労働審判の管轄と変更│支店所在地で労働審判申立がされた場合労働審判手続の管轄について解説します。

「管轄」とは、「どの裁判所で労働審判手続を行うことができるか」、という意味で用いられる法律用語です。

使用者側(会社側)の場合、労働者側からの労働審判申立を受ける形となるので、「労働者の申し立てた裁判所が労働審判を行うのに適した裁判所かどうか」という点で、管轄の有無を検討することとなります。

特に労働審判では第1回期日における事実認定が労働審判委員の心証に決定的な影響を与えることから、第1回期日に双方当事者が出頭する必要があります。重要な労働問題に関する労働審判の場合、出席が必要となる関係者の地位・役職が上位となることもあるでしょう。

したがって、出頭の便宜が、労働審判の結果や、労働審判を遂行するにあたっての費用に大きな影響を与えます。

労働審判の管轄

労働審判手続の管轄裁判所は、労働審判法で次の通りと定められています(労働審判法2条)。

  • 相手方の住所、居所、営業所もしくは事務所の所在地を管轄する地方裁判所
  • 個別労働関係民事紛争が生じた労働者と事業主との間の労働関係に基づいて当該労働者が現に就業もしくは最後に就業した当該事業主の事業所の所在地を管轄する地方裁判所
  • 当事者が合意で定める地方裁判所

この点、通常の民事訴訟の管轄の場合であっても原則としては「被告の住所地」と定められています。

しかしながら、通常の民事訴訟であれば、これ以外に、不法行為に関する訴訟の場合の「不法行為地」、不動産に関する訴訟の場合の「不動産の所在地」といった特別の管轄によることもできますが、労働審判には特別の管轄はありません。

したがって、原則として相手方の住所地で行うことになります。典型的には、会社の本店所在地を管轄する裁判所で行うケースが想定されます。

労働審判の管轄を有する支部は限られている

労働審判は、原則として地方裁判所の本庁で行われることとされており、支部で行える場合は限定的です。

東京の場合には、東京地裁(東京都千代田区)以外に、東京地方裁判所立川支部(東京都立川市)でも行うことが可能です。

労働審判の行える支部は、徐々に拡大されています。

労働審判の管轄に関するQ&A

労働審判の管轄について、相談が多いケースをまとめて解説します。

労働審判の管轄を誤って申立をした場合

労働審判の管轄を誤って労働審判の申立を行ってしまった場合、どのような手続きとなるのでしょうか。
管轄のない裁判所に誤って労働審判の申立を行った場合には、申立または職権によって管轄のある裁判所に移送されることとなっています(労働審判法3条)。
この点、民事訴訟であれば、「応訴管轄」といって相手方が訴訟をその裁判所で行うことに合意してくれた場合には、管轄のない裁判所であっても裁判を行うことができますが、労働審判には応訴管轄がありません。

支店の労働問題についての管轄

支店で起こった労働問題について労働者から労働審判の申立がなされました。
支店を管轄する地方裁判所に申立がされましたが、支店には人事労務・総務機能はなく、本社の所在する東京地方裁判所で労働審判を行いたいのですが、可能でしょうか。
本社が東京に所在する場合、東京地方裁判所にも労働審判の管轄があることとなります。

労働審判を行う裁判所は第一次的には申立をする労働者が決めることになりますが、その後、労働審判を処理するのに適当と考える管轄裁判所へ移送を申し立てることが可能です。
ただし、このような移送の申立が認められるか否かは、事案によって異なります。

労働問題・企業法務のお悩みは、弁護士へご相談下さい!

労働審判、団体交渉、就業規則、問題社員への対応など、使用者側の労働問題は、経験とノウハウが重要な、非常に難しい法律分野です。

会社を経営していくにあたり、労働者との交渉は避けられませんが、一度トラブルとなれば、致命的ダメージとなるケースもあります。弁護士に頼らずに社長自身で解決するとなると、莫大な時間とエネルギーが必要です。

労働問題に特化した解決実績の豊富な弁護士が、労働法を使って会社を守り、継続的に発展していく方法について、詳しく解説いたします。