労働法務ニュース

2017年度の新卒採用の状況について、人と仕事研究所が2017年度に新卒採用を予定している企業を対象として調査した企業調査の結果が公表されました。

この発表によれば、「選考活動解禁」よりも以前に面接選考等を開始する企業が回答企業の半数強(56.2%)、「選考活動解禁」よりも以前に内定を出す企業が回答企業の半数弱(49.9%)という結果となっています。

2017年度の新卒採用を検討し、また、現在既に選考への準備を行っている会社の皆さんは、他社動向も参考にしてみてください。

「選考活動解禁」とは?

「選考活動解禁」とは、経団連が定め、毎年公表している「採用指針」で決定された採用スケジュールに従った、選考活動の開始日をいいます。

経団連が定めているものですので、法的拘束力があるわけではなく、実際に、今回発表された企業調査の結果からもわかる通り、選考活動解禁より前に採用選考を開始する企業も少なからずあります。あくまでも、経団連に所属する企業が守るべき指針という位置づけです。

ただし、経団連に所属する企業は、東証一部上場企業を中心として、求職活動において人気のある企業が多いため、経団連の「採用指針」は一定の影響力を持ち続けます。

2015年度~2017年度の採用スケジュールの変化

2015年度から2017年度にかけて、採用スケジュールが2年度連続で変更されました。2年度連続で変更されることは異例中の異例であり、会社側、労働者側いずれもしっかりとした理解が必要です。

2015年度採用のスケジュール

2015年度までの採用スケジュールでは、説明会などの広報活動の開始が「大学3年生の12月」、面接などの選考活動の開始が「大学4年生の4月」とされていました。

2016年度採用のスケジュール

2016年度の採用から、この採用スケジュールが大きく後ろ倒しとなり、広報活動の開始が「大学3年生の3月」、選考活動の開始が「大学4年生の8月」となりました。

2016年度採用の際に、経団連「採用指針」が採用スケジュールを大きく後ろ倒しし、学生としても入社できる会社が決定するのが相当後となることから、波紋が広がりました。

当事者である学生たちからも、次の通り、肯定的な意見、否定的な意見の双方が出て、激論が交わされました。

否定的な意見

  • 卒業論文・卒業試験のシーズンと重なり、就職活動に集中できない。
  • 多くの企業の選考が重複し、希望の企業を受験できない。
  • 採用指針に従わない企業のスケジュールを把握するのが困難となる。

    
肯定的な意見

  • 筆記試験・エントリーシートへの対策期間が増える。
  • 企業調査・業界調査を十分に行える時間が確保できる。
  • インターンシップ等の時間がとれることで実際に仕事を体験できる。
  • 学業に費やす時間の余裕が増える。

2017年度採用のスケジュール

2017年度の採用スケジュールは、説明会などの広報活動の開始は前年と同様「大学3年生の3月」とされ、選考活動の開始が前倒しされ「大学4年生の6月」となります。

ただ、頻繁な変更を行うことによって、「結局いつ採用選考を意識したらよいのか。」を正しく把握することができない学生が増えることは非常に問題であり、会社側としても、自社の採用スケジュールについて積極的な情報発信が必要です。

2017年の採用動向の調査結果

発表された調査結果によれば、2017年度の新卒採用活動の動向は、次の通りです。

  1. 現在の状況
  2.   「現在行なっている」57.1%
      「既に終了している」13.2%
      「まだ何も行なっていない」29.7%

  3. スケジュール
  4.   面接選考等開始・・・第1位「2016年4月」13.9% 第2位「2016年6月」13.7%
      内定開始・・・第1位「2016年6月」16.2% 第2位「2016年8月」9.8%

  5. 新卒採用活動で取り入れる選考方法
  6.   「個人面接」83.4%
      「履歴書」82.3%
      「筆記試験等」38.3%
      「グループ面接」32.5%

労働問題に見る採用活動の重要性

新卒を採用する場合、万が一面接で適正を見誤り、適格性のない人材と雇用契約を締結してしまった場合、中途採用に比べて解雇をするのが困難であるといわれています。というのも、新卒は能力・経験に乏しいことが当然の前提ですので、教育・指導をしなければ能力不足などを理由に解雇することができないためです。

労働問題でご相談に来られる会社の皆さんのお話を聞くと、「採用段階で判断ができたのではないか?」と考えられるケースも多く見ますが、実際に採用段階での判断となると、会社のみの目線では非常に困難なことが多く、弁護士、社労士、採用コンサルタントといった第三者の目線を利用することが有益です。

労働問題・企業法務のお悩みは、弁護士へご相談下さい!

労働審判、団体交渉、就業規則、問題社員への対応など、使用者側の労働問題は、経験とノウハウが重要な、非常に難しい法律分野です。

会社を経営していくにあたり、労働者との交渉は避けられませんが、一度トラブルとなれば、致命的ダメージとなるケースもあります。弁護士に頼らずに社長自身で解決するとなると、莫大な時間とエネルギーが必要です。

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