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インターネットが一般世間に普及した現代において、SNSの対策を行うことは、企業において必須の課題となっています。

というのも、SNSを利用することによって、良くも悪くも、企業の経営に大きな影響を及ぼすためです。

一方で、SNSをうまく利用すれば、企業の良い評判を世間に認知してもらうことができますから、ブランディングの向上、マーケティングに利用することが可能です。他方で、誹謗中傷の書込みを行われてしまうことによって企業の名誉が毀損されたり、問題社員が不適切な投稿を行うことで企業の信用が失墜したりするケースも少なくありません。実際に、SNSを有効活用している企業の例や、SNSを悪用されて失敗する企業の例もよく聞くことでしょう。

インターネット、SNSは新たな分野であり、ともすれば、企業のトップにいる社長が年配の場合には、十分に理解することが難しいかもしれません。しかし、SNSの仕組みを正しく理解しなければ、これを悪用する問題社員に対する対処を正しく行うことは不可能です。的外れな対策を繰り返すことで、インターネット、SNSに精通した若手世代の従業員から、会社のSNS対策自体が軽んじて見られることとなり、インターネット上の問題行為を、より助長する結果となりかねません。

今回は、SNSにおいて不適切な投稿を繰り返す社員に対し、懲戒処分を初めとした、会社としての適切な対応を行う方法を解説します。

会社のインターネット対策も、企業の労働問題に強い弁護士へご相談ください。

企業がインターネット対策を行う際に注意すべきポイント

まずは、SNSを含む、インターネット対策を企業が行う際に、念頭に置いて注意しておかなければならないポイントを解説します。

インターネット問題は、現代の新しい問題であり、これまでに認められた定石的な対応というのあまり多くない分野でもあります。効果的なインターネット対策を行うためにも、インターネットの知識に疎い年配世代の方は、特に注意が必要となります。

インターネットの重要性

インターネットは、一昔前は「書かれていることはすべて疑ってかかれ。」という程、虚偽の噂が氾濫し、インターネットに記載された情報の信用性は非常に低い状態でした。

しかし、現在は、インターネットは一定の情報源としての信用性を認められており、市民権を勝ち得ています。そのため、インターネット対策を怠り、インターネット上に会社の不適切な情報、会社に不利な情報が記載され、名誉、信用を棄損された場合には、会社の経営に直接的な打撃を与えるおそれが非常に強いのです。

ある商品を購入したり、どこかの飲食店にご飯を食べに行ったりする際には、インターネットで検索して評判を確認するという人がほとんどなのではないでしょうか。

このような現代のインターネットの重要性を十分に考えると、インターネット対策を最優先で進めていかなければならないことが理解していただけるでしょう。

インターネットでの行為は軽率かつ悪気がない

インターネット上の情報は、その信用性がある程度あり、会社に対する不利益が非常に大きいにもかかわらず、個人からの情報の発信が非常に容易であることに特徴があります。

すなわち、ブログ、掲示板や動画サイトによって、個人が意見の表明をしたり、番組を提供したりすることが、インターネット普及以前よりも非常に容易に可能となったということです。ボタン一つで自分の意見がインターネット上に拡散されることから、あまり深い検討をせずに、軽い気持ちで自分の意見を公表してしまうことが少なくありません。

飲食店の従業員が軽い気持ちで、店内で行った不適切行為に関する動画が、会社の信用を大きく失墜した事件は、記憶に新しいのではないでしょうか。

そのため、会社にとって打撃の非常に大きい行為であっても、行った本人には全く悪気が無いというケースもあるため、従業員に対しても、インターネット上の情報の重要性を十分教育、指導しなければなりません。

悪気が無いことは、むしろ明示的に禁止しなければ止めることはできず、たちの悪い問題です。会社側とすれば「まさかそのようなことはやらないだろう。」と考えてあえて注意指導まではしなかったことが突然インターネットでの炎上の原因になることもありますから、あらゆる可能性を想定し、教育・研修を行わなければなりません。そのため、インターネット上で起こりうる労働問題に詳しい弁護士などを講師として呼ぶという手法をとることとなります。

拡散、複製が容易で、完全な削除は困難

インターネット上の情報は、ひとたび公開されてしまうと、拡散することは非常に容易です。いわゆる「コピペ(コピーアンドペースト)」によって、会社の名誉棄損、誹謗中傷の書込みは、多数の掲示板に次々と書き込むことが可能となります。

弁護士にご依頼頂くことにより、インターネット上の情報の削除請求や、発信者情報開示による書込み者の特定、損害賠償請求といった対抗策をとることができるものの、拡散、複製が容易であることから、インターネット上からその情報を完全に根絶することは非常に困難です。

そのため、不適切な行為が行われてからの制裁による対応に頼るのではなく、まずは従業員などが不適切な書き込みを行わないように事前の対策を徹底する必要があります。

労働者がいざSNSで問題投稿を行った後に懲戒処分としたのでは、その懲戒処分が有効と判断される場合であったとしても、既に行ってしまった問題投稿は、インターネット上で瞬く間に拡散されてしまい、対処が後手に回ってしまいます。

SNSで不適切投稿をした問題社員への対応

次に、インターネット上、特にSNSで不適切投稿をした問題社員への対応を検討します。

最近では、ブログや掲示板などの情報発信手段に加えて、ツイッター、Facebook、Instagrum、LINEなどのSNSが流行し、個人による情報発信がより容易に可能となっています。そのため、これらのSNSによって悪気なくつい不適切な情報発信をする従業員に対する対策を行うことが、会社にとって必須となります。

従業員によるSNS上の不適切投稿を会社が発見した場合には、既に解説したインターネット問題の特徴を十分に理解した上で、適切な対応を行うようにします。

SNS上の不適切投稿への対応は、緊急を要するため、企業の労働問題に強い弁護士へ即座にご相談ください。

SNS上の不適切投稿の削除

まず、SNS上の不適切投稿を会社が発見したときに、真っ先に考えなければならないのは、この不適切投稿が第三者の目に触れることによって、会社の名誉、信用を棄損するなど、会社に対する不利益を与える可能性があるのではないかという点です。

従業員の行ったSNS上の不適切投稿が、会社に不利益を与える場合には、従業員に対する社内の投稿を検討する前に、その投稿の削除、修正といった対応を大至急を行う必要があります。インターネット上の情報の拡散スピードは、予想をはるかに上回る速さですから、少しの期間でも放置しておくことは適当ではありません。

まずは、問題行為を行った従業員に連絡をし、自身で削除することができるかどうかを確認し、自身で削除できる範囲について、情報の削除を命令します。合わせて、SNS以外の他の媒体(ブログ、YOUTUBE)などにも同様の情報を掲載している場合には、そちらも特定の上、すべて漏れなく削除するよう命令します。

従業員が自身では削除できない状態となっている場合には、弁護士にインターネット上の情報の削除を依頼します。

事案によってはプレスリリースの必要

従業員のSNS上の不適切投稿が、会社の商品を購入した顧客に対して被害を与えるものである場合などには、注意喚起のためのプレスリリースや記者会見を検討する必要があります。

プレスリリースや記者会見を行うかどうかは、不適切投稿の内容、程度、顧客などの第三者に及ぼす悪影響の程度などの事情を総合考慮して検討してください。

間違っても、問題を隠ぺいして切り抜けようという甘い考えは捨てる方がよいでしょう。後に発覚した場合に、会社の信用失墜は取返しのつかない状態となりかねません。むしろ、SNS上の不適切投稿について、また、インターネットの問題について、事前にきちんとした教育、研修を行っていた場合には、問題発覚後の迅速な対応が、逆に会社の信用を向上させることにつながるケースもあります。

従業員に対する懲戒処分

インターネット上に既に公開されてしまったSNS上の不適切投稿への対応が済んだら、次に、その問題行為を行った従業員に対する懲戒処分を行います。

懲戒処分を行う際には、次のような事情を総合考慮して、どの程度の懲戒処分とするかを決定しましょう。

SNS上の不適切投稿に対する懲戒処分で考慮すべき事情
  • SNS上の不適切投稿の内容
  • SNS上の不適切投稿の違法性の程度
  • SNS上の不適切投稿を行った動機、理由
  • 会社に対して及ぼした不利益の程度
  • 会社の経済的損失の程度
  • 顧客・取引先などの第三者に対して及ぼした悪影響の程度
  • SNS上の不適切投稿の削除、修正に対する労働者の協力の有無
  • 会社が事前に行ったインターネット問題に対する教育、指導の程度

また、SNS上の不適切投稿が非常に悪質なものであって、懲戒解雇を検討している場合であっても、まずは懲戒解雇理由を十分に説明した上で、労働者の自主的な退職の意思表示を取得するために、退職勧奨を先行して行うようにします。

インターネット問題を回避するための事前対応

SNS上の不適切投稿を発見した場合の会社の適切な対応について解説をしましたが、実際には、一度SNS上で行われた不適切投稿をインターネット上から完全に削除することは困難であり、仮に懲戒解雇が有効となって従業員に制裁を与えられたとしても、会社に及んだ不利益は取返しがつかないケースも少なくありません。

そのため、事前にインターネット問題を回避できるよう、事前の対策を行ってください。

特に行っておくべきインターネット問題の事前対策は、次のものが考えられます。いずれも、会社の規模や実情に応じて、どの程度の対策が要求されるかは異なってきますから、個別の会社に合わせた対策は、企業の労働問題に強い弁護士へご相談ください。

就業規則上の懲戒事由とすること

まず、いざ問題行為を行った従業員に適切に制裁を与えることができる状態にすることで、懲戒処分による威嚇力によって、SNS上の不適切投稿などのインターネット問題を回避します。このために、インターネットの労働問題で起こり得るケースを列挙し、懲戒事由として定めておく必要があります。

懲戒処分を適法に行うためには、就業規則に懲戒事由と懲戒処分の効果を規定しておく必要があります。通常は、「その他、従業員として不適切な行為」などという一般条項があることにより、インターネット上の労働問題についても懲戒事由となると評価できる場合が多いですが、特に明記しておくことによって、従業員に対する事前の注意喚起となり、予防効果を発揮することができます。

インターネット上で起こりやすい労働問題を、会社ごとに検討の上、すべて懲戒理由に明記するようにしてください。

会社の規模、業種によって、特にSNS上の不適切投稿が起こりやすいと考えられる場合には、「SNS利用規程」などのインターネット問題に特化した規程を、通常の就業規則とは別に作成して周知をすることも検討すべきでしょう。

研修、教育を実施すること

以上のように、就業規則、SNS利用規程、ガイドライン、マニュアルといった会社のルールを作成の上で、これを基に、会社において許されないインターネット問題について、研修を行います。研修は、社内の担当者が行ってもよいですが、インターネットで起こり得る労働問題に詳しい、企業の労働問題に強い弁護士が担当するのがより有効です。

インターネット問題の最も怖いところは、「悪気が無かった。」「つい軽はずみでやってしまった。」という従業員の軽い気持ちが、会社にとって取返しのつかない大損害となる可能性が非常に高いという点です。

そのためには、従業員が軽はずみなインターネット上の問題行為に走る前に、その行為を行った結果どのようなことが予想されるのかについて、従業員が具体的に予想できるように丁寧に解説しなければなりません。すなわち、問題意識のない従業員に対して、問題意識を植え付け、責任感を芽生えさせる必要があります。

研修への参加は、業務命令として参加を義務付け、研修に参加する時間は労働時間とし、賃金を支給することで、より重要感を増すことができます。

誓約書を記載させること

研修を行った後には、研修を理解した旨、就業規則などを遵守する旨、そして、どのような問題行為が禁止されており、行った場合には懲戒処分などの重大な処分が下ることについて理解した旨の誓約書を記載させるとより効果的です。

また、削除の要請を会社から受けた場合にはただちに従う旨もあわせて制約させておきましょう。

まとめ

従業員によるSNS上の不適切投稿の問題を含め、インターネットを絡めた労働問題は、現代になって噴出した新しい問題であるため、対処方法が非常に難しいといえます。特に、経営者が年配の方の場合には、インターネットを駆使してトラブルを起こす若手従業員の知識に追いつくことができず、問題意識を実感できないことから、対策が後手に回ることにもなりかねません。

会社におけるインターネット問題への対策に不安がある場合には、企業の労働問題に強い弁護士へご相談ください。

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労働審判、団体交渉、就業規則、問題社員への対応など、使用者側の労働問題は、経験とノウハウが重要な、非常に難しい法律分野です。

会社を経営していくにあたり、労働者との交渉は避けられませんが、一度トラブルとなれば、致命的ダメージとなるケースもあります。弁護士に頼らずに社長自身で解決するとなると、莫大な時間とエネルギーが必要です。

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