ほっともっと過労死

大手弁当チェーン「ほっともっと」を運営する株式会社プレナスに対して、ほっともっとにて店長として勤務していた男性が過重労働を原因として2011年に過労自殺したことについて、元店長の遺族が損害賠償9300万円を請求し、提訴しました。

諸報道によれば、元店長の男性は、三重県内2店舗のほっともっとの店長を任されていたようですが、過剰な長時間労働に加えて、過酷なノルマ、上司からの圧迫的なメールなど、悪質な職場環境に置かれていたことをも原因として主張しているとのことです。

株式会社プレナスは、ほっともっと以外にも、やよい軒なども運営している外食産業の大手であり、外食産業における過酷な労働状況がこの先ますます問題化していくのではないかと考えられます。

外食産業では、以前に「接客業(飲食店スタッフ)の残業代を支払う必要があるのでしょうか?│労働法務Q&A」という記事でも紹介したとおり、長時間労働と残業代未払い、安全配慮義務違反のリスクが常に存在しておりますので、労働法の知識に則した職場環境の適切な見直しが必要でしょう。

飲食店・外食産業に根付く過労死の問題

以前にも上記の通り紹介した「接客業(飲食店スタッフ)の残業代を支払う必要があるのでしょうか?│労働法務Q&A」という記事に記載した通り、飲食店を経営する社長、飲食店の人事労務・総務担当者や店長の皆さんから、長時間労働、労災、メンタルヘルスといった相談を多く頂きます。

接客業である以上、お客様優先であり、お客様が来る限りは店を閉めて帰るということができませんし、これに加えて、閑散期に合わせて人員配置をするため、繁忙期や時間帯によっては人員が非常に不足することが常態化しています。

今回のほっともっとの過労死訴訟は、死亡した労働者が店長であったため、管理職扱いとされて時間外割増賃金(残業代)の支払がなされていない可能性もあります。しかしながら、労働法において残業代の支払が免除されている「管理監督者」が、社会一般的に用いられる「管理職」とは意味合いが少し異なり、認められる幅が狭いことは、有名なマクドナルド訴訟からも明らかです。

マクドナルド訴訟とは、平成20年1月28日に東京地裁が判決を下したものが有名となったものです。その内容は、マクドナルドの店長が、マクドナルド内で「管理職」とされて残業代を支払われてこなかったところ、これを請求し、東京地裁がマクドナルドの「管理職」扱いを認めずに残業代の支払を命じた、という訴訟です。

その後控訴されていますが、この東京地裁の判決は、会社で「管理職」とされていても労働基準法上の「管理監督者」とは評価されないいわゆる「名ばかり管理職」の存在を浮き彫りにしたことから、非常に重要な判決となりました。

ほっともっとは274時間残業!?

今回のほっともっと店長の過労死事件では、店長の遺族側の請求では、残業時間が274時間にも及ぶという主張です。「月の労働時間が274時間」でも相当多いと思いますが、「月の『残業時間』が274時間」です。

一般的な所定労働時間が、

  • 1日8時間 × 1週5日 = 1週間の所定労働時間40時間
  • 40時間  × 月4週 = 1か月の所定労働時間160時間

という単純計算をすれば、このほっともっと店長の月の総労働時間は434時間にも及ぶということとなります。

パワハラも争点となる見込み

更には、ほっともっと過労死事件では、店長は上司から「売り上げが上がらなければ死刑」「死んでください」といったメールを送付していたことが判明しました。

この店長の死因が「自殺」であることからすると、このような自殺を促す内容のメールによって過労自殺という結果を招いた責任は非常に重いといえます。

飲食店・外食産業の長時間労働対策

「労働基準法通りに残業代を払ったらつぶれてしまう」という経営者からよく相談を受けますが、本当にそうでしょうか。

労働基準法にも、残業代を支払わなくてもよい場合の規定はいくつもあり、もちろん不当に残業代を未払いとすることは労働基準法違反となってしまいますが、現在の御社の状態に、むしろ労働基準法以上の無駄が多かったり、別の改善策があったりするという相談ケースも多いものです。

労働者の働きやすい職場環境の維持と、御社の経営状況の良好化をバランスをとって実現していくためにも、膝を詰めて詳細にお話しをお聞きします。今回の事件のような「過労死」「過労自殺」といった最悪の結果を招く前に、事前の対策をしておきましょう。

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