労働審判を弁護士に依頼する5つの理由
労働審判を使用者側が申し立てられた場合には、弁護士を依頼した方がメリットが大きいといえます。

むしろ(労働者側はともかく)企業側の労働審判対応では、次の理由から、弁護士を依頼することが必須であるとさえいえます。

  1. 会社側に有利な落としどころの見極めができる
  2. 適切な主張を含んだ過不足ない答弁書が作れる
  3. 社労士にはできない代理交渉ができる
  4. 労働問題の拡大を防ぐことができる
  5. 迅速かつ効率的な証拠収集ができる

      
裁判所の側でも、会社の経営者や担当者の労働法に対する理解が不十分な場合には、適切妥当かつ迅速な解決のためにも、弁護士が代理人となっていてほしいと考えているようです。

会社側に有利な解決の獲得

労働審判に対応するに際しては、労働基準法、労働契約法等の重要な労働法、労働法に関する重要な判例・裁判例を熟知している必要があります。

労働審判は、労働者保護のために迅速性が重視され、第1回期日で事実審理の全てを終えることが一般的ですが、労働審判の場で発言した内容は証拠となり、発言者に有利にも不利にも使われます。

したがって、その事実が労働法の法律・判例を理解しないまま、ただ自分の考えと主張を多く伝えればよいという考えは危険です。

労働審判を得意とする弁護士は、労働審判の場における労働審判官(裁判官)との話し合いが円滑で、会社に有利な落としどころへと調整する手腕に長けています。

適切かつ高品質の答弁書

労働審判では、迅速性が重んじられ、1期日2~3時間程度、原則3期日で終了(平均審理期間約70日)とされています。

この短期間で労働審判委員会が労使いずれの主張が事実に合致するかの心証を形成するのは非常に困難であり、両当事者共に、できる限りわかりやすく、端的に主張を伝える必要があります。

したがって、答弁書の品質は、訴訟以上に厳しく求められます。単に事実を羅列した答弁書、事実が記載されず会社の言いたいことだけが記載された書面は危険です。

労働審判を得意とする弁護士は、会社の経営者、人事労務・総務担当者、現場責任者の皆さんから事実を詳細に聴取しますが、答弁書に記載する事実は適切に取捨選択し、労働法の法律・判例の立場から会社に有利な答弁書を作成します。

会社の代理人としての交渉

人事労務の専門家というと社労士を思い浮かべる経営者も多いのではないでしょうか。しかし、社労士は日常の労務に関する手続は得意としていますが、労働者との紛争が拡大した場合の処理には慣れていません。

特に、労働審判という法的手続にまで発展した場合、会社を代理して直接労働者と交渉する権限を有するのは弁護士のみです。

同席せずに裁判所外の後方支援のみで労働審判の対応をされる他士業もいるようですが、労働審判は、迅速性を重視するために審判の場での発言を重要視していますから、労働審判の場で即時にアドバイスし、不利な発言を止められなければ無意味といえます。

弁護士は労働審判に同席して代理交渉することで、次のメリットもあります。

  1. 慣れない裁判所での手続きを代わりに行ってもらう
  2. 隣にいつでも聞ける弁護士がいることで精神的に安定する
  3. 労働審判委員に主張が正しく伝わっていない場合、即座に訂正できる
  4. 労働審判委員の質問の回答に迷った場合、その場で聞ける
  5. 調停案の妥当性についてその場で判断できる

労働問題の拡大を未然に防止

労働審判によって御社の労働問題が顕在化した場合、その労働問題が申立人の従業員ただ一人の問題であれば、労働審判によって一括解決が可能です。

しかしながら、残業代等、複数の社員の労働条件に関わる問題や、パワハラ、退職勧奨、セクハラといった職場環境に関わる問題の場合には、全社的な問題が他の社員へ紛争が波及するおそれがあります。

弁護士が労働審判を行う場合、その中で御社の全社的体制に労働法違反がある場合、これを指摘し、今後同様の問題が他社員に波及しないよう未然に予防することができます。

迅速かつ効率的な証拠収集

労働審判を申し立てられた場合、労働審判申立書が裁判所から送達されて初めて会社が気付くわけですが、その頃には、既に答弁書の提出期限まで2週間を切っていたというケースが非常に多いです。

労働審判では、迅速性を重んじ、事実審理は原則として第1回のみとされています。第2回以降は和解の調整(「調停」といいます)のみが行われることがほとんどで、理由がなければ第2回での証拠の追加提出は、あまり重視されないといえます。

例えば、労働審判で必要な証拠として次のものが挙げられます。

  1. 就業規則・賃金規程・退職金規程
  2. 雇用契約書
  3. 履歴書・職務経歴書
  4. 入社時の誓約書・身元保証書
  5. タイムカード・出勤簿・日報・業務報告書
  6. 注意指導書
  7. 懲戒処分通知書
  8. 解雇予告通知書・解雇通知書・解雇理由所

これらはあくまでも一例であり、労働審判を申し立てられた労働問題の内容によって、適切な証拠を準備しなければなりません。

労働審判でどのような証拠が重視されるかというノウハウなしには、第1回期日までの限られた期間で適切な証拠を迅速に集めることは困難です。

まとめ

以上の5つの理由から、労働審判を労働者から申し立てられた企業は、即座に弁護士に依頼すべき緊急性、必要性が非常に高いといえます。

労働審判を得意とする弁護士であっても、労働審判の準備には相当期間必要とするケースが多いため、答弁書の期限が迫っている場合にはお早目にご連絡ください。

労働問題・企業法務のお悩みは、弁護士へご相談下さい!

労働審判、団体交渉、就業規則、問題社員への対応など、使用者側の労働問題は、経験とノウハウが重要な、非常に難しい法律分野です。

会社を経営していくにあたり、労働者との交渉は避けられませんが、一度トラブルとなれば、致命的ダメージとなるケースもあります。弁護士に頼らずに社長自身で解決するとなると、莫大な時間とエネルギーが必要です。

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