元社員内容証明郵便対応方法弁護士注意点

元社員が労働問題を会社と争う場合に、突然労働審判の申立、訴訟提起へと進むケースはあまり多くないといえます。

まずは話し合いによって解決できるのであれば、時間的にも費用的にも、労働審判、団体交渉などを行うより利益があるためです。むしろ、突然労働審判、訴訟などの法的手続をするしかない、という気持ちにさせないよう、元社員に対しても誠実に話し合いを行う姿勢は示さなければなりません。

会社の側からしても、労働審判、団体交渉となった場合の解決をある程度予測できるのであれば、妥当な解決案であれば話し合いによって和解した方が紛争コストを削減できます。

元社員が会社に対して労働問題の話し合いを行おうとする場合、一番最初の接触は、内容証明郵便の送付によって行われることが一般的です。元社員の主張(不当解雇の撤回、未払い残業代の請求など)は、内容証明郵便の内容をじっくり読んできちんと把握しておくようにしましょう。

今回は、元社員から内容証明郵便の送付を受けた会社が、すぐに行わなければならない対処法と、交渉開始前に労働問題に強い弁護士へ相談する方法について解説します。

元社員から内容証明郵便を受領して対応を検討する際には、企業の労働問題に強い弁護士へご相談ください。

焦らずにまずチェックすべき内容証明郵便のポイント

突然内容証明郵便という見慣れない形式での郵便を受け取ったことによって、焦ってしまう経営者、人事労務担当者の方が多いですが、まずは冷静になりましょう。

まだ訴えられたわけでも労働審判を提起されたわけでもなく、話し合いを申し込まれただけに過ぎません。もちろん、通常の話し合いでは終わりそうもないから内容証明郵便の送付に至ったわけですが、冷静さを欠いては適切は困難です。

まず次の点を順にチェックすることで落ち着きを取り戻し、事実関係を整理してください。

問題となっている元社員は誰か

労働問題の話し合いを求める内容証明郵便の場合、問題となっている元社員が誰かをチェックしてください。

そして、元社員の特定ができたら、その社員に関する資料をすべて収集しましょう。入社時に締結した雇用契約書、誓約書、身元保証書等から、業務内容、出退勤を示す資料、退職時の退職届、誓約書等、問題となる社員に関する資料は余すところなく証拠として意味があります。

弁護士が選任されているか

弁護士が選任されているかは、まず内容証明郵便の差出人をチェックすればわかります。弁護士が選任されていたとしても対処法は変わらないわけですが、弁護士が選任されている場合には、対応を誤れば労働審判、訴訟へ発展しやすくなりますから、より緊張感をもって対応する必要があります。

また、内容証明郵便の内容に法律用語が多用されている場合には、何らかの戦略で弁護士が表に出てきていないだけで、既に協力している専門家がいるケースもあります。

弁護士が選任されている場合には、どういった事務所の弁護士であるか、労働法を得意とする事務所であるか等、弁護士についての調査も、インターネット上の情報程度で結構ですので行うようにします。

差出日、回答の期限の指定があるか

内容証明郵便の差出日がいつであるかをチェックした上で、回答の期限が指定されているかをチェックします。弁護士が内容証明郵便を送付する場合には、ある程度合理的な範囲で期限を区切ることが一般的です。

というのも、期限を区切らなければ、これ以上話し合いの機会を待つべきか、労働審判、訴訟に移行すべきかを、労働者側も判断しづらいためです。

そのため、回答の期限が区切られている場合には、できる限りその回答期限までに内容証明郵便に回答できるよう、大至急弁護士に相談します。ただ、業務の都合等によりどうしても回答期限までに内容証明への回答をすることができない場合には、その旨労働者(もしくは代理人弁護士)へ一報伝えておくとよいでしょう。

元社員の言い分を理解する

内容証明の記載内容は、元社員による一方的なもので、読んでいるだけで腹が立ってくることでしょう。会社側からしても元社員に不満があって辞めてもらった場合などには特に不満が大きいかと思います。

しかし、労働者側の一方的な言い分であるから読まなくてよいわけではありません。

労働審判、訴訟となった場合の相手方の主張と、裁判所の判断を予測し、適切な解決方針を立てるためには、むしろ元社員側の主張と、その立証方法を正確に理解しておく必要があります。

内容証明郵便を受け取った会社が注意すべきこと

以上の通り、内容証明は、元社員側からの交渉開始のお知らせです。会社が内容証明郵便を受け取った時点から、労使間の話し合いがスタートします。

内容証明郵便から始まる元社員との交渉において、注意すべきポイントを解説します。

内容証明の記載内容がすべて認められるわけではない

内容証明郵便の内容は、労働者側(元社員)の主張が記載されているものです。したがって、会社側からすれば、全く事実に反するとか、大げさに書きすぎだとか、いろいろな反論があることでしょう。

内容証明郵便の内容が、すべて労働審判や訴訟において認められるものではなく、あくまでも一方的な言い分に過ぎませんから、焦りは禁物です。

内容証明を受けとってすぐに連絡しない

内容証明郵便を送ってくるということは、それなりの覚悟があって交渉をスタートさせることを元社員側も決意しているわけです。特に、既に弁護士を依頼して弁護士名義で内容証明郵便を送付している場合には、労働審判、訴訟を行う覚悟も整っているとみてよいでしょう。

そのため、「直接話せばわかってくれるのではないか。」「説得して理解してもらいたい。」という考えは甘すぎると言わざるを得ません。内容証明郵便を受け取ってすぐに元社員に電話をし、主張を取り下げるよう強く迫っても、労働問題は全く解決しないどころか、「会社に脅された。」と言われて後の労働審判で不利な心証を抱かれることも少なくありません。

もちろん、元社員の主張をすべて受け入れるつもりなのであれば、何らの検討も要さず連絡をしてもよいのですが、実際にそのような場合はほとんどなく、何らかの労働問題の争いとなるケースがほとんどです。

内容証明郵便の送付を受けて交渉を開始した以降は、元社員の側も十分な準備をもって臨んでいます。不用意に行った電話連絡が録音されていて、後の訴訟で不利な証拠として提出される場合もあります。

労働審判、訴訟になることをおそれない

内容証明から始まる元社員との話し合いで解決ができず、労働審判、訴訟となってしまった場合、紛争コストが増加しますから、できる限り話し合いで解決する方がいいのは当然です。

しかし、労働審判、訴訟を過度におそれるがあまりに、労働者に譲歩しすぎたり、あまりに不合理な解決に手を出したりするのはお勧めできません。また、当然ながら、話し合いを怖がって放置するのは最悪の選択です。

労働問題に強い弁護士は、労働審判、訴訟を日常的に複数件かかえていますが、会社の規模によっては労働問題が労働審判や訴訟に発展するのは初めての経験だという会社も少なくないはずです。

初めての経験におびえ、なんとか和解で終わらせようとすれば、元社員の要求がいかに過剰であったとしても、要求を丸飲みする以外に選択肢はありません。

労働審判、訴訟になった場合のありうる解決策の見込みを予想した上で、権利意識の強すぎる元社員の要求に対しては、明確に拒絶すべきであり、過度に労働審判、訴訟をおそれてはなりません。

まとめ

元社員から内容証明郵便を受け取った場合、まずは冷静になって対処法を検討する必要があります。

内容証明郵便から始まる元社員との交渉について、不安、疑問や不満がある場合には、企業の労働問題に強い弁護士へご相談ください。

労働問題・企業法務のお悩みは、弁護士へご相談下さい!

労働審判、団体交渉、就業規則、問題社員への対応など、使用者側の労働問題は、経験とノウハウが重要な、非常に難しい法律分野です。

会社を経営していくにあたり、労働者との交渉は避けられませんが、一度トラブルとなれば、致命的ダメージとなるケースもあります。弁護士に頼らずに社長自身で解決するとなると、莫大な時間とエネルギーが必要です。

労働問題に特化した解決実績の豊富な弁護士が、労働法を使って会社を守り、継続的に発展していく方法について、詳しく解説いたします。