協調性不足普通解雇会社側労働問題弁護士東京

協調性の不足は、解雇理由となることに争いはありません。

とはいえ、「協調性不足」というのは抽象的な言葉であって、その程度の問題でもあるため、会社側として、「協調性が不足している。」という理由だけで乱暴に解雇に踏み切ってしまっては、労働審判や団体交渉によって解雇が不当であるとして労働トラブルとなります。

そのため、労働者の協調性を理由とする場合には、それが解雇に足る程度のものであるのかを慎重に検討しなければなりません。

労働契約上の債務をきちんと履行するのに十分な協調性が欠けており、適切な手続きにしたがった労務管理を徹底しても、協調性不足による労働問題が解消できない場合にはじめて、会社は労働者の協調性不足を理由として解雇できると考えるべきです。また、この場合は、懲戒解雇ではなく、普通解雇をすべきです。

一方で、協調性が不足している従業員の問題行為によって、業務に支障が生じたり、他の従業員が十分能力を発揮できなかったりする場合には、会社経営に支障が生じますから、適切な労務管理を迅速に行わなければなりません。また、その適切な労務管理によっても是正が不可能な場合には、解雇することを恐れてはいけません。

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「協調性不足」は解雇理由となる

協調性不足は、解雇の理由として適切なものです。

解雇は、解雇権濫用法理による制限の下、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当な場合でない限り、権利濫用として無効となるため、単に「『協調性不足』が解雇の理由となる。」というだけでは足りず、解雇をせざるを得ない程度に社会通念上相当である必要があります。

ただ、実際のところ、会社においては、一人で行う業務ばかりではありません。会社である以上、組織として成果を出す必要があり、各々の個人プレーの寄せ集めのみでは、会社として組織を形成し、秩序を守る意味がありません。

そのため、集団での労務提供において不可欠な、他の従業員との協調性を備えていないことは、解雇の理由となるわけです。

そして、解雇をしても社会通念上相当な程度の協調性不足であるかどうかは、次で解説する通り、是正措置を講じても改善の余地がないかどうかで判断します。

新卒社員の解雇が許される「協調性不足」

日本の伝統的な労使関係の下、長期雇用慣行を前提として新卒一括採用された正社員の場合、協調性不足を理由とした解雇のハードルは、中途採用の社員に比べて高いと考えられています。

少なくとも、1つの職場で協調性がないと判断されたからといって即座に解雇するのではなく、少なくとも2回は配置転換、部署異動を行うべきです。

というのも、仮に、新卒の正社員として入社して初めて配属された部署で、他の従業員との人間関係がうまくいかなかったとしても、それは、たまたま性格の合わない人間であったとか、他の従業員の方が逆に問題があったりといった理由で、本人の協調性不足が原因でない可能性があるためです。

ちなみに、配置転換、部署異動を行う場合には、協調性不足という問題点についての改善の機会を与えられているということを、その労働者に対しても意識させることが重要です。そのため、十分な注意指導と教育をした上で、配置転換・部署異動を行う必要があります。このときに協調性不足という問題点を指摘せず、「人員配置の適正化」「教育」など、他の目的を示して部署異動を行っては、改善の機会を与えたことにはなりません。

なお、「協調性不足」といった程度を超え、具体的な問題行為が発覚した場合には、懲戒処分による制裁を行い、その記録を証拠化しておきます。

配転の困難な中小企業における「協調性不足」による解雇

以上のことは、ある程度の規模を有しており、事業所が複数存在する企業においては、協調性不足を是正すべく配置転換、部署異動を何度か繰り返すことが可能であるため有効だといえます。

しかし、小規模な零細企業や、事業所が1つしかない企業の場合には、大企業のように複数回配置転換を行って是正を求めることは困難です。

仮に、その労働者の協調性不足が理由ではなく、その他の従業員の問題によって人間関係がうまくいかなかったのだとしても、全体で数名程度しかいない小規模企業であった場合には、この労働者を残しておくことは、会社の業務に支障が生じることとなります。

この場合には、解雇に踏み切る前に、複数回の、厳しい注意指導を行う必要があります。また、必ず一度は懲戒処分によって協調性不足を指摘し、改善を求めるべきです。

ただ、このような小規模零細企業においては、新卒一括採用によって多数の新卒社員を雇用するということはあまりなく、ほとんどの場合には中途採用の社員のケースが多いといえます。中途採用社員であれば、社会人としてのある程度の協調性は、備えているのが当然であって、協調性不足による解雇はある程度柔軟に認められやすいいといえます。

「協調性不足」を客観的に証明する必要あり

協調性があるかないか、という事項は、評価であり、主観的な判断となります。そのため、評価を行うものによって、ある労働者に協調性があると考えるのか、協調性が不足していると考えるのかは、判断が分かれることとなるケースも少なくありません。

しかし、解雇という、労働者に対する不利益が大きい重要な処分を下す理由として、このような主観的な判断の差によって結果が変わるような理由によることは、適切ではありません。

そのため、誰の目から見ても客観的に協調性が不足しており、その問題は、解雇をしても社会通念上相当と言える程度であるということを、客観的に証明できるように準備をする必要があります。

この準備なく協調性不足によって解雇を強行すれば、労働審判や団体交渉において、会社に不利な解決となりかねません。

具体的には、配置転換・部署異動を行った場合には、辞令などそのことを証明する記録、日常業務における注意指導を行った場合にはその内容の記録を残して証拠化するようにします。

また、従業員の協調性不足によって生じた顧客とのトラブル、業務への具体的私傷があれば、そのことを証明する証拠を収集しておくようにしましょう。

まとめ

「協調性不足」は、業務に支障を生じることは明らかであり、直ちに是正措置を行う必要があります。そして、是正措置を講じても改善の余地がない場合には、解雇を検討することとなります。

この順序は、適切な労務管理のために抑えておかなければなりません。是正措置を一切講じず、解雇を強行するようでは、「協調性不足」が仮にあったとしても、解雇無効となるリスクは大きいといえます。特に、孫卒社員の場合はより解雇無効となる可能性が大きいといえます。

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