労働者に対して書面で通知しなければならないこととされています。これが、労働条件通知書です。

したがって、労働条件通知書は、最低限の書面通知です。労働条件通知書は、厚生労働省のホームページでもサンプルが入手できるため、これに記載項目を埋めることで簡単に作成可能です。

しかし、労働条件通知書で行えるのは「通知」のみであって、雇用契約への合意を証明することはできません。したがって、後日労働者から労働条件について争われた場合に、労働者も通知された労働条件に同意していたということを証明するためには、労働条件通知書に加え、雇用契約書を作成すべきでしょう。

仮に、労働条件通知書の受領書を作成したとしても、「受領」を証明できるだけで、内容に対する合意を証明できるわけではありません。

また、労働条件通知書で記載が義務付けられているのは、法律で定められている最低限の労働条件のみであり、厚生労働省のサンプルもこれを基に作成されています。契約内容の全てを記載するには不足ですから、別途雇用契約書を作成すべきです。

労働条件通知書等で、採用時に明示すべき事項

最後に、労働条件通知書等の書面によって、採用時に明示しなければならないと法律で決められている事項について解説します。

必ず書面で明らかにしなければならない事項

  • 雇用契約の期間
  • 期間の定めの有無
  • 期間の定めがある場合には契約期間
  • 就業場所、業務内容
  • 所定労働時間(始業時刻、終業時刻)
  • 所定労働時間を超える労働の有無
  • 休憩時間
  • 休日、休暇
  • 交代制勤務をさせる場合は就業時転換について
  • 賃金の決定、計算・支払の方法、締切日、支払日
  • 退職に関する事項(解雇事由を含む)

制度を定める場合に明示すべき事項

  • 昇給
  • 退職手当に関する事項
  • 臨時に支払われる賃金(賞与等)に関する事項
  • 社員に負担させる費用に関する事項
  • 安全衛生
  • 職業訓練
  • 災害補償
  • 表彰・制裁
  • 休職

パートタイマーに書面で

  • 昇給の有無
  • 退職手当の有無
  • 賞与の有無
  • 相談窓口

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