低評価人事評価従業員普通解雇労働問題会社側弁護士東京

ほとんどの会社では人事評価を行っていると思いますが、その方法や厳しさは会社によって様々です。

会社が人事評価を行う理由は、普通解雇の理由とする目的ではないはずです。そのため、人事評価をしている段階では、その先に解雇とすることはあまり考えず、評価が適当になっていたり、不適切なものになっていたり、もしくは、評価が形式的なものにすぎなくなっていたりする会社も少なくありません。

しかし、単に評価が低いというだけでなく、勤務成績が低いことに何らかの問題があり、会社の求めている水準に達していないのであれば、普通解雇を検討せざるを得ないこともあります。

万が一普通解雇を検討する場合に、人事評価が適切に行われていなければ、人事評価が適切でないことが普通解雇を行う際の支障となるおそれすらあります。

特に、中小零細企業において、人事評価を経営者の独断と偏見で決定しているような場合には注意が必要です。人事評価における成績が低いことが、単に「社長に好かれていない。」ということを示すだけであって、能力不足や改善の余地がないことを示すものではないと判断されるおそれがあるためです。

今回は、人事評価の低い従業員を適切に解雇するために会社が行うべき準備と解雇方法について解説します。

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甘い人事評価の罠

一般的にいって、企業における人事評価では、実際よりも甘めにつけられていることが多いといえます。

というのも、継続的に雇用して会社に貢献してもらわなければならない従業員に対して、一定割合に対して最低評価を必ずつけるということになれば、従業員のモチベーションを維持することが困難となってしまうためです。

しかし、甘い人事評価を続けていると、いざ評価の低い社員に対して普通解雇をしようといった場合に、支障が生じます。

例えば、5段階評価で、一番下の評価を付けている従業員が全くおらず、最低評価の社員でも下から2番目の評価であった場合、最も評価の低いある社員を普通解雇にしたとすると、その従業員としては「他にも下から2番目の評価の従業員は大勢いるのに、なぜ自分だけ解雇なのだ。」と不満を持ち、労働審判や団体交渉での争いに発展するというわけです。

また、最低評価は事実上、下から2番目の評価であって、下から2番目の評価をされる従業員もほとんどいないという場合には、このことが証明できれば、一番下の評価でなかったとしても普通解雇が有効と判断してもらえる可能性もあります。

しかし、この場合には、他の従業員の人事評価も公表しなければならず、公開が前提とされる訴訟での争いや、第三者である労働組合への団体交渉における開示となると、会社の内部資料をすべて示して証明することは難しい場合が多いといえます。

人事評価を記録しておくことが普通解雇に役立つ

中小企業の場合、人事評価のプロセスが記録されておらず、また、経営者の独断と偏見で評価を決めていてプロセスが全く明らかにされていないというケースも少なくありません。したがって、このような会社の場合には、人事評価は、結果だけが記録されることとなります。

しかし、人事評価の際に、従業員のどのような業務を対象としたのか、どの期間が評価の対象期間なのか、業務以外に考慮した要素があるかどうかといった点は、人事評価の妥当性を検討するにあたって非常に重要です。

人事評価のプロセスが明らかにされないままに、評価の低い従業員を解雇するというのでは、「気に入らない労働者を解雇する。」というのとあまり変わらない場合すら想定されます。

したがって、プロセスを証拠化し、記録しておくことにより、人事評価の妥当性を説明しやすくなり、「人事評価が低いこと。」が解雇理由に繋がるという説明を理解してもらいやすくなります。

人事評価をフィードバックして納得を得る

人事評価の低い社員に対する普通解雇を行う際には、人事評価を、面談を設定することによってフィードバックすることが大切です。

フィードバックのための面談を適切に行えば、労働者が、なぜ自分が会社から低く評価されているのか、どのように改善すれば評価が上がるのかを十分理解することが可能となります。これにより、会社が労働者に対して、改善の機会を与えたこととなります。

改善の機会を与え、評価が向上すればそもそも普通解雇の必要はありません。一方で、複数回の改善の機会を与えても、なお改善の余地が一切ないという場合には、普通解雇が有効であると判断されやすくなります。

また、フィードバック制度を実施する際には、労働者からの会社の評価に対する無秩序なクレームを避けるため、フィードバック面談の手続きや、労働者から評価に異議がある場合の異議申立の手続きについて、会社のルールを定めておくとよいでしょう。

まとめ

以上の通り、人事評価が低いことは、普通解雇の理由となりうるわけですが、適切な評価を行っていなければ、評価だけを理由に普通解雇することはできません。むしろ、人事評価が形骸化していたことにより、労働者に自分の改善点が伝わっていない場合には、労働者の自己評価と会社の評価が食い違うことから、普通解雇をしてしまうと大きな労働問題の火種となるおそれがあります。

適切な人事評価を行った上で、改善の機会を与えてもなお改善の余地のない従業員に対しては、普通解雇処分とすることを恐れてはなりません。

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