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同一労働同一賃金(どういつろうどうどういつちんぎん)とは?

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同一労働同一賃金とは?

「同一労働同一賃金」とは、同一の労働を行う労働者に対しては、同一の賃金が支払われることを保証する原則(ルール)のことです。

「同一労働同一賃金」であるかどうか、すなわち、同じ労働に対して、同じだけの賃金が支払われているかどうかは、さまざまな要素から判断されます。

例えば、「同一労働同一賃金」を議論するときに、比較のポイントとされる要素には、次のようなものがあります。

ポイント

  • 雇用期間の有無(有期契約か、無期契約か)
  • 性別
  • 人種
  • 出身地
  • 職種
  • 業務内容
  • 業態
  • 転勤の有無
  • 主たる生計者であるかどうか

この中でも、特に最近、「働き方改革」や裁判例などで話題となっているのが、「有期契約か、無期契約か」という点による差別と、「嘱託社員か、正社員か」という点による差別です。

同一労働同一賃金は完全に徹底されている?

現在の日本の労働法制においては、完全なる「同一労働同一賃金」のルールが貫徹されているとはいえません。

ただし、不当な差別が許されないなど、「同一労働同一賃金」でなければ違法となる場合があります。また、完全に徹底されていないとはいえ、「努力しなければならない」と定められている分野もあります。

ポイント

  • 不当な差別になる労働条件の違いは許されないという規定があります。
  • 一定の労働者を保護する趣旨から、労働条件の区別が許されない場合があります。
  • 全く同一(「均等」)でなくてもよいが、均衡を考慮しなければならない場合があります。

現在の流れでは、「同一労働同一賃金」が、非正規社員を保護して、正規社員に近い労働条件を保証しよう、という趣旨で推進されています。

不当な差別の禁止

「同一労働同一賃金」でなければならないものとして、不当な差別の禁止があります。

つまり、以下のものについては、法律上、このような理由で「同一労働」に対して「同一賃金」ではない場合には、違法となることが定められています。

次のものは、「不当な差別」であるとして、この事実だけを理由に、労働条件を区別することが法律によって明確に禁止されています。

注意ポイント

  • 性別(「女性であること」)
    :労働基準法4条
  • 国籍
    :労働基準法3条
  • 信条
    :労働基準法3条
  • 社会的身分
    :労働基準法3条

「有期・無期」による区別は「合理性」が重要

会社側(企業側)が、労働者に対して、期間の定めの有無によって労働条件を異なるものと設定するときの注意点は、労働契約法に定められています。

つまり、有期契約であるか、無期契約であるかによって、労働条件に差がある場合には、次のとおり、その区別が「合理的」なものである必要があります。

労働契約法20条

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

労働契約法20条は、民事的効力を持ちます。

つまり、労働審判や労働訴訟で、会社側(企業側)の決めた労働条件の区別が「不合理」との判断となれば、無期労働者と同様の労働条件であったのとの差額が、「損害賠償」として認められるということです。

「派遣」による区別は「均衡」が重要

派遣法では、派遣労働者であるか、直接雇用であるかによる労働条件の区別について定められています。

派遣法によれば、派遣労働者であるかどうかによる区別では、「均衡待遇」を確保する配慮義務があるとされています。

2015年(平成27年)施行の労働者派遣法の改正によって、「努力義務」から「配慮義務」に引き上げられました。

派遣労働者であるかどうかによって、「均衡待遇」が必要とされるのは、次の労働条件です。

ポイント

  • 賃金
  • 教育訓練
  • 福利厚生施設の利用

「パート」による区別は努力義務

パートタイマーであることを理由に、正社員との給与格差を設けるなど、「パート」とそれ以外の雇用形態との労働条件を区別するときにも、一定の義務が生じます。

パートタイム労働法では、「職務の内容、人材活用の仕組みや運用などが通常の労働者と同一のパートタイム労働者」に限定して、賃金決定を同様のものとする努力義務を定めています。

注意ポイント

パートタイム労働法の改正によって、期間の定めがあるパートタイマーでも、正社員との間で「均等待遇」が必要となったため、以前より対象者が増えたといわれています。

改正前は、期間の定めのないパートタイマーしか、この義務の恩恵を受けることはできず、事実上あまり意味のない規定といわれていました。

解決しない同一労働同一賃金

以上の通り、労働者派遣法やパートタイム労働法が改正されるなど、「同一労働同一賃金」の実現に向けて進んでいますが、完全な実現までには、まだまだ前途多難です。

ここまでお読みいただければわかるとおり、「有期か、無期か」、「派遣」、「パート」について、労働条件の区別に一定の制限があるものの、完全に区別が許されないわけではありません。

労働条件の区別について、「同一労働同一賃金」の観点から、ポイントをまとめると、次のとおりです。

まとめ

  • 「期間の有無」を理由とする合理的区別は可能
  • 「派遣」を理由とする場合、均衡を考慮すれば均等、完全同一でなくてもよい。
  • パートについて、通常の労働者との一定の差異があれば区別可能

特に、非正規社員の労働条件を決めるにあたって、どのような事情を考慮しなければならないのかを検討すると、多くの法律に配慮しなければならない可能性が高いでしょう。

適切な労働条件を設定することが、労働トラブルを未然に防ぐためにも重要です。

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