就業規則の記載事項

就業規則を作成するといっても、全く何を書いてもよいというわけではありません。

就業規則とは、会社が労働者の労務管理を行うにあたってのルールであり、会社内での法律としての効力を発揮するものです。

したがって、余計なことばかり書いてしまうと、労使トラブルとなった際に、逆に労働者の側から、これを有利に活用されてしまうおそれがあります。これでは、折角会社の武器として就業規則を作ったのに、逆効果です。

無益な約束を記載しないこと

就業規則では、法的な観点から、会社に有利なこと、労働基準法上記載が義務付けられていることのみを定めるべきです。

会社の思いや、会社の約束、精神条項の多い就業規則を見かけますが、必要以上に会社が労働者に対して就業規則において約束をすることは、かえって労働者に対して、労働問題において労働者に有利な主張の根拠となる規程を与えることになりかねません。

経営者の思いを文章にして残したいのであれば、就業規則という形ではなく、それ以外の形で社内に発表し、周知するべきでしょう。

就業規則の記載事項

就業規則の記載事項は、次の3つに分類されます。

  • 絶対的必要記載事項
  • 相対的必要記載事項
  • 任意的記載事項

このうち、絶対的必要記載事項、相対的必要記載事項は、就業規則に記載することが、労働基準法上で義務付けられている事項です。

絶対的必要記載事項

絶対的必要記載事項とは、労働基準法上で、就業規則に必ず記載しなければならないことが義務付けられている事項をいいます。就業規則を作成する場合、絶対的必要記載事項の記載が漏れていないか、確認しましょう。

就業規則の絶対的必要記載事項は、具体的には次の通りです。

  • 始業・終業時刻、休憩、休日、休暇
  • 交代制の場合の就業時転換に関する事項
  • 賃金の決定、計算及び支払い方法
  • 賃金の締切及び支払いの時期
  • 昇給に関する事項
  • 退職に関する事項(解雇事由を含む)

相対的必要記載事項

相対的必要記載事項は、その制度を利用するかどうかは会社の自由であるけれども、その制度を利用する場合には、就業規則に記載しなければならない事項をいいます。

したがって、就業規則を作成している場合には、相対的必要記載事項である制度は、就業規則に記載していなければ利用ができないこととなります。

就業規則の相対的必要記載事項は、具体的には次の通りです。

  • 退職手当に関する事項
  • 臨時の賃金・最低賃金額等に関する事項
  • 労働者の負担となる食費、作業用品、社宅費等に関する事項
  • 安全衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰・制裁に関する事項
  • 事業場の労働者のすべてに適用される定めに関する事項

任意的記載事項

就業規則の任意的記載事項とは、絶対的必要記載事項、相対的必要記載事項以外のものであって、就業規則に記載するかどうかは、使用者の任意に委ねられている事項です。

就業規則に関連する諸規程

賃金に関する事項については賃金規程、退職手当に関する事項については退職金規程、育児・介護休業に関する事項については育児介護休業規程に、それぞれ委任するのが一般的です。

それぞれ、まとまった事項について別規程とすることにより、労働者に対するわかりやすさが担保できます。

とはいえ、委任された先の規程も就業規則であり、就業規則に関する労働基準法上の定めに従うことに注意が必要です。

また、これら典型的な委任規程以外にも、「マイカー規程」、「SNS利用規程」など、企業の実態に合わせて、特にルール化しておきたい事項について、別規程を作成して就業規則から委任する例がよくあります。

労働問題・企業法務のお悩みは、弁護士へご相談下さい!

労働審判、団体交渉、就業規則、問題社員への対応など、使用者側の労働問題は、経験とノウハウが重要な、非常に難しい法律分野です。

会社を経営していくにあたり、労働者との交渉は避けられませんが、一度トラブルとなれば、致命的ダメージとなるケースもあります。弁護士に頼らずに社長自身で解決するとなると、莫大な時間とエネルギーが必要です。

労働問題に特化した解決実績の豊富な弁護士が、労働法を使って会社を守り、継続的に発展していく方法について、詳しく解説いたします。