LGBTセクハラ

LGBTであるからといって、会社での業務には何ら関係がありません。

むしろ、人権保護、優秀な人材の確保といった見地からは、個々人の性差、性格、趣味に対して、企業は、業務遂行に支障のない限り柔軟に対応すべきであるといえます。

これは、男女間の問題はもちろんそうですが、少数派のLGBTであっても同様です。

今回は、「LGBTであってもセクハラの対象となる。」ということを企業に対して周知徹底させるため、厚労省が発表した、いわゆるセクハラ指針の改正について解説します。

LGBTに対するセクハラは、非常に難しい問題で、かつ、気付きにくい問題ですので、企業から従業員に対する十分な周知徹底、教育が必要となるでしょう。

LGBTとは?

LGBTとは、L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシュアル)、T(トランスジェンダー)を総称する言葉です。

少数派の性的指向を有する人たちのことを指した用語です。

セクシュアルマイノリティ(性的少数者)ともいいます。

少数者であったことから、差別と偏見の対象となり、職場においても働きづらい状況となるおそれも高く、今後の対策が必要です。

近年では、芸能界にも多くのLGBTタレントがいることから、その認知度は高まってはいるものの、芸能界という特殊な世界ならともかく、一般企業で働く際には、まだまだ偏見が強いといえます。

LGBTのセクハラ問題

厚生労働省では、いわゆるセクハラ指針(正式名称を「事業主が職場における性的言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置について」)において、企業におけるセクハラを防止するために、企業がとるべき措置を解説しています。

セクハラ防止のために企業が講ずべき措置については、こちらの記事で解説しています。

ただ、セクハラというと「男性が女性に対してするもの」という固定観念があります。もちろん、「男性が女性に対してするセクハラ」の件数は非常に多く、由々しき問題です。

しかしながら、セクハラはこれだけに限らず、「女性が男性に対してするセクハラ」もあれば、LGBTのような少数派の性的指向を考えれば「男性が男性に対してするセクハラ」「女性が女性に対してするセクハラ」もあり得るのです。

例えば、次の行動、発言は、LGBTに対するセクハラとして問題となるおそれが高く、厳に注意すべきです。

  • 「ホモは触るな!」と発言する行為
  • 「レズビアンは気持ち悪い」と発言する行為
  • 「カマっぽい」「おかま野郎」と馬鹿にする行為
  • 「異性が好きじゃないのは頭がおかしい」と決めつける行為
  • 同性愛者のからだを同性が執拗にさわる行為
  • 本来の性に合わないしぐさは変だから治すようにと指示する行為

LGBT対応は、これからの企業に必須

「LGBTだから」という理由で、ある従業員を差別したり、嫌がらせをしたりすることは、人権侵害であり、許される行為ではありません。

人権侵害の問題はもちろんですが、これに加え、個人の多様性が尊重される現代において、「LGBTだから」という理由で従業員の業務を妨げるのであれば、人材の有効活用ができません。

ひと昔前は「女性は管理職になるな。」など、女性に対する偏見が多かったですが、現在では、まだまだ不十分ではあるものの大分払拭されてきました。今後は、新たに注目されるLGBTについても同様に、「普通」と考えて、他の社員と同様に働ける環境を提供する努力が、企業には必須となります。

一般的なセクハラと同様、LGBTに対するセクハラもまた、禁止されることが明示され、周知徹底されるわけですから、今後そのような問題が起こったとなれば、加害者となった企業の信用、信頼は地に落ちることとなります。

LGBTのセクハラ問題に対する厚労省の対応策

労働政策審議会がLGBTセクハラをセクハラ指針に明示と公表

労働政策審議会では、平成28年5月27日、セクハラ指針の中に、LGBTに対するセクハラがセクハラ指針の対象となることを明文化する改正を行うことを発表しました。

その内容は、次の通りです。

従来より、職場におけるセクシュアルハラスメントについては、被害者の性的指向や性自認は問わないものであるが、それが周知徹底されていないとの声が近年多くなっている。これを踏まえて、被害を受ける者の性的指向や性自認にかかわらず、これらの者に対する職場におけるセクシュアルハラスメントも、セクハラ指針の対象となる旨を明確化する改正を行うこととする。

「事業主が職場における性的言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針の一部を改正する告示案」

重要なのは、セクハラ指針を改正していない現在であっても、LGBTがセクハラの対象となることは明らかであるということです。

これを周知徹底し、明らかにするためにセクハラ指針を改正するわけですから、企業としては、現在でもなお、従業員に対して、LGBTに対するセクハラを行わないよう、教育することが適切な対応でしょう。

セクハラ指針改正の施行日(予定)

改正後のセクハラ指針は、平成29年1月1日に改正される予定です。

まとめ

セクハラ指針の改正により、LGBTがセクハラの対象となることが明示されます。改正前の現在でも、LGBTがセクハラ対象なのは当然で、改正によって明示されればなお、これに対して対応しない企業は、いざLGBTセクハラ問題が起こった場合、重い管理責任を追及される可能性が高まります。

セクハラ問題の予防、再発防止策をとらず、従業員に対する周知徹底、教育をしなかったがためにセクハラ問題が深刻化すれば、「従業員間のことなので会社は知らない」という反論は困難です。

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