労働審判不当解雇争い答弁書書き方ポイント会社側弁護士労働問題東京

労働審判で、労働者から、解雇が不当であるとして争われた場合、会社が提出すべき答弁書の書き方とポイントについて解説します。

労働審判では、答弁書の記載が非常に重要視され、このことは、不当解雇の労働審判では特にあてはまります。

というのも、不当解雇を会社側が争う場合には、当該解雇の正当性を基礎づける事実について主張立証する必要があるわけですが、これをすべて、時系列に沿って正確に労働審判期日で話すことは非常に困難です。

また、仮に全ての事実を正確に説明することができたとしても、整理された時系列がない限り、一度聞いただけで労働審判委員会に理解してもらうことは不可能でしょう。

今回は、解雇の有効性を労働審判によって争う場合に、会社側が作成、提出すべき答弁書の書き方とポイントについて解説します。

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解雇問題に関する労働審判の答弁書の基本

解雇問題に関する労働審判といっても、その労働問題の内容は、解雇理由によって大きく異なります。したがって、解雇問題に関する労働審判において会社側が答弁書を作成するにあたっても、その記載内容は解雇理由によって大きく異なると考えてください。

そのため、今回は、解雇理由ごとに記載しておくべき重要な主張と、事実の書き方、ポイントについて解説していきます。

ただ、一般論として、解雇問題に関する労働審判の答弁書全般にあてはまることは、労働審判委員会に理解してもらえるよう、会社の主張を具体的に記載することです。

また、労働審判は、必ずしも勝ち負けが決まるばかりが良い解決であるとは限りません。そのため、会社の言い分を最大限主張し、労働審判委員会に会社の立場を理解してもらうことによって、労働者に一方的に有利な解決となることを防ぐことも重要です。このような方針を実現するためには、労働審判の答弁書では、粘り強い事実関係の詳細な主張が重要となってきます。

解雇理由が「能力不足」の場合の労働審判の答弁書

解雇理由が、労働者に雇用契約上約束した内容の能力がないことである場合には、能力不足を理由とした解雇になります。

この場合に、会社側が主張、立証しなければならない事実関係は、次の2点です。

能力不足による解雇で会社が主張すべきこと
  • 雇用契約の内容となる能力の具体的内容
  • その能力が解雇された労働者に不足していたこと

特に、後者の、「能力が不足していたこと」については、単に「労働者の能力が不足している」と答弁書に記載するだけでは足りませんし、労働審判委員会に労働者の問題点を理解してもらうこともできません。

より具体的に、エピソードを交えて、労働者の能力不足を詳細に答弁書に記載します。その際には、成績、業績といった具体的な数値を記載したり、客先からのクレームや上司からの注意指導の履歴など、問題点が客観的にわかる書類を証拠提出したりすることを検討しましょう。

解雇理由が「勤務態度不良」の場合の労働審判の答弁書

解雇理由が勤務態度不良である場合の労働審判でも、具体的な事実を示すことが重要であることは、能力不足による解雇の労働審判と同様です。

能力不足に比べて、勤務態度不良は、具体的な数値による結果が出にくい解雇理由であり、労働審判委員会にわかりやすく説明することがそれだけ困難な解雇理由でもあります。

この場合、労働審判の答弁書においては、勤務態度の不良を間接的に示す事実を多く列挙していくことになります。特に重要となるのは、会社が労働者に対して、注意指導、面談、懲戒処分などを繰り返し行っていたけれども改善の兆候が見られないという事実を答弁書に記載することです。

解雇理由が「整理解雇」の場合の労働審判の答弁書

整理解雇とは、会社の経営的な事情を解雇理由とする解雇をいいます。

整理解雇の有効性は、整理解雇の4要件(業務上の必要性、解雇回避の努力義務、人選の合理性、手続きの適切さ)によって判断されることとされているため、この要件を立証するための主張立証を、労働審判の答弁書に記載することとなります。

整理解雇の場合であっても、主張の具体性が、労働審判の答弁書において重要となることは変わりません。

特に整理解雇の場合には、会社の経営状態、解雇が避けがたいことについて、具体的な経営上の数値をもって説明することが、労働審判委員会に会社の立場を理解してもらうための第一歩となります。

労働審判では、主張と立証は、第1回期日が終わるまでの間に行わなければならないため、主張、立証の出し惜しみは禁物です。経営上の資料を提出し、数値を示すことには抵抗のある会社も多いですが、具体的な数値がなく、ただ「経営が苦しい。」「解雇をしなければやっていけない。」と主張したところで、理解してもらうことは不可能です。

また、会社の会計資料は、読み解きが複雑であり、労働審判の答弁書に事前にわかりやすく解説するのでなければ、期日当日に見せても、ただちに労働審判委員会に理解してもらうことはやはり難しいでしょう。

まとめ

以上、労働審判で解雇の有効性が争われた場合の、答弁書の書き方とポイントについて解説しました。会社側で労働審判において不当解雇を争う場合には、いざ労働審判が申し立てられたことを知ってから対応するのでは、時間的に非常に短く、十分な準備は困難です。

通常、解雇をする場合には、解雇理由とそれを基礎づけるに十分な証拠を準備し、ある程度、解雇が有効と判断されることを見越して解雇に踏み切るのが適切であって、労働審判になって初めて慌てるようでは、会社に不利な解決となることは明らかです。

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