派遣法改正

派遣労働者をはじめとした非正規労働者の雇用確保と生活の安定、そして、少子高齢化により労働力人口が減少する中で、多様な働き方の選択を容認するための雇用形態の選択肢を増やすといった目的から、非正規労働者に関する法律は、ここ数年の間に重要な改正が繰り返されています。

特に、労働者派遣法は、ここ数年で大きく変化したことから、派遣会社は当然ながら、派遣社員を利用している会社の皆さんも、派遣労働者の人事・労務管理を法改正に合わせて変化させていかなければなりません。

今回は、平成24年10月1日施行の派遣法改正の内容を解説します。少し以前の改正になりますが、現在の派遣規制にも影響する重要な内容ですので検討が必要です。

派遣法改正(平成24年10月1日施行)

平成24年10月1日施行派遣法改正がなされた経緯

平成24年10月1日施行の派遣法改正は、政治的な要因により二転三転した難産の改正でした。「二重派遣」「ワーキングプア」「ネットカフェ難民」等が騒がれた時代、折しも急転直下のリーマンショックの煽りを受けた製造業の派遣切りが相次ぎ、仕事や家を失った派遣労働者救済のための「派遣村」が話題となりました。

これら多くの労働問題、経済問題に対処すべく、労働力叩き売りの温床となった派遣制度への規制を見直すべく当時与党であった自民党、当時野党であった民主党、社民党、国民新党の3党より、それぞれ派遣法改正案が提出されました。

しかしながら、その後の衆議院解散、民主党の政権奪取の流れの中で、廃案となり、その後も改正案の提出、審議が続けられ、与野党の妥協案として「製造業派遣の原則禁止」案が除外されて可決に至りました。

派遣法改正の内容

今回の記事では、平成24年派遣法改正の概要をお伝えし、同改正の詳細、平成27年派遣法改正については別記事で解説していきます(準備中)。

平成24年10月1日施行の労働者派遣法改正のポイントは次の点です。

  1. 事業規制の強化
  2. ・ 日雇派遣の原則禁止
    ・ グループ企業内派遣の8割規制(いわゆる「専ら派遣の禁止」)

  3. 派遣労働者の待遇改善
  4. ・ 無期雇用への転換推進措置の努力義務化
    ・ 通常の労働者との均衡処遇
    ・ マージン率の公開
    ・ 新たな就業機会の確保等措置の義務化

  5. 違法派遣への対処
  6. ・ 違法派遣の場合のみなし雇用
    ・ 処分逃れ防止のための労働者派遣事業許可の欠格事由の整備

以下、特に重要な改正ポイントの概要を解説します。

また、労働者派遣法は平成27年にも重要な改正が施行されておりますので、合わせて対応が必要です(準備中)。

日雇派遣の原則禁止

日雇派遣のようにごく短期の派遣契約が横行することによって、派遣元・派遣先のいずれも雇用責任をきちんと果たさない状況となり、派遣労働者の貧困化が深刻な社会問題となりました。

加えて、製造業等の危険な現場へ、ノウハウや経験のない日雇労働者を派遣することによって労災が発生するリスクが激増したことも、日雇派遣原則禁止の理由の一端を担っています。

日雇派遣は原則禁止

改正派遣法で規制される日雇労働者とは、次のように説明されます。

日雇労働者 = 日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者

ちなみに、「30日以内」という期間は、派遣労働者と派遣元との雇用契約期間に関する制限であり、派遣先と派遣元との間の派遣契約の期間に制限はありません。

日雇派遣が許される例外

日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる一定の業務や一定の労働者については、政令によって例外的に日雇派遣が許容されるという内容です。

禁止の例外となった類型は、次の通りです。

  • 政令26業務のうち、特定業務
  • ただし、平成27年施行派遣法改正によって政令26業務の括りはなくなりました。

  • 雇用機会確保が特に困難と認められるもの
  • 60歳以上の高齢者、学生、副業、主たる生計者でない者

専ら派遣の禁止

同一グループ内の企業のみに対して派遣労働者を送る派遣会社は、むしろ、正社員として本社が雇用すべき労働者を非正規労働者に格下げするものであって妥当ではないというのが改正の理由です。

改正派遣法で禁止される専ら派遣は、次の通り説明されます。

専ら派遣 = 関係派遣先(親会社、連結子会社)への派遣が8割を超えるもの

また、同様の趣旨で、定年以外の理由で離職した労働者を、離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることも禁止されました。

違法派遣のみなし雇用

「二重派遣」「偽装請負」を初めとした派遣法違反の「違法派遣」が後を絶たなかったことから、違法派遣の防止を目的として、違法派遣を受け入れ続けた派遣先に対して、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申込を行ったものとみなす制度が創設されました。

これによって、違法派遣となっていた派遣労働者が請求をした場合には、派遣労働者がその派遣先の正社員となることができることとなります。

違法派遣のみなし雇用で対象となる「違法派遣」は次の通り説明されます。

「違法派遣」

  1. 禁止業務に従事させること
  2. 無許可・無届の派遣元からの労働者派遣の役務の提供を受けること
  3. 期間制限を超えて労働者派遣の役務の提供を受けること
  4. 偽装請負(労働者派遣法の規定の適用を免れることを目的として、請負等の名目で、労働者派遣契約を締結せ ずに労働者派遣の役務の提供を受けること)

このみなし雇用の制度を用いて違法派遣から正社員化した派遣労働者について、その労働条件は、派遣元と派遣労働者との間の労働条件と同一の労働条件とされます。

また、みなされた雇用の申込に対して派遣労働者が受諾したにも関わらず、派遣先がその派遣労働者を就労させない場合には、是正勧告がなされ、是正勧告違反がある場合には社名公表までされるという厳しい制度です。

派遣法改正に対応した人事労務

以上、平成24年10月1日施行の派遣法改正について概要を解説しました。重要なトピックについては別記事で解説予定です。
また、労働者派遣法は平成27年に大改正がされていますからそちらも追って解説致します。

派遣法はここ数年で大きく変容していますので、派遣会社はもちろん、派遣労働者を利用する会社も、人事労務管理を変更し、書式等を再チェックするのがよいでしょう。

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