労働審判不適切24条終了会社側弁護士労働問題東京

労働審判は、労働問題の中でも、個別労使紛争を迅速に解決するために特別に整備された制度です。

労働審判の制度ができるまでは、労働問題の解決には非常に長期間がかかり、訴訟となる場合には、1年前後の期間を要することが一般的でした。労働問題の解決の長期化を回避するために作られた労働審判では、迅速な労働問題の解決のために、一定の制限があります。

この労働審判に関する一定の制限によって、労働審判での解決が不可能な労働問題や、労働審判での解決が不可能とまではいえないものの適切ではない労働問題というものがあります。

事案の性質に照らして、労働審判による解決が適当ではないと判断される場合には、労働審判法24条の規定にしたがって、労働審判委員会が、労働審判における審理を終了することができます。これを適用される労働審判法の条文にならって「24条終了」といいます。

ただし、実際には、24条終了が利用されるケースは少なく、労働審判の中で何らかの解決が模索されることが多いとされています。

今回は、労働審判での解決が不可能、もしくは、不適切な労働問題と、労働審判の24条終了について解説します。

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労働審判での解決が適切でない残業代事件

労働審判制度が整備された当初は、残業代に関する問題は労働審判での解決が適切ではなく、24条終了によって労働審判の審理を終了すべき事件であると考えられていました。

というのも、残業代請求に関する審理は、実労働時間を正確に認定するため、大量の証拠提出をされるケースが多いためです。例えば、2年分の残業代を請求するためには、その残業時間を証明するために2年分のタイムカードの写しを提出し、これをすべて精査しなければならないのが原則です。

そのため、残業代請求を訴訟で行うと、1年以上の期間がかかることも少なくありません。

これに対して、最近の労働審判の取扱では、実労働時間をすべて細かく認定するのではなく、大まかな労働時間を把握した上で、労働審判委員会が一定の心証を示し、調停によって和解を成立させて解決するケースが多くなっています。そのため、残業代請求であるからといって、ただちに労働審判での解決が適切でないと考えられるわけではなく、24条終了とされることもあまりありません。

ただ、「1日毎の労働時間を細かく認定してほしい。」「1円の誤差も許したくない。」といった審理に時間のかかるケースや、管理監督者性に関する困難な判断が伴う場合などには、労働審判での解決が適切でない残業代事件もあります。

会社側としても、残業代請求事件を訴訟において長期間争うより、一定額の解決金の支払によって労働審判内で解決することに合理性がありますので、一定の譲歩が可能かどうか、検討する余地があるでしょう。

労働審判での解決が適切でない不当解雇事件

不当解雇事件は、まさに労働審判での解決が適切なケースであるといえます。

不当解雇事件が労働審判に適する理由
  • 労働者の生活に密接にかかわるため早期の解決が必要
  • 退職を前提とした金銭解決など、柔軟な解決が可能
  • 解雇に伴う感情的な対立の長期化を回避することが可能

したがって、不当解雇事件は、原則として、労働審判での解決が適切であると考えられます。

この点、解雇の理由となる事実関係、法的主張が複雑な場合には、例外的に、労働審判での解決が不適切な場合もあると考えます。しかし、そのような場合であっても、まずは労働審判での話し合いを行うことによって、調停で解決できる可能性が高いことが予想されますので、即座に24条終了とはされない場合がほとんどです。

集団的労使紛争に関する事件

労働審判は、個別労使紛争の解決のための制度であることから、集団的労使紛争に関する事件は、労働審判で解決することはできません。

したがって、組合差別などの集団的労使紛争の解決は、労働組合と会社との間の団体交渉によって行い、団体交渉における話合いによる解決が困難な場合には、労働委員会において解決することとなります。

まとめ

以上の通り、原則としては労働審判で短期間に、円満解決することは、会社にとってもメリットがあるわけですが、労働審判での解決が適切ではない事件の類型も存在します。

労働審判での解決に適しない事件であると考える場合には、積極的に24条終了とするよう労働審判委員会にはたらきかけるという会社側の戦略をとることもあり得ます。ただ、労働審判において話し合いで解決できるのであれば、24条終了を積極的に狙うのではなく、まずは互譲による解決を模索することがよいのではないでしょうか。

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