出勤不良普通解雇問題社員会社側労働問題弁護士東京

出勤不良が普通解雇の理由になるのは当然です。というのも、雇用契約によって、労働者は会社に対し、労働を提供する義務を負っているからです。

労働者が会社に対して、雇用契約上、労働を提供する義務を負っている日とは、休日以外の日の所定労働時間をいいます。すなわち、所定労働時間に定められた始業・終業時刻の間は、会社の労働に専念しなければならないということです。これを職務専念義務といい、これに違反すれば出勤不良となります。

そのため、始業時刻よりも遅れて会社に到着すれば「遅刻」となり、終業時刻よりも早く退社すれば「早退」となり、所定労働時間に会社に対して労働を提供しなければ「欠勤」となるわけです。

この点、遅刻、早退、欠勤などの出勤不良は、いずれも雇用契約上の労働を提供する義務の債務不履行であり、許されないことです。普通解雇とは、債務不履行を理由とした会社からの意思表示による労働契約の解消ですから、出勤不良が債務不履行となる以上、これは普通解雇の理由となるということです。

とはいえ、解雇は、社会的に相当でない限り、権利濫用として無効となりますから、出勤不良があれば即座に解雇が可能であるというわけでもありません。

今回は、出勤不良を理由に会社が問題社員を普通解雇する際の手続きと、適切な解雇方法について解説します。

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どの程度の出勤不良で普通解雇できるのか

出勤不良が、労働契約上の債務不履行として普通解雇理由に該当するとしても、それだけで即座に普通解雇が有効となるわけではありません。

出勤不良を理由とする普通解雇は、解雇権濫用法理の制限の下、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当でない限り、権利濫用として無効となります。したがって、出勤不良が「客観的に合理的な理由」であるとしても、これに対して解雇とすることが社会通念上相当な程度の出勤不良がなければなりません。

この点、比較して考えるべきは、労働基準法における有給休暇の定めです。

有給休暇は、会社に対して長期間貢献をした社員に対して、給料を支給しながら休暇をとることを認める制度です。そして、1年間の出勤率が8割を超えていれば、この有給休暇を取得することができるわけです。

したがって、出勤不良とはいえ、出勤率が8割を越えているのであれば、即座に普通解雇とはすべきではなく、まずは、注意指導や、雇用継続を前提とした懲戒処分(譴責、戒告)などによって改善を促すことによって様子見をするべきです。

出勤不良の理由によって普通解雇が可能かが変わる

以上の通り、出勤不良によって、有給休暇も生じないほど(すなわち労働日の8割以下)にしか出勤できなかった場合には、普通解雇を検討することとなるわけですが、このとき、出勤不良の理由を考慮しなければなりません。

例えば、出勤不良の原因が体調不良にあるのであれば、継続的に労務提供ができないことは、休職事由となります。

休職制度とは、私傷病による欠勤をする社員に対する解雇猶予の措置ですから、御社が休職制度を採用している場合には、まずは休職命令を発するべきであって、直ちに解雇に踏み切るべきではありません。

そのため、労働者の出勤不良が継続する場合には、まずその理由を確認するようにし、特に労働者の体調には配慮するようにしてください。

労働者の中には、「体調が悪い。」というと評価が下がるのではないかと考えて体調不良を会社に隠している従業員もいれば、逆に、体調不良を理由として欠勤しながら実は遊び歩いているという従業員もいますので、注意が必要です。

労働者に欠勤する権利があるわけではない

以上のことから、私傷病を含むやむを得ない出勤不良の場合に、ただちに解雇とすることは、社会通念上不相当とされて、普通解雇が無効となるおそれがあります。

とはいえ、労働者には、欠勤をする権利があるわけではありません。労働者にとっての権利というのは賃金請求権であり、労務の提供はあくまでも労働者にとっては「義務」であって「権利」ではありません。

例えば、どれほど重大な病気にかかったとしても、当然欠勤してよい権利があるわけではなく、会社が承認、もしくは命令するから欠勤ができるのです。これに対して即座に解雇をすることが、社会通念上相当でないとして解雇無効となる可能性が高いとしても、労働者の欠勤が権利として認められたことを意味するわけではありません。

この点を労働者に勘違いさせることのないよう、あくまでも欠勤には会社の承認が必要であるという説明を十分に行った上で、欠勤をせざるを得ない理由を、労働者から会社に対して正確に説明させるように徹底します。

診断書の提出を義務とする

欠勤は労働者の権利ではなく、どのような理由であっても、会社が承認ないし命令するから欠勤することが許されるのだと解説しました。

そのため、解雇が社会通念上不相当であると考えられる、ごく軽微な出勤不良であっても、会社としては厳しく注意指導を行うと共に、出勤不良が継続するようであれば、ただちにその理由を確認し、労働者に誤解させないようにしなければなりません。

会社が労働者に対して出勤不良の理由を確認する際、重要となるのが、医師の診断書です。

医師の診断書を提出を確実に求められるようにしておくため、就業規則に、診断書の提出を求めることがある旨を記載しておきます。また、主治医の診断書だけで判断すべきではなく、主治医への面談や、産業医への受診できるように定めておきましょう。

信頼関係のできあがっている労働者に対しては、これでは厳しすぎるかもしれませんが、全労働者に対して厳しい義務を課した上で、信頼関係のできあがっている労働者についてはこの義務を免除すればよいのです。初めから就業規則で緩い義務しか定めないとすると、まだ信頼関係のできあがっていない労働者が出勤不良となった場合に、適切な対応をすることが困難となります。

また、診断書等の調査の結果、出勤不良の理由に虚偽があった場合には、懲戒処分を下します。

まとめ

以上の通り、出勤不良によって普通解雇とすることが可能なわけですが、会社の業務に支障を与える程度の出勤不良でなければ普通解雇が権利濫用として無効となるおそれがあります。

そして、その際に重要なのは、出勤不良の理由を会社が適切な方法で確認をし、その理由に合った処分を選択することです。軽度の出勤不良に過ぎない場合には、直ちに普通解雇とする前の事前準備として、注意指導、懲戒処分などを行うべきケースも少なくありません。

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